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臨床心理士への随録

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大学院入学から臨床心理士になるまで/2018.3-2020.12/心理学/臨床心理学/臨床心理/臨床心理士/公認心理師/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント/心理カウンセラー…
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2019年5月の記事一覧

「イチローかバレンティンか〜セラピストのスタイル」 臨床心理士への随録 心理学

「イチローかバレンティンか〜セラピストのスタイル」 臨床心理士への随録 心理学

グループ・スーパービジョンでお世話になっているバイザーは「大当たりは少ないけど、的確に返す」セラピスト。打率は8割を超える。曖昧なコースに投げられたボールも、舌を巻くバットコントロールで巧みにセンター前へ弾き返してくる。

昨年多くの講義で関わり深かった教授は「理解が及ばない返答も多いけど、しばしば大当たりがある」セラピストだった。バレンティンがもつ日本記録を塗り替えるほどに本塁打を打つが、その分

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「フットボールとカウンセリング」 臨床心理士への随録 心理学

「フットボールとカウンセリング」 臨床心理士への随録 心理学

「サッカーうまい人は、カウンセリングもうまい。」

"えっ、どういうこと?"同年代の新任教授が何を指してそう言っているのか、最初はよくわからなかった。

「構造化されている認知行動療法では、全セッションのうち今はどこら辺にいて、クライエントの状態はどんな感じで、この後どうなっていきそうかを見立てながら心理面接を進めていくわけで、ほら、サッカーに似てない?」

つまり置き換えれば、90分という試合時

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「拒絶体験の痛み」 臨床心理士への随録 心理学

「拒絶体験の痛み」 臨床心理士への随録 心理学

会社員として仕事をしている時、取引先から「担当者を替えてくれ」と言われた経験があります。ご本人ではなく私の上司経由で言われたのですが、ショックでした。自分の全部を否定されたような強くズシンとくる衝撃がありました。先方が担当者に求める要件と私の得意な技能とのズレということだったのですが、受け入れて納得するまでに結構な時間を要しました。

心理面接でも、クライエントがセラピストの交代を申し出るケースが

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「自動思考の幅を広げる〜認知行動療法」 臨床心理士への随録 心理学

「自動思考の幅を広げる〜認知行動療法」 臨床心理士への随録 心理学

臨床心理士には心理療法や隣接領域の情報に幅広く精通する義務が課せられているのですが、そうした技能や知識の中にも、自分のアイデンティティというかオリジナリティというか、専門分野を定める必要があります。軸があることで前後左右へのしなりが生まれるからです。

私自身はと言うと、システムアプローチの家族療法と右脳的な森田療法の習得を目指しつつ、心理療法の軸は、医療保険の対象にもなっている左脳的な認知行動療

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「S-Rで説明できるほど人は単純じゃない」 臨床心理士への随録 心理学

「S-Rで説明できるほど人は単純じゃない」 臨床心理士への随録 心理学

実際に自分が心理面接を行い心理検査をとるようになり、部屋の設えやセラピストの関与の仕方が、クライエントへ及ぼす影響について考えさせられています。

部屋の設えでいうと、例えば椅子の向き。セラピストとクライエントが真向かいに座るのか、90度の角度で座るのか。たかが椅子の位置くらいとお思いかもしれませんが、実は多くの人は、真正面は敵意、斜めは控えめな好意と捉えます。また心理検査の場面で、セラピストが早

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