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#詩

kimiiro

kimiiro

ぬり絵をすることが疲れてしまった。
枠だけ型どられた中を塗りつぶしていく
単純作業

限られた色鉛筆を眺めながら
無色はないのか探してしまう。

空は水色、雲は白、太陽は赤で、ひまわりは黄色

わかりきった色を塗って
わかりきった出来上がりを見て
わかりきった賞賛を得る

たまにはその型をはみ出してみないかい?
12色の限られた鉛筆を投げ捨てて
君の色を作り出してしまいなよ。
初めから決まった枠の

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flower

flower

込み上げる思い
この詩にのせて
届いて欲しい
私は今を生きている

何もかもが嫌になった日々
生きてる意味を考えて
握るペンは動かぬまま
乾いて写らず、白い紙

白紙の私に炭が落ち
私は私じゃない誰かに塗りつぶされる

心の叫びに気づいては
頭でかき消す、大丈夫

あともう少し
あともう少し
あと、あと…

あとがなくなるその前に
見えた光、あなたの手

つかむ私を抱き寄せて
「君はそのままで美し

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糸

絡まった糸
一つ一つ解くように
言葉に乗せる

頑固に結ばれた糸も
するりと解ける糸も
何か形を作ろうとしている糸も

同じように丁寧に
言葉に乗せて
解いていく

やがてごちゃごちゃになっていたあの糸は
綺麗な線を描き
文字となり
言葉となり
文章となり
リズムを生み出す

糸は音色を生み出し
ふわりと風にのって流れていく

風と共に踊る音色で
誰かの絡まった糸が
するりと解けるといいな

重な

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ボール

ボール

僕が投げたボール
君は両手で抱きかかえ、僕に微笑む

君が投げたボール
ワンバウンドして僕の胸に飛び込んで、僕はそれを胸へとしまう

僕が投げたボール
君は見過ごす、目線も合わせないまま

消えたボール、探す僕
僕の想いどこへ行った?

君への気持ちは受け取り手が消えて、どこか彷徨う。
僕の元へと帰っておいでよ、悲しいけれど。
居場所のない僕の気持ちの方が悲しいから。

探す僕、消える君、彷徨う想

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透明な器

透明な器

君の器はいつも綺麗な緑色をしているね。
爽やかでなんだか知的で、時には人を和ましてくれる、穏やかな色だ。

君の器は優しいピンク色。
キュートで温かい、どんな場所でもパッと明るくするような可憐な色。

君の器は深い青色。
クールで何かに包まれているような不思議な色。一見冷たく見られるかもしれないけど、穏やかな心優しい姿が色に出ているね。

透明な容器にポトポトと、水が注がれて
その色に決まりはなく

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空っぽな器

空っぽな器

満たされない器
何が欠けているかもわからないから
とやかくなんでも入れてみる。

甘いケーキ
美味しそうなフルーツ
淹れたてのコーヒー
焼きたてのパン
好きなアーティストのライブ映像
最近はまっている昔のドラマ
なんとなく眺めるネットニュース
流れの早いTwitter
返信を待たせているメールボックス

詰め込んでも、詰め込んでも
満たされない
底なしの器

青く輝く空を仰いで
真っ白な雲に手をか

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te to te

te to te

来いの手に、跳ねるハート
進む歩

恋の手に、弾む緊張
伝わる汗

置いた手に、重なる温もり
安らぐ心

老いた手に、重ねた年月
深まる愛

合いの手に、奏でる会話
2人のリズム

愛の手に、相手の温もり感じては
離しても消えぬ、心の温かさかな
#書き物 #詩 #愛をください #zoo

贅沢時間

贅沢時間

静かな部屋
ひろく開けた窓から
雨音がポツポツと、聞こえてくる。

目を瞑ってしまえば
それは子守唄
意識が遠のく頃には無音の世界

手元の本を開けば
それは壮大なドラマのBGM
吸い込まれる頃には無音の中

暗い空を見上げていれば
この世界に浸れるのか
大小異なる雨音のmusic

働き詰めの脳みそも
器用に動く指先も
一日身体を支えた足の先までも
力が抜け、ソファの中へと沈んでいく

何もない

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花

君は◯で、僕は△
あの子は□で、あの子も◯

外見は同じ人間で
中身は違う心があるね

私は少し縦長の◯で、あなたは等しい△
あの人は□というより台形ね
あの子は私と違う真ん丸

同じに見えて、少し違う
僕の見方と私の見方



みんな一緒から
一緒にしないでに
コピーからオリジナルに
集団は個となり
新たに生み出す新世界

個性が散らばるアスファルトの上
根を張り花を咲かせるか
それともアスフ

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sea

sea

眠ってしまいたい

暑い日差しをパラソルで遮り
熱い砂浜をシートで和らげ

眠ってしまいたい

子供のはしゃぐ声も
きっと1オクターブ上がっているだろう女の声も
周りに目配せしながら歩く集団の男の声も

気にせずに眠ってしまいたい

汗をかいた素肌に
潮の香りと浮ついた砂浜とともにやってくる風が通り過ぎる

私は眠っていたい

気がつけば身体がヒリヒリしていた
天高く昇った太陽がニヤリと笑う
熱さ

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a little girl

a little girl

私の脚の横をするりと女の子がかけていった。
人の多い、構内を
まっすぐ、まっすぐと。



前の人の足を踏みそうになりながら
私は進んでいく。
横に曲がる人、立ち止まる人、ゆっくり歩く人
ペースの違う流れの中で
私は人を縫う様に歩いていく。

あの女の子はどこまで行ったのだろう。
幻だったかの様に消え去った。
軽やかに進む、小さな女の子。



私の脚の横をするりと女の子がかけていく。
少し進

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トレーニング

トレーニング

四つ這いで肩や手だけが疲れてしまうのは
意識がそこにあるわけで
お腹に力を入れたからバランスが取れるわけでもない

お腹を引き締めようとプランクをやってみても
効果が出ないのは
身体の使い方が違うから
意識の仕方が違うから

意識の先に身体が動く

無意識の先には変わらない一日しかないのだろう



一点を見ても解決策は見えなくて
全体像を見てみるとポワンと浮かび上がってくる
さらに長く深く掘り

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明らかに見る

明らかに見る

調子のいいことを言うけれど
私は前を見て進んだの
惨めな思いもしたけれど
辛いこともあったけれど
それでも、私は進んだの

「頑張れ」
「諦めるな」
「続けたら何か見えるかもしれないよ」

励ましの言葉も
力の湧く言葉も
たくさん、たくさんもらったの

でもね
大きな壁にぶつかったの
わかっていたけれど、壁がそこにあることは

超えられるか超えられないか
私は試しに来たの

みんなの期待を背負うふ

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さざれ石

さざれ石

あてもなく
転がり続け
どうやら
いろんなものを
抱え込んでしまったようだ。

重くなり果てた
この身体は
転がることすら
おっくうで

もう、立つ勇気もない。

晴れの日も
雨の日も
暑い日も
凍えるような寒い日も

もう、ここで一生暮らしていこうか

次第にこのカラダには
緑色のドロっとしたものが付き
誰かの癒しになるのだろう

もう、その頃には意識もないだろうが

さざれ石の集まり
大きな巌

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