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子どもが前のめりになる!社会の授業のつくり方③

社会が苦手な、すべての若手教員に送ります!3回目の「子どもが前のめりになる!社会の授業のつくり方」です。

1回目では「社会の授業のめざすもの」、2回目では「学習指導要領が教えてくれる」というテーマで書いてきました。興味があれば、下のリンクからのぞいてみてください。


1.社会の授業がめざすもの

ぼくは社会科を、「社会を豊かな視点でとらえ、ともに幸せを追究していく子を育てる」教科だと考えています。


2.学習指導要領が教えてくれる

<授業づくりの最初の3ステップ>

(1)学習指導要領を開いて、育てる「資質・能力」を確認する。

(2)子どもの実態とすり合わせて、「育てたい子ども像」を明確にする。

(3)教育書を片手に「教科書」を「教材化」していく。


3.子どもが前のめりになる問い

それでは、ここから今回のテーマに移ります!

ぼくが社会の授業づくりで一番大切にしているのが、今回の「問いづくり」です。ここが成功すれば、単元の9割がうまくいくと思っています。

まず、問いづくりがなぜ必要なのか。立ち返るべきは、やはり学習指導要領です。

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教科の目標には、「課題を追究したり解決したりする活動を通して」と書かれています。

つまり、資質・能力を育てる上で、問題解決的な学習過程を充実させることが超大事だということです。


(1)ぼくはこうして失敗した

これまで問いづくりに悪戦苦闘してきた身として言えることは、これです。問いづくりは授業準備が9割!準備なしで良質な問いはつくれない!

どうやって問いづくりをするのがよいか。ぼくの失敗談を通してお伝えしていきます。

<失敗①>

ぼくは最初、教科書の学習問題をそのまま子どもに渡してしまっていました。苦手な理科では今でもやってしまいます。

でも、それだと子どもにとっては教師から与えられた問いであって、調べたい!考えたい!とは到底思えないものになってしまいます。

当然、子どもたちの心の中は「社会つまんない」であふれてきます。

<失敗②>

それならばと、今度は子どもたちに問いを考えさせました。さぁ、この資料からどんな?(はてな)が見つかるかなと。

一見、子ども自身がつくった問いでよさそうなのですが、単元のねらいに迫るのが難しくなります。

たくさん出た問いの中から、ねらいに迫れそうな問いを選んで、何とか学習問題を設定していました。

子どもたちの心の中はきっと「それ、わたしの問いじゃないのになぁ」です。選ばれた子、似ている子はいいですが、それ以外の子たちからすれば結局与えられた問いのままです。

<失敗から見えてきた最適解>

このように、失敗を通して日々学んできました。自分の失敗と向き合い、さまざまな書籍から学びを得て、いま最適解だと思う問いづくりをご紹介します。

わかりやすく、子ども一人ひとりが「自分の問いをもつ」段階と、学級で「みんなの問いをつくる」段階に分けて説明します。


(2)自分の問いをもつ

子どもたちが調べたい!考えたい!と思うには、子ども自らが問いをつくる必要があると思っています。

しかし、問いの質はバラバラで、ねらいに迫れない問いも多くあります。

そこで、提示する資料に必ず「しかけ」をつくるようにしました。子どもたちが思わず「え、どうして?」「なんで!」と言ってしまう「しかけ」です。

たとえば、2枚の資料を提示するとき、事実に矛盾が生じるものを選びます。「資料Aでは〜なのに、Bではちがう…え、どうして?」といった感じです。

これだと、単元のねらいに迫れる問いを、多くの子どもが自然につくることができるようになります。みんなの問いに集約しやすいです。

書籍でもいろいろな矛盾する資料提示の例が紹介されていますので、ストックしておくといいと思います。いいものはありがたくいただきます。

あとは、グラフの特徴的な部分を隠しておいて、後から見せるのも効果的です。

パワーポイントでグラフを提示して、アニメーションで隠していた部分が現れるようにすると、子どもはかなり食いつきます。

提示する資料に「しかけ」をつくることで、「与えられた問い」「単元のねらいに迫れない問い」になってしまう問題はクリアしました。

ぼくはここに付け加えて、問いづくりのための「疑問詞」も提示しています。頭の中には問いがあるのに、それを言語化できない子がたくさんいたからです。

具体的には、「いつ(から)ー?」「どこでー?」「何がー?」「誰がー?」「どちらがー?」「なぜ(どうして)ー?」「どのようにー?」を提示して言語化させています。

これを提示するようになってから、問いを量産できる子が増えました。いろいろな視点から問いをつくれるって大切なことですよね。

ただし、「いつ(から)ー?」「どこでー?」「何がー?」「誰がー?」は調べたらすぐにわかります。

反対に、「どちらがー?」「なぜ(どうして)ー?」「どのようにー?」は調べた上で、考えたり話し合ったりする必要があります。

そのため、前者を「小さな問い」、後者を「大きな問い」と区別して子どもたちにも伝えています。みんなの問いに適しているのは、もちろん「大きな問い」です。

みんなの問いである「大きな問い」は単元のねらいに迫るものであってほしいです。でも、一人ひとりが純粋に疑問に思ったことは「小さな問い」としてそれぞれがもっていていいと思っています。

提示する資料に「しかけ」をつくっていれば、ほとんどの「小さな問い」は、「大きな問い」を解決する過程で解決できます。

もしできなかったら、それは一人ひとりが別の時間や空いた時間に調べるようにしています。


(3)みんなの問いをつくる

ここまでくれば、あとは子どもたち同士で、みんなで調べたい!考えたい!「大きな問い」を精選するのみです。

小さな問いがいくつも解決できるような問いが理想です。

ぼくは班で話し合って選ばせることが多いです。それぞれがつくった問いを出し合って、つなげながら大きな問いをつくります。

そして、班ごとにまとめた問いを全体で出し合って、つなげながらみんなの問いをつくります。

班ごとにまとめた段階で、かなり集約されてきます。提示する資料に「しかけ」をつくっているので軸がぶれません。

こうして完成したみんなの問いは、子どもたちにとって、教師から与えられた問いとはまったくの別物です。こちらがねらっている問いに集約されていくのですが、このプロセスが大切だと実感しています。

疑問に思ったことを持ち寄って、みんなで話し合って決めていくからこそ、みんなで調べたい!解決したい!と思えるのです。

まさに、これが「子どもが前のめりになる問い」です。

実際に子どもたちのふり返りには、「自分たちで決めた問いだから、早く調べたい」「解決するのが楽しみ」といった記述が多く見られました。学びが自分ごとになっていることがわかります。


ということで、今回は子どもが前のめりになる問いについて書いてきました。

ここが成功すれば、単元の9割がうまくいきます。逆にここで失敗すれば、単元全体がうまくいかなくなります。

ぜひ、問いづくりに力を入れてみるのはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。この続きは次回書きたいと思います。

参考にしている書籍のリンクを貼っておきます。そちらも、ぜひ読んでみてください!


4.教えない、全員で調べる

5.解決するのは子ども


毎回ご紹介している由井薗先生の本です。こちらは社会の授業づくりにおいてマスト本!問いづくりの幅が広がります。

問いづくりといえば、この本。樋口先生の実践はどれもおもしろく、子どもの反応もめっちゃいいです。問いづくりの視点やピラミッドチャートを参考にさせてもらっています。

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