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セルフ・ネグレクト~ゴミ屋敷、ホームレス、ひきこもり①榎本由美(漫画)

このシリーズはkindleで読んでいますが①~⑥まで(続きも出ているのかな?今のところ私はここまでしか読んでいませんが)まるで自分のことのように読みました。一人暮らし状態の部屋で、どうしても部屋が片付けられない、仕事に出かける準備以外にはお風呂に入る気力もない、(お腹だけは空く)、そんなときの最終手段としてこのシリーズを読むと、「一歩間違えばこのストーリーの主人公と同じ目に遭う」と危機感を覚え、やっと動き出すことが出来ます。

①~ゴミ屋敷の女~

主人公の女性が自分にしか見えません。イケメン劇団員「リョウくん」の追っ駆けをしているうちに時が過ぎ年をとり、周りはみんなちゃっかりしっかり生活力をつけ先のことも考えて着実に生きていたのに、自分だけなんにもなくなっちゃってたことに、そのイケメン劇団員の引退(しかも別のファンの女の子とできちゃって)を機に気付く主人公なのです。めちゃめちゃ気持ちわかるで。

そのイケメンと出来ちゃった女性「絵麻」をさして「男ってさ、ああいう色白ナチュラルメイクのフェミニンな女の子好きだよね~」「結婚したら家計も家事もしっかりできる、でもベッドの中では豹変!だったら更に完璧だよね」という他の女性たちのセリフ。主人公の葉子はそんなことも知らずに自分の太めになった体形を隠せるロリータファッションにいそしんできたのだ。ロリータでもメンヘラ美女はモテると思うけど、そういう問題でないね。

ちなみに他の女性たちのセリフは最もだけど、ある一人の男にとってそんなステレオタイプの姿となって完璧だからといって何がどうなるというの、と今年40歳で独身の私は思います。葉子はリョウ君と結婚出来たら嬉しかったのかもしれないけど、絵麻のように他の女子たちを出し抜いて抜け駆けしちゃうような不誠実さはなさそうだから、絵麻と同じタイプとして生きていても追っ駆け以上にはならなかっただろうし、男の理想の姿を目指す前に、「自分とはどういう人間か、社会とどう関われるのか」を考える機会があったら良かったのだろう。

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画像:セルフ・ネグレクト1より引用

ゴミ屋敷は現代の病とは限らないはずだけど・・・

私はよく、YOUTUBEの『特殊清掃チャンネル』を見ていました。最近はなんだか違う世界のものが映っている(!?)感じがして気持ち悪くなってしまうので見ていないんですが、こちらのチャンネルではゴミ屋敷や特殊清掃の必要となったお部屋、お家をきれいにしていく会社がその様子等をお話ししてくれます。
特殊清掃チャンネル

たぶんゴミ屋敷は今に始まったことではないのだと思うけど、注目され始めてきたのは平成も後半になってきてからという感じがします。高齢化が進んできたことがその原因かと思いきや意外や意外、30代などの若い人にもゴミ屋敷の住人は多いようです。

私は有機物系のごみはなるべくちゃんと処理するようにしているので、まだこの本の主人公葉子の最終形態には足元にも及びませんが、いつでも葉子化する可能性はあると思っているのです。秋葉原の加藤死刑囚と自分が紙一重で、ちょっとしたところを踏み越えて向こう側へ行ってしまうのではという危機感があると同時に、この葉子へも同じ気持ちがあります。それを防ぐためにこうしてnoteを書いています。

自分を振り返ると片付けが出来ないときは、何か不安があるときが多いですね。私の場合主にお金のことです。ちょっとでも不安がある時にその不安を整理して動き出すというスキルが足りないかな。葉子も、見たくない現実に一つ一つ蓋をしているうちに、ゴミだらけで自分の居場所もなくなるようなお部屋の住人となってしまった。私の部屋も、その片鱗があって、なんとか片付けたくて、希望が欲しくて、これを書いています。

でも、希望が湧いてこない・・・。死にたい。どうせ死ねないのに、どうしてこのような気持ちになってしまうのでしょうか。気を取り直せるといいのですが・・・。

②ホームレス主婦

これも自分のこととしか思えません。お金の管理が出来ないままお嫁に行って、破綻してホームレスになってホームレス男性の相手を何百円とかの安い金額でするようになって、結局実家へ戻る女性「幸枝」のお話。汚い漫画喫茶で暮らしながら、お母さんが部屋をきれいにしてくれていたから清潔に暮らせた、お父さんがお金を稼いできてくれていたからひもじい思いをせずに暮らせていた、と幸枝が泣くシーンがあるんですが、本当にその通りですよね。でも気付いた時にはゼロに何をかけてもゼロっていう。わかります。性行為、ましてや本番セクロスなんて、ふつうに良いベッドでしたって疲れるのに、公衆便所とか公園という劣悪な環境で(それを好きという人は別でしょうが)、やりたくもないのにやるのは凄まじい苦しみでしょう。結局彼女は実家へ帰って納屋で暮らすことになりました。私もそこまで堕ちることを想像すればこの汚い部屋を片付ける気に、少しはなってきたかも。

