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書評

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2018年3月の記事一覧

トルストイ著=木村浩訳(2012)『アンナ・カレーニナ(上)』新潮文庫



愛と人間生活の物語である。仕事と家庭と、夢と現実と、そして希望と絶望の美しいまでものコントラストに胸が苦しくなる。頭では分かっていても、心が動くのは止められない。世界と人間とはそんなものであるし、そんなものではないとも思わせてくれる。

生活はまだ連綿と続いていく。これから先どのようなことが起きるのであろうか。分からないけれども、少し楽しみにしておこう。(中巻に続く)

藤原正彦(2011)『日本人の誇り』文春新書



主に歴史認識の問題について、どちらかといえば当時の日本を擁護する立場で書かれた新書。歴史とは、史実そのものではなく、後の時代を生きる者によるある種の創作であることは避けられない以上、様々な見方があって然るべきだろう。

自国の過去や伝統に誇りを持つことが出来なければ、社会の発展も目前の課題解決もままならなくなるという主張には完全に同意するところだ。我々はチーム戦。チームに誇りを持とう。