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2019年4月の記事一覧

朝井リョウ(2015)『何者』新潮文庫



どうしてだろう。「必死」になっている人のことを恥ずかしく思ってしまうのは。そしていつからだろう。綺麗なはずの言葉を素直に受け止められなくなってしまったのは。これが、大人ってことなのかな。違うよ。

何者かになりたくて、もがいているんだったらいいじゃない。たぶん綺麗だからさ。いまに見てろよ。私は、私のなりたい者になる。私だけがなりたかったあの日の何者かに。

読売新聞経済部(2019)『インサイド財務省』中央公論新社



この国を動かす一つの組織の内実が、綿密な取材によって鮮やかに描き出されている。強く感じるのは財務省という組織が、この国の最高峰ともいえる人材集団であり、その一挙手一投足にまだ大きな影響力があるはずだということ。

理念を持って、この国の行く先を遠く見据え、解を考え抜く財務官僚の、誇り高きが再び蘇らんことを。そして、顔も見ぬ多くの国民一人一人の幸せを背負って立たんとする気概を持つ人間がこれからも

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