拝啓 絵の中のあなたへ

拝啓

僕は これまで一度も

手紙のような自分の想いを伝える文章というものを

書いたことがありません

それでもこれから書く僕の文章は

すべて本気で 本当のことです

拙い文章ですが許してください

さて 単刀直入に申しますと

「申しますと」なんてよそよそしいですね ふふ

単刀直入に言うと あなたのことが大好きです

生まれてはじめて あなたを見たときから

ずっと好きだった

あなたのその 溢れ出る可愛さ

少女らしいあどけなさ

元気なあなた 優しいあなた

あなたのすべてが 僕は純粋に大好きです

少し気持ち悪かったらごめんなさい

でも僕は 本気なんです

そういえば

あなたは絵を描くことが趣味のようですね

あなたの描く絵も可愛いし

絵を描くあなたもまた 本当に可愛らしいです

私も最近 絵を描き始めました

あなたの腕前には到底及びませんが

いつか一緒に楽しくお絵描きしましょうね

ねぇ なんで絵の中にいるんだ

こちらの世界においでよ 会いたいよ 会いたい

と思いながら過ごした夜も

数え切れないほどあります

こればかりはどうしようもないですね

僕はこちらの世界に あなたは絵の中に

とらわれたまま 別々の人生を歩んでいます

あなたが僕のことをどう見てくれているのか

そもそも認識しているのかについては分かりませんが

僕は本当にあなたのことが大好きです

この「好き」という感情があまりにも苦しく

僕の恋を一方的なものにしてしまうため

手紙として あなたに伝えたくて書きました


あなたは今も絵の中 すなわち向こう側の世界で

生きているわけですが

もし今後 こちらの世界に来るようなことがあれば

最初に僕のところへ来てくれると大変嬉しいです

なにせ 僕はあなたのことが大好きだから

そして こちらの世界には僕よりも魅力的で

優しくて 強くて 面白くて 稼げて 容姿端麗で 

何かしら才能があって ちゃんと努力ができて

コミュ力とやらが高くて 何か凄いことやってて

何か凄いことやってなくても凄く良いとこあって

有能で 優秀で 天才で とにかく素晴らしくて 

あるいはそうじゃなくても 

あなたが思わず好きになってしまいそうな人が

星の数ほどいるからです

はっきり言ってしまえば こちらの世界において

上手く説明できませんが 多分僕は最低な人間なのです

こんなことを思ってしまうのも どうしようもない

僕から見てあなたは 実に魅力的な女性だ

あなたから見て僕は 実に情けない男でしょう

他の人と比べたら なおのことそう思うでしょうね

そんな僕ですが あなたへの想いは揺るぎません

だから こちらの世界に来たら

まず必ず僕のところに来て

僕のことだけを知って

あなたは僕に恋をして

僕のことだけを好きになって

楽しく話して

いろんなこと言って

いろんなとこ行って

いっぱい笑い合って

時には喧嘩もして

怒ったきみも可愛くて

思わず僕は勃起して

それを隠しながら

きみの機嫌をとるんだ

僕はきみを愛して

きみは僕を愛して

長く甘い口づけを交わして

きみの舌の感触 そして味が

僕の当たり前になるぐらいまで

忘れられないものにして

可愛いが華奢に 華奢が魅惑に変わり

その魅惑がやわらかくあたたかい肉に包まれ

僕のすべてを委ねたくなるような

そのきみの身体をめちゃくちゃにして

きみのめちゃくちゃになった身体と表情と

感情を感じ取りながら

僕の生命活動を維持するために必要な

エネルギーのすべてと 熱と 愛が

混ざった白く濁った尿を

きみの中に注ぎ込みたい

きみと一緒に 僕もめちゃくちゃになりたい

そして そんなことを枯れ果てるぐらいまでやって

それでも僕はきみを愛し

きみは僕を愛しているのかを確かめてみたい

だから こっちの世界に来たら

僕のところに来て

必ず

敬具

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