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「大学院修士365日で学んだこと」 臨床心理士への随録 心理学

来月にリクルートの先輩方とお話しする機会があり、私は彼らに何を語れるのだろうと、この一年で印象的だった学びを思い返していました。

心理的困難を抱え生きる人は多い

産業カウンセラーの資格を持ち、会社の衛生委員会での経験から、産業領域のメンタルヘルス事情には多少の知見がありましたが、精神科病院や児童心理治療施設、特別支援学校、特別養護老人ホーム、更生保護施設などでの実習を通じ、多くの人がそれぞれの心理的困難を抱えて生活している現実を目の当たりにしました。臨床心理全体に触れておくことの大切さ。その中で、自分の専門領域を定め可能性と限界の間で出来ることに注力する実践者たちの姿に感銘を受けました。

法律という枠組み

入学して5月くらいの段階では、なぜ教授らは法律や条例について口酸っぱく言い続けるのだろうと思っていました。教育基本法、児童福祉法、精神保健福祉法、障害者基本法などに触れていくにつれ、特に教育と福祉の法律は普通に理解しておかないと、適切な心理支援に繋げられないことがわかってきました。心理的支援のひとつの目標として社会適応があります。社会の外枠とはつまり法律なのです。

多職種連携の必要性と難しさ

日本は総人口が減り続け、近く超高齢社会に突入します。労働力の不足は、海外労働者やAI・ロボットが担うことになるでしょう。少人数で広範囲をまかなう専門職同士のチームアプローチに注目が集まっています。
企業内で組むチームと大学院学友で組むチームの質の違いに戸惑いました。学友たちの大学院に通うモチベーションコアの特異性とスキルの高低差。企業ならある程度揃っている部分がバラバラです。チーム医療に代表される、心理職も加わって形成するチーム臨床では恐らくこれ以上なのでしょう。そうした環境下で私はどう振る舞えるのだろうか。これが今の私が抱える一番の課題だと感じています。

曖昧さを抱える

「曖昧さを抱えていけることは成熟の証」という内容の文章を目にしました。「白黒はっきり、より具体的に可視化せよ」という道理だけでは対処しきれない現実が臨床にはあります。曖昧模糊とした世界を愉しめる人間になりたいです。

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千里の道も一歩からとか、神は細部に宿るといった言葉が好きになってきました。コツコツ丁寧に積み上げていくしかないと感じる日々。一年前の自分と今を比べたとき、日進月歩ほどの成長感は持てています。私は、心理屋は死ぬまでできる仕事、死ぬまで成長し続けられる仕事だと位置付けているので、すべてを学びに変え素直に謙虚に吸収し続けます。