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聴くことで生み出せる救い

みなさんは、悩みごとができたらどう対処していますか?
今回は、悩み相談についてのお話を書きたいと思います。


立ち飲みバーでの異文化交流


最近、近所の立ち飲みクラフトビールバーによく足を運んでいます。

常時10種類用意されている全国各地のビールがおいしいことはもちろん、こぢんまりとしたお店にとてもユニークな人たちが集まってくるところもお気に入りポイントの1つ。

遠方からいらっしゃるビールファンの方からご近所さんまで、年齢も職業もバラバラなお客さんたちと、たまたまお店に居合わせたという共通点だけで会話できる環境がとても楽しいです。

▼最近飲んで美味しかったビールは、こちらの記事で紹介されている「ミヤタビール」さんのシードル。とってもフルーティーで爽やかでした!


突如現れたおじさまからの悩み相談


先日、そのバーに私の後から入ってきたおじさまが、明らかに元気のない様子でした。

注文前からため息、ビールを受け取ってもため息。そして、「はあ〜もうどうしようね」と困り顔で見つめられる。

これは相談したい感じですね!と察し、「何かお悩みですか?」と話しかけてみたところ、「話しても面白くないからね。いや、でも人生大変だよね〜」とため息。

いやいや、めっちゃもったいぶるやん!と心の中でツッコミを入れつつ、何度か助け舟を出したところ、ようやく重い口を開いたおじさま。そこから家庭のお悩みについて1時間程マシンガントーク。

堰を切ったように語り出された悩みはなかなかヘビーで、若輩者の私に解決策をアドバイスすることはできませんでした。

しかし、話し切ったおじさまの顔は少し柔和になった様子だったので、「スッキリされましたか?」と話しかけると、「話して少し落ち着いた」とつぶやき、ビールを飲み干して帰宅されました。

▼40代が最も悩む年代のようです。お会いしたおじさまも40代。


悩み相談のゴールは解決ではない?


最近、自分から相談するよりも友人から相談される機会の方が多い私。

せっかく頼ってもらったならば、なるべく役立つアドバイスをせねば!とコンサルタントのような気概を持ち、相手の性格や今ある状況を踏まえて話を聞きながら、頭の中で問題点を整理し、回答を導き出します。

ただし、どんなに真面目に向き合っても、自分的にベストな返答ができることもあれば、あまり最適な答えを出せないこともあるのですよね。

しかし、思い返してみれば答えが出ても出なくても、話し終わった後の友人たちの顔は、毎度少なからず晴れているように感じます。


ただ聴いてもらうということ


みなさんは、読売新聞の「人生案内」を知っていますか?

人生案内は、読売新聞の名物コーナーです。読者から寄せられた悩みや相談に回答者が答える形で、1914年(大正3年)5月2日に「身の上相談」という名前でスタートしました。100年以上にわたり読者の悩みに寄り添っています。

夫婦関係、介護や子育て、仕事、恋愛、生きる意味……。さまざまな相談に、弁護士や医師、作家ら第一線で活躍する回答者が真剣に、時にはユーモアも交えて回答しています。

読売新聞 2022/08/29記事より

私はこの人の機微に触れられるコーナーが大好きですが、これまで自分が悩みを投稿しようという気持ちになったことはありません。

会ったことがなく自分のことを知らない人に相談することは、私にとってハードルが高いことに加え、送ったところで必ずしも回答されるかどうかは分からないからです。

しかし、バーで出会ったおじさまや相談をしてきた友人たちの様子を思い返すと、悩みを言葉として吐き出すだけでも、人はずいぶんと気が楽になるのでしょう。

私はどうしても仕事脳が先行し、「課題は残さず解決すべき!」という感覚になってしまっていましたが、人の悩み相談は解決がゴールではなく、ただ話を聴くだけでも救いを生み出せるのかもしれません。


他者への想像力を高める


相談の聞き手は、聴くことで相手を救えるだけでなく、相談を通じて相手の体験や感情などを追体験することで、他者への想像力を高められるというメリットもあると思います。読書や映画鑑賞と同じですね。

人間同士のいざこざは「相手への想像がおよばないこと」から起こることもしばしば。色々な人の悩みを聞いたり読んだりして追体験する機会が多いほど、より広く深く他者を受け入れられる想像力豊かな人になれるのではないでしょうか。

そんなことを考えながら、これからもバーの片隅で誰かに寄り添いながら悩みを聴いてあげられる人間でありたいと思っています。

▼バーはお悩み相談定番スポットですが、他には”現代の人々の駆け込み寺”と銘打つ「寺カフェ」というものがあるそうです。僧侶の方とお話してみたい!




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