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2018年2月の記事一覧

窪美澄(2012)『ふがいない僕は空を見た』新潮文庫



人間はどうしようもないほどに、どうしようもなくて、それでも毎日を生き続けている。食べて、寝て、交わって。美しい毎日を生き続けていく。そんなリアルを描いている。

これほどまでに人間臭く描かれたならば、それはもう汚いとか綺麗とかの話ではなく、ただただ現実の色でそこに横たわっているようなものだ。全てを受け容れて次に歩みだす、その背中を押す一冊。

マックス・ヴェーバー著=脇圭平訳(1980)『職業としての政治』岩波文庫



政治とは、崇高な理想の実現のために、人の欲望とかそういう低俗なものを手段として使わなければいけないものだよというお話。それに耐えられる現実主義者が政治家としての天職を持つみたい。

彼の言う「政治」は、聖人の為してきたこととは違うものみたい。自己中心的な革命家のやっていたこととも違うみたいだけど。まぁ、くじけぬ気概が大切だということは、切り出せば、みんな同意するだろうね。