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君たちが豊かであることを

仕事やらなんやらで早起きの日が続いていたので、何もない日曜の朝も気持ちよく目が覚めた。

忙しさにかまけて雑然とした部屋。いいや、日曜があるからと放っておいた。ついに25℃まで下がった気温、ふいに吹く風が冷たい。昨日の半袖は秋の日差しの真ん中で揺れる。このコーヒーを飲み終えたら掃除機かけよう。

好きでやっていることの最中に苦手な作業があったり、できればやりたくなかったけれど手を進めれば意外とスムーズに終えられたり、ということがある。心の引っ掛かりは、突如生まれたり消えたりする。楽しいだけじゃいられないけれど、嫌悪も長くは続かない。プラスとマイナスをちまちまやりくりしながら、心の平穏を保っていくのだ。

ここ数年、週の半分はたくさんの子どもたちと過ごしているわけだけれど、仕事でもなければ家庭でもない、世間一般とは少し異なる繋がり方だと思っている。役割の定義は特にいらない。肩書きがあってやっていることではなく、あの子たちと私たちがつくる空間が好きだから、場を開いている。子どもの居場所はいくつあっても良い、そこに安心を感じられるならば。

子どもたちのことがかわいくてたまらない。憎まれ口叩く子も、べたべたにくっついてくる子も、みんなかわいい。それしかないくらい、愛おしくてかわいい。その上で、ままならないこともたくさんある。楽しいだけでも嫌悪だけでもない日常を一緒に送っている。笑っていても怒っていても、私はいつも他の瞬間よりいい顔をしていると思う。いきいきとは、こういうことを指すんだきっと。

みんなに豊かでいてほしい。与える側のつもりではいない、一緒に育ちたい。いいことも悪いこともどちらも起きていく毎日の中で、どうすれば自分を守れるのか、どうしたら優しくなれるのか、一緒に考えたい。言葉にすれば綺麗すぎるほどだけれど、日常の私たちはもっと泥臭い。それでいいよね、ひとつずつでいいよね。

秋晴れの午前中、全身が緩む。
コーヒーはすっかり冷めてしまった。部屋を片付けたらもう一杯淹れて、ファンタジー映画でも観よう。

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