お庭づくり③球根の芽と、バーネットの庭
厳しい寒さにも関わらず、ここ古民家の表庭には、たくさんの可愛らしい芽がすくすく育っています。
砕石の間を縫うようにして、 ピンと勢いのある葉があっちからもこっちからも伸びています。
この古民家の下見に来たのは6月でした。その時は庭全体が雑草に覆われていて、この球根の存在に気が付きませんでした。
ちょうどアヤメの季節でした。たった一輪だけでしたが、雑草の間から華やかな顔を出していました。その根本を見てみると、たくさんのアヤメの球根が埋まっていました。これを掘り上げたのが10月のことです。この球根は日当たりの良い場所に植え替えをする計画です。
アヤメの花を見た日から半年が経ち、あちこちからたくさんの芽が出てきて初めて、別の球根の存在を知りました。まさかアヤメ以外の球根もあったなんて。
調べてみると、水仙の球根でした。本当はもう花の咲く頃ですが、ご覧の通り葉っぱばかり。花が咲くのは、栄養を蓄えて球根が大きく育ったものだけなのだそうです。市販の球根は、花の咲く球根になるまで育てたものを選んで出荷しているんですね。また、日当たりが悪いと球根が十分に育たないのだそうです。このお庭は一日を通して日陰〜半日陰なので、もっと日当たりの良い場所への植え替えが必要ですが、今は適期ではないので、しばらくこのまま置いておく事にしました。
とはいえ、このままでは窮屈そうなので、少しだけお世話をしようと思います。周りの砕石を取り除いていくと、長く伸びた芽の周りにもたくさんの球根があって驚きました。
この芽を見つけた時に、私はある情景を思い出しました。メアリーというみなしごの少女が、引き取られた親戚の家にある秘密のお庭を見つけたシーンです。彼女は長年放置されたお庭の中で、芽が出たばかりの球根を見つけ、その周りの雑草を取り除いています。園芸の知識もない少女が、自分なりに一生懸命考えてお世話をしているのです。
これはバーネット著の「秘密の花園」のワンシーンです。私がこの本を初めて読んだのは小学生の頃でした。とてもやさしい内容で、小学生にも理解しやすい内容です。この本の事を思い出したのは、初めてではありません。この古民家に越してきてすぐにも、あるシーンが思い浮かびました。
高い塀に囲まれたお庭で、土を掘っています。遠くに飛んでいる小さな鳥のさえずりがはっきりと聞こえるくらい、中はとても静かです。一人ぼっちで作業しているけれど、なぜか寂しくはなくて、シャベルの音がサクサクと優しく響いています。
ここ古民家の畑へと続く門の風景を見て思い出したのです。畑は塀には囲まれていませんし、開かずの扉でもありませんが、かつて手入れされ、今は放置され雑草だらけになっている状態は、本の中の秘密のお庭の状況ととても似ています。
引っ越しの荷物がまだまだ片付かない頃、その本が読みたくてたまらなくなりました。でも、その時は本の題名も、作者の名前も全く思い出せず、同じシーンを何度も思い浮かべては、偶然にあの本に出会えないかなぁと思っていました。
左利きのせいなのか、私は文章よりも画像で覚えている事が比較的多いのですが、小説に関しては特にそれが顕著です。文章や本の挿絵よりも、その時に自分が想像した情景の方を鮮明に覚えています。「秘密の花園」も、その内容から細かく想像した風景や温度や感触があって、それを思い出してとても懐かしくなり、それをもう一度体感したくなりました。題名も作者も思い出せないので、しばらくは忘れようとしていたのですが、やっぱりどうしても気になって、ある時ネットで「庭が出てくる 小説」と検索してみたのです。なんと、10分足らずで「秘密の花園」にたどり着きました!本当にラッキーです。ネットってすごい・・・。
嬉しくて、すぐに夫に報告しました。小説に興味のない夫も、私の喜びようにニコニコして返事をしてくれました。購入後は作業や育児の合間を見つけて、じっくり時間をかけて読みました。およそ20年ぶりに見る「秘密の花園」には、懐かしさが詰まっていました。あの時に思い描いたのと全く同じ情景の中に入り込んで、秘密のお庭を散歩しましたよ。20年前にはなかった感慨にも浸り、また、今置かれている自分の状況に通ずるところもあり、読み終わるのが寂しいくらいでした。
葉っぱを上から覗くと、隙間にもびっしり砕石が詰まっています。どうしてこんな所に芽が出せたのか・・・植物の生命力には驚かされます。
中の砕石を丁寧に取り除きました。見ている私としてはこれだけでも居心地が良さそうに見えるのですが、実際どうなんでしょう。水仙からすれば案外、どっちでも良かったりするのかな・・・。
砕石を取り除くと、今度は球根がむき出しになってしまいました。なんだか寒そう・・・。水仙のお世話は次回に続きます。良かったら見てくださいね。
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