天瀬とうこ

小説ずきなシングルマザーです。赤ちゃんと暮らしているよ。

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最近の記事

5ヶ月と17日

 このままもしこの人が目を覚まさなかったならば・・・お昼寝についた赤ちゃんを前に、そんな縁起でもないことが頭をよぎる自分は少し疲れている。在宅ワークの女社長は、いつもそんな私の辛い気持ちを呼び覚ます。本当はもう関わりたくないけれど、今更辞めづらい。ただそれだけで、嫌な気持ちになりながら、今日もチャットワークに目を通す。  自分の内側から原因がなくなれば、嫌な人は目の前からいなくなると良く聞く。どうかこの女社長に目の前からいなくなってほしい一心で、今日も自分の心を掘り下げる。

    • 「〜しろ」って言われたからした、っていうのは立派な責任転嫁なんだな。

       もう、うるさいな。そんなに大騒ぎするなら私のこと、もうぜんぶあなたたちで決めていいよ。  こどもの頃の記憶。着たい服、習い事、進路、部活。自分の意思を出せば母とおばあちゃんは、あーだこうだの大騒ぎになる。だから私はいつでも自分の意見は出さずに、アニメや漫画に逃避しては毎日ボーッとしていた。  あなたたち、そんなに前に出て私のこと全部やりたいなら、やっていいよ。どうぞどうぞ。だから私はでしゃばりが嫌い。人の仕事奪って何が楽しいの。見苦しいね、鼻息荒くして、人のやるべきこと奪

      • 5ヶ月15日

         あの頃もし、憧れたのが、漫画のくだらないパロディエロ同人誌即売会と、その作家さんなどでなかったら。もっと高尚な、文芸や、アートや、芸術、などであったならば。いやしかし、人間は、自分の内にあるものに惹かれ、出逢っていく。あれは、あの頃の自分には丁度よい、それ以外には上京の理由など見いだせない、ぴったりの出逢いだったのだ。  いつでも絵が上手くなりたいと思っていた。絵さえ上手くなれば人生拓かれると単純に思っていた。目を背けたくなる恥ずかしくみっともない幼い自分の記憶が蘇る。普

        • 5ヶ月と14日

           深夜3時。泣きわめきながらもおっぱいを飲ませようとすると拒否するその歪んだ顔が、なんとも、周りの大人たちから甘やかされて調子に乗っているように見える。数十分、様子を見て、先にミルクを作りに台所へ。部屋へ戻ると、ベッドの上に置かれた我が子は手足をじたばたさせてまだ泣いている。仕方なく抱っこする。  「どうしておっぱい飲まないの。」ギャーギャー泣きわめくだけの息子を抱っこしながら、少しずつ授乳の姿勢にもっていく。  「おじいちゃんも、おばあちゃんも、ずっと甘やかしてくれるわ

          5ヶ月と13日

          わにゃにゃにゃにゃ、わにゃにゃにゃにゃ。息子が可愛すぎて、私はよくこう表現する。お手てやあんよ、ほっぺに両手で触れながら。今は夏。簾越しに近所のこどもの声が聞こえる、この田舎のとある一軒家。私の実家である。そういえば、今年は暑さのわりにセミの声が聞こえない。暑すぎて集団でどこかへ行っちゃったのかな。昨年の春、父方のおばあちゃんが亡くなった、その翌月に、私のお腹にやどった彼。ちなみに去年のセミの声も覚えていない。おばあちゃんと同じ兎年なので、赤ちゃんはおばあちゃんの生まれ変わり

          『うつ病は重症でも2週間で治る、もし・・・・・・』【加藤諦三・三笠書房】を読んで。理想的な自分を模索する。①

          この本の前書きで、「気がふさいでしまったとき、とにかく一度読んでみてください」と作者は語る。タイトルの「もし」に続く言葉は、 「毎朝あなたがまず最所にすることが、どうしたら人を本当に喜ばせてあげることができるかと考えることであり、そしてそれに固執すれば」 だという。 実は人生の中で私は、「鬱になる人は偉い」「鬱になる人は、そのくらい悩んで苦労しているんだから、優遇しなくてはいけない」ってずっと思ってきたところがある。人のことを心配して心配して、考えて考えて仕方が無いから

          『うつ病は重症でも2週間で治る、もし・・・・・・』【加藤諦三・三笠書房】を読んで。理想的な自分を模索する。①

          東拘永夜抄(加藤智大)を読んで。【批評社】自分にはどの立場から何が出来るか?

          「解」に続けて、2014年1月25日初版のこの本を読んでみた。半日くらいで一気に読み終えてしまうくらい、読みやすく引き込まれ、共感しやすかった。私は良く「自殺して復讐をしたい」という気持ちになる。それは誰に対してかというと、私をわかってくれなかった人たちへ。きっと私が死んだところで、何かを感じ取るインテリジェンスは持ち合わせていないとは知りつつも、そのような願いを抱いてしまう幼稚な自分を持て余す。 加藤死刑囚が、本人と同じように『親に支配され情報を遮断されているばかりに正し

          東拘永夜抄(加藤智大)を読んで。【批評社】自分にはどの立場から何が出来るか?

          セルフ・ネグレクト~ゴミ屋敷、ホームレス、ひきこもり①榎本由美(漫画)

          このシリーズはkindleで読んでいますが①~⑥まで(続きも出ているのかな?今のところ私はここまでしか読んでいませんが)まるで自分のことのように読みました。一人暮らし状態の部屋で、どうしても部屋が片付けられない、仕事に出かける準備以外にはお風呂に入る気力もない、(お腹だけは空く)、そんなときの最終手段としてこのシリーズを読むと、「一歩間違えばこのストーリーの主人公と同じ目に遭う」と危機感を覚え、やっと動き出すことが出来ます。 ①~ゴミ屋敷の女~主人公の女性が自分にしか見えま

          セルフ・ネグレクト~ゴミ屋敷、ホームレス、ひきこもり①榎本由美(漫画)

          加藤智大『解』(批評社)を読んで

          加藤死刑囚は私と同郷で、1つ下の学年で、小学校、中学校と同じだ。私は違う学年の人と関わることはほとんどなかったので直接の面識はないが、1つ下の学年に混ざって良く遊んでいた同級生は「あの事件の顔は、本当にカトウだった」と驚いていた。 事件で傷を負った方、亡くなられた方へ、心よりその傷および心のご快復と、ご冥福をお祈り致します。同時に、それだけで風化させてはいけない内容だと感じ本書を手に取りました。 それを前提で敢えて表現すると、「加藤死刑囚も私も、そんなに変わらない。」であ

          加藤智大『解』(批評社)を読んで