成田悠輔さんに学ぶ、広報という仕事の未来。広報はいつまで人間ができる?
こんばんは。濱中です。
先週月曜日、PR TIMESカレッジというPR TIMES社が主催する広報担当向けの学びのオフラインイベントがありました。全国から広報担当の方々が集まり、こんなにも私と同じ広報という仕事に向き合っている方々おられるのかと驚きと感動でした。
第一部で登壇されたのはなんと、成田悠輔さんでした。「広報PRってそもそもどういう仕事?」というところから、お話してくださいました。
成田さんのお話で印象的だったことを、私の洞察も含めて今回書いてみたいと思います。
成田さんと考える「広報って?」
最近の強烈なPRの「成功事例」として、ウクライナのゼレンスキー大統領のSNS発信を紹介してくださいました。
成田さんがゼレンスキー大統領の例が「恐るべき大成功」と話す理由は、敵(ロシア)をも突き動かしてしまうほどの力を発揮したから、ということです。
広報は味方の共感を強烈に得られるような発信をすると、敵を刺激するかもしれない。今で言うと、「炎上」するかもしれないということを、常に意識して発信することが大事だということに気付かされました。
しかし、ここで私が思ったのは、敵をつくらず味方だけをつくる広報活動は可能なのか?ということです。
誰かが得として、誰かが損をする、とか、誰かを犠牲にして誰かの幸せを掴みにいく、というような状況をつくらなければ(社会全体に関わる問題を解決するために声を上げるのであれば)真正面からその動きに反撃され続けることはないと思うのです。もちろん、そのやり方には賛否両論は出てくるでしょう。しかし、目指すべきものを明確にしていれば、敵の数は増え続けることはないし、減らせるのではと(楽観主義な私は)思いました。
なので、ビジョンを意識した発信を行なうことで、味方というより「仲間」を増やし、敵をつくらない発信を行なっていくことを大事にしたいです。
なぜ広報するのか
広報はLove Letterのような想いを伝える機能があります。その一方で、「下心」もあるのも事実です。どちらか片方では成り立たないのは私も理解しています。
成田さんは「下心✖️真心のコラボ」が広報活動とおっしゃっていました。私はその通りだと思いました。また、広報は「ビジネス✖️哲学」と言う側面も持っているとのこと。外の顔、内側の想い。広報は、常に両面性を意識していなければならない仕事です。
ここで広報をする対象について考えてみます。普段、商品やサービスをより多くの人に知ってもらうために活動するのが広報の仕事だと思われがちですが、その商品やサービスの価値をわかってもらわない限り、その存在を知ってもらったとしても、その広報活動に無意味になってしまいます。
そこで成田さんのいう「広報PRはモノやコトを説明するだけではなく、その『価値』に気づいてもらうのが一番大事な役割」という話に深く納得させられました。
その背後にあるものをどう伝えるか。誰のためにどんな価値があるのか。それをあらゆる手段を使って伝えていく。それが広報の仕事だということです。
この価値を伝える、という広報PR活動で日本がいかに遅れをとっているかを露骨に表しているのがアメリカのスタートアップ企業と日本のスタートアップ企業の総時価総額の差です。アメリカの企業は「未来に創り出すだろう価値」と「約束」をしっかりとPRすることができるため、日本の約30倍の時価総額といわれています。
未来の価値をどれだけ具体性をもって論理的に、かつ共感を呼ぶ心に訴えかける広報PRができるかが大事になってくるということですね。
言葉は実は最先端の「メタバース」
長いプレスリリースは読んでもらえないから、PR動画を作っている。そんな広報さんの声を聞くこともよくあります。確かに長い文章によるPRはマンネリ化しているし、当たり障りのない言葉はスルーされてしまうことが多くなっているのも現状です。
成田さんは「動画は直撃型」である一方で「言葉はじっくり想像させる」ものだといいます。動画と言葉は比べるのではなく、まったく別物と捉えるべきだというのです。そして「今こそ言葉のもつ力を見直すべき」だと。
言葉は私たちの頭の中にある「イメージ」を思い浮かび上がらせます。時間をかけてゆっくりと印象づけることのできる言葉は実は最先端のメタバースと同じだと成田さんはいいます。これは面白い!と私は思いました。
AIがひとつのワードから勝手に映像を作れる時代だからこそ、言葉が人の頭の中にイメージを作り出すというのはそれこそが豊かさだということです。即効性にばかり気をとられてしまうせっかちな時代に、言葉がもつ「ゆっくりじっくり」な効果を、今一度広報活動で大事にしていかなければと思います。
その意味で文章によるPR活動は今後もなくなることはないと確信しました。文章力は磨き続けたいですね。
広報活動はいつ、AIに乗っ取られるか
成田さん曰く、テンプレ化した広報活動は今でもすでに機械化できると言います。プレスリリースなどはその例です。
その一方で、人間が広報活動をする意義は何でしょうか。
成田さんは「ものすごく変な熱量とか、計測されがたい人間味のある広報活動」ができることとおっしゃっていて「なるほど」と納得させられました。
と、同時に自分の「想いファースト」な広報スタンスは間違っていないと思えました。この先熱い気持ちを持っていれば、AIには一生乗っ取られることはないと思いました。
以上、少し長くなりましたが、成田さんのお話をベースに改めて広報PRについて考えてみました。今回もお読みいただきありがとうございました。
熱い想いを大切に、広報PRの活動に励んでいこうと思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?