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43歳の私が大学院で得た4つのこと 〜修了によせて|臨床心理士への随録 心理学

2020年3月の修了式をもって、大学院 修士課程の幕が閉じようとしています。

三年前、ここに来ずに産業領域の一部しか知らぬまま臨床心理の世界に飛び込んでいたら……まあ、それならそれなりの今があったんだろうけど、結局どこかのタイミングでまた臨床心理士を恋しがっていたのだと思います。20年越しの未練を成仏させてくれて本当にありがとう。挑戦した自分を褒めてあげたいし、許してくれた妻と家族に感謝しています。

臨床心理学の幅と底を知れた

心理が活躍する医療、福祉、教育、司法、産業の5領域について、講義と実習を通じてその幅感を知ることができました。人の役に立つ心理屋になるには、心理の理論や検査法・療法の熟知は当然で、法律や他職種の専門性についても深く理解しておく必要があることがよくわかりました。これら全ては絡み合っていて、クライエントファーストの支援を考えたとき、どれひとつも無視できないのです。

大学院併設の心理相談室で、教授陣の庇護の元でセラピストとして立ち、自分の力量の高まりと身の程を感じなら、臨床の底知れなさを学びました。クライエントの病状や原因をみるのではなく、クライエントをみることが重要なのだと教わりました。現場には絶対解がひとつもありません。目の前のクライエントが抱える心理的困難それだけに対して、誠心誠意の力を注いでいきます。

いろんな奴が居ていい

同級生は学部上がり20代から社会人経験60代まで、様々な背景をもつ人の集まりでした。ここへやって来た動機や想いは各々それぞれ。最初は全員が自分と同じモチベーションではないことに苛立ち、落胆しました。でもね。それでいいんだ、そっちのほうが当たり前で自然なことなんだと、心理学、特に認知行動療法と森田療法の教えを通じて気づかされたのです。

自分の中にある偏りを無意識から意識層に表出できたこと、自他を認めて手放すことができるようになったことが、収穫の一つだったと感じています。

学ぶことの尊さと面白さ

自分の好きなことを追求するのは、なんでこんなに愉しいんでしょう。できることが増えていく喜び、自己成長の実感。講義や実習でそこそこ忙しかったはずなのに、毎日が幸せな気分でした。

勉強はその先の仕事をイメージしながらすると、目的ではなく手段になります。勉強そのものへの苦がなくなりました。記憶力や集中力はもう若者には敵わないけど、企業勤め等で得た技術、要領や焦点化などでなんとかやってこれました。発見でしたね。歳をとるのも悪くない、人生に無駄はないと思えた学生生活でした。

心理は続くよ、どこまでも

私は心理の仕事を一生続けることになりそうです。飽きないだろうなという予感があります。生涯を通じて専念できる何かを得たことがとても嬉しいです。

探究心を燃やして邁進するにはパワーが必要です。この人生の夏休みのような三年間が力の源になるでしょう。あとはやるだけです。レポートの題材にしたキルケゴールの一節(私の座右の銘です)を胸に、この先続く心理の道を歩んでいきます。

Life can only be understood backward , but it must be lived forwards.
人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きに生きることはできる

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