【43】 ゴールをバランスよく設定することで生まれる機能

数回にわたってゴールをバランスよく設定することについて紹介してきました。

【40】ゴールはバランスよく設定する
【41】バランス・ホイール
【42】幸福のバランスをとる

今回は、ゴールを様々な方面にたくさん設定することの意味や機能について考えてみたいと思います。


安全装置

私たちは、考えている方向に進み、考えていることを実現していきます。裏を返せば、考えていないことに関しては疎かになっていきます。
いくらwant-toで現状の外のゴールを設定し追求したとしても、大きな仕事を達成したときに健康を損なっていたり、社会貢献のみに注力しすぎて生活が困窮しては、自分が本来持っている可能性を引き出すことが難しくなってしまいます。
バランス・ホイールを用いて人生の様々な方面にゴールを設定したり、幸福のバランスをとることは、一つのことに執着してしまうことを防ぎます。
バランスよくゴールを設定することは、可能性を引き出し、様々な分野でやりたいことを実現していく機能だけでなく、コーチングの体系における安全装置としての機能も持っています。


スコトマを外す

私たちは現状の外のゴールを設定することで視点が移動し、スコトマが外れ、いままで見えていなかったことを認識できるようになります。

現状の外のゴールを設定する方法の1つは、抽象度の高い、利他的なゴールを設定することです。
高層ビルや山など高いところからは広い範囲を見渡せるのと同じように、抽象度の高いゴールを設定することで視点が高くなり、スコトマが外れます。

そして、現状の外のゴールを設定するためのもう一つの方法が、バランスよく様々なゴールを設定することです。
自分がこれまで熱心に取り組んできた分野には、すでに高いゴールが設定されている場合があります。そのような場合には、その分野のゴールをさらに高くすることが難しく感じるかもしれません。
一方で、これまで取り組んでこなかったことに関しては、現状の外のゴールを設定しやすいことが多いです。
たとえば、新しい趣味や勉強を始めること、地域のイベントに参加すること、新しい人間関係を形成することなどは、それ自体が現状の外のゴールとなります。
そして、そのゴールに向けて行動することで視点がずれ、これまでに熱心に取り組んできた分野のスコトマも外れやすくなります。
バランスよく設定された様々な分野のゴールが、他の分野のスコトマを外すきっかけとなるのです。


Want-toの体感

「『やりたいこと』をゴールに設定しましょう」と言われてもよくわからない、という声をよく聞きます。
その理由の一つに、「やりたいことをやっているときの体感を忘れている」ことがあります。
その体感を思い出すのに、「趣味のゴール」を設定することはとても有効です。
趣味のよいところは、それが他人の役にたつかどうかや、上達するかどうかといったことをを気にせず取り組めるところです。
ただ、好きな趣味であるほど、夢中になって取り組むうちに、知識や技術は自然と増えていくでしょう。
あまり現状の外かどうかということは気にせず、趣味に取り組む時間をとることで、「やりたいことをやっている」ときの体感を得ることができます。
その体感は、他の分野のやりたいことに気づく上で、とても役にたちます。


抽象度をあげる

様々な分野にたくさんのゴールを設定することは、抽象度をあげることにもつながります。
いきなり自分が心から望む抽象度の高いゴールを設定することは難しく感じるかもしれませんが、バランス・ホイールに書かれた各分野のゴール全体を統合した、より抽象的なゴールや自己イメージを考えることによって、自然と抽象度の高いゴールを想像することができるようになっていきます。
広い範囲を見渡すために、高いところに行くような感じです。
そして、抽象度が上がることによって、新しいやりたいことが見つかったり、もともと設定していたゴールよりさらに高い抽象度のゴールが見えてきます。


ぜひ、いろいろな分野や抽象度のゴールを設定し、それらに向かって行動しながらゴールを更新することを通じて、自分の理想とする世界を見つけていってください。


ワーク
バランス・ホイールを使い、様々な分野にゴールを設定してみましょう。
ゴールを書き出したら、バランス・ホイール全体を眺めながら、それらのゴールが全て実現した世界がどのような世界かを想像してみてください。