③ひきこもりを30年続けた女

これもまあ・・・美緒というどこにでもいそうな女の子が引きこもりになっていくお話です。結局①②の二人とこの美緒、そして私にに共通しているところは、あんまり自分の頭で考えない、っていうところな気がします。わかる、わかるよ。自分で考えたくないよね。不安なこと多すぎるし。美緒はお母さんと共依存で、結局最後は一人ぼっちになってしまいます。

部屋を片付けられなくて、死にたいとか思っている時って、そんな自分の未来を想像できなくなっているか、想像したとしても「それでいいや」と感じてしまっている。でもやっぱりこれだけリアルな作品たちを見せてもらったときには、こんな私でも「このままじゃいけない」と奮い立つものがあるのです。逆に言えばそういった恐怖がなければ立ち上がる気力もないとも表現できます。

④ハケン女の虚飾

この作品では、特に「健康」について考えさせられました。認知のゆがみもそうとうある美月チャンが、自分ばっかりセコく見栄を張った生活を続けるうちに、糖尿病からくる目の病気になってしまいます。健康保険証のこともちゃんとしていなくて、結局は病院で診断されたあともお金を払えずに逃げてしまいます。

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画像:セルフ・ネグレクト4より引用

この美月チャンからは、①~③の主人公たちに感じたシンパシィとはまた別のものを感じます。『人徳、積んでないのね・・・』っていった感じのものです。①~③は、逃げまくりの人生で人に迷惑もかけて自分も苦しんでいるんだけど、周りの人との関わり方に、ちょっとした弱さとか優しさとか気弱さとか、人間らしさが見え隠れします。なので、作品内での描写はなくても、「他の人への小さな親切とか、している場面」っていうのが想像できるんですよね。でもこの美月チャンからはそういった姿が一切想像できない。自分を大切にすることで人にも幸せを与えるという、幸せな人がやっている基本をなぞっていないところが、美月チャンの良くなかったところだし、今の自分もうっかり忘れかけていることだよ。

そしてどうしてこの④の主人公だけチャン付けなのかというと、なんだかそんな風に呼んでも決して「小馬鹿にされた」とか感じてくれなさそうだからです。「自分は若くて可愛いので、チャン付けされている」くらいに思ってくれそう。

⑤堕ちゆくアイドル

これは、これまでの中で一番可哀想な主人公かなと感じます。比較するのもおかしいですが・・・アイドルデビューをしたは良いけど親も事務所も最悪だったという・・・これは本人にはどうしようもない。これを読んで自分も改めようと思えることがあるとしたら、契約書はちゃんと読む、っていうことくらいだ。

⑥ゴミまみれのキャバ嬢

大学行ってもキャバクラやって就活しなかったとか、自分と重なります。主人公彩菜ほどリア充ではありませんでしたが、甘やかされ過ぎた女として、共通するところがあります。あ、でも今良く読み直したら、彩菜は一応就活はしたみたいですね。同じ扱いをして失礼した。

トイレットペーパーなくなっちゃったからティッシュでいいや

うーんサニタリーボックスもいっぱい

いいや この部屋には私しかいないんだから隠さなくても

ゴミ出しって朝早いから起きられないんだよねぇ・・・

完全に危ない階段を転げ落ちる彩菜の序盤のセリフの数々です。案外この社会で普通に頑張って仕事していると、簡単にこうなっちゃうと思うんですけど、それはなぜなんだろう?それを考えることなしに、この記事を書いている意味がない。

バイト代すぐ消えちゃった それなのに電気とガスの督促状が来て・・・困ってるのよ

わかる、わかる。どうしてそうなっちゃうんだろうね。一生懸命仕事して働いているはずなのに。

でもこの彩菜はさすがに若い。ゴミ屋敷状態が保証人である親に見つかって、地元へ戻るように促されても、まだ何かをあきらめずに変な男についていって殺されてしまうというラストです。

これらの作品は私達(私)にどういった教訓を運んでくれるのでしょうか?

・自分で考えろ

・希望を捨てるな

・底辺より下はある

こんなとこですかね・・・。

・どうせ生きるならきれいに生きて、人様に貢献しやがれ

これもありますね・・・。

さ、部屋、片付けよ。

心から気持ち良いと感じられる環境を作って、良い自分になって、社会と関わろう。

それにしてもよう散らかっとるわ・・・

読んで下さってありがとうございました。

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