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短歌 忘れ物 十首

1
伸びすぎた爪を切るとき残酷になりきれなくて過去が居残る

2
パーフェクト百点満点ですあとは欠けてゆくのを待つだけの刑

3
月見そば最初に黄身を潰すきみ なにが大事かわかっているの

4
光こそすべてであれと祈るひとまぶたの裏に土砂降りの雨

5
宇宙人だといわれても年賀状出しちゃったからなんかごめんね

6
このごろはあらゆるものに名がついて薬ももらう だからしんどい

7
耳かきをしているときの恍惚は乾いた大地をうるると溶かす

8
面影が似てきたことを喜べず笑顔の母に謝れもせず

9
雪になれ なれないのなら雲よ去れ 曇天の日には泣けない決まり

10
忘れ物なんだよ過去はみなちぎれなかったミサンガなんだ

よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。