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秋の台所基地

 台所仕事は、私が好きな家事の一つです。

 私は独身の頃から継続して、娘が一歳半になるまで画家活動をしていました。現在は、娘との時間を大切に過ごすために、画家活動はお休みしています。その道を歩んでいる方にはよくお分かりいただけるかと思いますが、画家活動というのはいわばライフワークなので、一定収入があるわけでもなく、全ての作品が、必ずしも収入に繋げるためのものではありません。それが自分でもよく分かっていたため、そんな風にさせてくれる夫にはいつも恩を感じていました。だから、家の事はしっかりやりたい、やらなきゃ!という、主婦として妻としての義務感のようなものが始めはありました。また、私は小学三年生頃からほぼ全ての家事を手伝っていたので、「家事は好きか嫌いかではなく、やるもの。」と考えていました。

 そんな、「家事は好きか嫌いかではなく、やるもの。」と考えていた私が、始めのきっかけこそ思い出せませんが、突然ぬか漬けが作りたくなって、実際に作ってみたことをキッカケに、保存食にどハマりする事になりました。ぬか漬け、塩漬け、高菜漬け、らっきょう漬け、梅干し、そしてWS参加で体験させてもらった手前味噌・・・どれも本当に夢中になりました。更に自分の作った野菜を、お漬物にしてみたくなって、プランターで野菜を作り始めました。

 夢中で保存食や野菜を作っていくうちに、「家事は好きか嫌いかではなく、やるもの。だけど、好きだと毎日めっちゃくちゃ楽しい!」と思うようになりました。そこから掃除の方法や、刺繍やダーニング、家庭菜園のイロハなど、家事や暮らしごとに関連する本を読み漁り、全て実行できなくても、いつかやろうと夢見て、どんどんハマっていきました。ちょうど、娘を妊娠した事によって巣作り本能が働いていた事もあったと思います。楽しくて楽しくて、本当に夢中になりました。

 産後、無理してでも続けていた画家活動に限界を感じ始めた頃、疲れやストレスを発散する場所がなくて困り果てていました。絵を描くためにはまとまった時間が必要なのですが、そもそもトイレに行く事すら思うように行かなかったので・・・ましてや絵を描く時間を確保することは、相当難しいものがありました。また、大作には集中力も要するので、乳幼児育児中のひどい寝不足の頭では、全く満足の行く作品が描けず、かえってストレスが溜まりました。

 その点、家事は育児との平行作業ができます。更に、五分あれば完結できるような作業が膨大にあるのです。その膨大さゆえ、「名も無き家事」なんて揶揄され、家庭環境によっては妻がそれに押しつぶされる事になりうるというジレンマもありますが・・・ありがたい事に、私はたまたま、本当にたまたま、この「名も無き家事」がわりと好きだという事が分かったため、今ではご機嫌でこの趣味に没頭するようになりました。

 特に保存食作りを中心とした台所仕事はその最たるもので、ひた向きに手指を動かせば必ず報われるところが、私をご機嫌にしてくれます。

 そんなわけで、私は台所を基地のようにして、一日のおよそ半分をここで過ごす日々です。


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 上の写真は、今住んでいる古民家に引っ越す前に台所を撮ったもの。この古民家に住みたいと思った決め手はたくさんあるのですが、この台所もその一つです。


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 これが現在の台所の様子です。今日は朝から雨が降っていて、室内はこのように薄暗いのですが、この感じも懐かしい感じがしてとても好きです。庶民的かつ、昭和の雰囲気が漂っている、私の理想の台所です。お庭の話でも同じことを言いましたが、私は手入れされすぎない感じがとても好きです。台所も同様です。例えるならば、「おふくろが茶色い煮物を炊く台所」です。そこにいるのは「ママ」でもなく、「お母さん」でもなく「おふくろ」でなければなりません。そのおふくろの作る料理も、インスタ映えしそうな色とりどりなものではなく、全体的に茶色い煮物です。おふくろの手はしわしわで、エプロンではなく、割烹着を着ている。私の好きな台所は、そんな感じです。

 理想の古民家物件を探している段階の頃、水周りだけはリノベーションをして小洒落た感じにする事も考えたりはしたのですが、やっぱりこの雰囲気は捨てがたく、元々あったシンクや吊り戸棚をそのまま使うことにしました。今後、この台所は夫と二人でDIYリノベーションをする予定にしていますが、それも今の雰囲気を生かした内容にするつもりです。

 さて、前置きが長くなりましたが、今日の台所基地での一コマは、秋の栗しごとです。ご近所の方から立派な栗をいただいたので、渋皮煮を作ってみました。



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 もちろんこの作業もしみじみ行う余裕はありません!一つ剥き、娘に歌を歌い、一つ剥き、娘と追いかけっこ。煮こぼしながら、絵本を読む。見たいと言われれば、抱っこしてお鍋の中を見せてやる。おままごとしたいと言われれば、一時中断する。とにかく常にてんやわんや。片手間にしかできません。それでもお料理は確実に出来上がっていくので、とてもちょうど良い趣味になるのです。渋皮煮は初めて作りましたが、鬼皮剥きがめちゃくちゃ楽しい!そして、お鍋がワイン色に染まる程のアクの多さにびっくりしました。


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 とても美味しくできました。娘に隠れて、パクリ( ´ ▽ ` )!!


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