架空のお悩み相談 - 末期ガンの奥さんを持つ旦那さんへ。
昨日の「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。」は、とても考えさせられました。末期ガンになって旦那さんにふりまわされる女性からの相談です。
記事の紹介文にはこうあります。
現状を受け入れることができない夫から、いじめられているような思いまで抱いているそうです。患者本人の意思が尊重されない「闘病」について、幡野広志さんはどう感じているのでしょうか。
旦那さんが、この女性の末期ガンという病状を受け容れることができず、様々な治療法を探しては彼女に受けるようにと勧める。その度に彼女は現実を突きつけられて悲しい思いをしているということです。
幡野さんが「闘病」を戦争にたとえてtwitterで回答の一部を書いています。
このタイトルは「誰のための命」となっています。幡野さんの提案は相談者である「末期ガン」の女性の命は誰のための命なのか?ということです。
当たり前すぎるくらい当たり前ですが、相談者である「末期ガン」の女性の命は基本的にこの女性のものです。どんな治療を受けたいかを決めるのはご本人です。
それを受け容れてもらえないのは、とても苦しいことでしょう。パートナーだけになおのこと。
苦しい時って、パートナーに「そのままの自分」を受け止めてもらえるだけで気持ちが落ち着きますよね。苦しいのに、そんな自分のありようや選択をコントロールされたり否定されたら、もうたまらない。
助からない病気の治療においては、最後まで「徹底抗戦」するよりも余力を残して「終戦」していい。私も幡野さんと同じ意見です。
この女性の場合、本人が終戦を望んでいるのに、旦那さんは「徹底抗戦」。
これ以上苦しみを上塗りしないためにも、自分の人生の主導権を自分に戻すことが大切になることでしょうね。「私の治療法は、私が決めたい」とはっきり旦那さんに伝えることから全てははじまることでしょう。
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そして、もし私がこの方から同じような相談を受けたら、幡野さん同様のお答えに加えて、旦那さんの気持ちを尋ねてみることをオススメするでしょう。
とても簡単なことです。「私が望んでいないのに、なぜ、そんなに様々な治療をうけさせたいの?」です。
「病気に負けちゃいけない」「最後まで諦めちゃいけない」「希望は持ち続けろ」「夫としてあたりまえ」といった通り一遍の答えがかえってくるかもしれません。
けれども、尋ねたいのは、もっと心の深くにある旦那さんの気持ちです。
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おそらく、旦那さんはこの女性を失うことを深く恐れていると思うのです。
治療方法を探し続ける限り、「治癒」という希望のかけらを失うことはありません。そのかけらにすがりついていれば、妻を失う恐れや悲しみを感じなくて済む。
旦那さんご本人は、うっすらその恐れや悲しみに気づいていることでしょう。様々な治療法をさがしにいくという行為そのものが、恐れや悲しみの大きさを物語っているように思えます。けれど、ふだんはその恐れや悲しみに気づいてないふりをしているのでは。
それは、ご主人が自分自身の気持ちに対して(意図してないかもしれないけれど)とても不誠実なことだと思うのです。自分を欺いている、といってもいいかもしれない。
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パートナーというのは、お互い支え合う存在です。
支え合えると信じ合えているからこそのパートナー。
ただ、この相談者の女性は、旦那さんからの治療法に関する提案を受け容れることで旦那さんの気持ちを支えていることになってしまっているように思います。
末期ガンで、ご自分の気持ちを支えることすらおそらく大変なのにご主人の恐れや悲しみの面倒までみてしまっている。
旦那さんは、遅かれ早かれ妻を失うというこころの苦しみを、ちゃんと自分で受け止めなければならないでしょう。女性が末期ガンであることを受け容れていくように、旦那さんも心の支えを失うことを正面から認めて受け容れていくことは残念ながら避けられないことでしょう。
そしてこの旦那さんが、妻を失う恐れや悲しみに素直に向き合い表現できれば、二人の間にどれほど豊かな時間が生まれることか。
旦那さんの心を支える必要がなくなった女性は気持ちが楽になるし、旦那さんも自分の気持ちに嘘をつく必要がなくなる。無理のない、等身大のふたりになれるはずです。
これまで楽しかったこと、後悔したこと、やりたくてできなかったこと、今だからできること、話せること、これからまだしたいこと。
二人で泣き笑いしながら、今、目の前にある時間を生きることができるようになると思うのです。
だから、この旦那さんに伝えたい。
強がらなくていいんだよ。怖くていいんだよ。悲しくていいんだよ。
それは、当たり前なんだよ。
それを抱えて、奥さんと一緒に過ごしていけば、それでいいんだよ。 ーと。
旦那さんには、ここも読んでもらえるとうれしいかな♪
今日も読んでくださってありがとうございます。
自分にやさしくお過ごしください。
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