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「編集力」とは、著者をやる気にさせる「質問力」だ/編集者の言葉#22

確かにそうだ!と心のなかの〝スキ〟ボタンを何回も押してしまったのが下記の言葉。著者に質問するときのポイントは? という質問にダイヤモンド社の寺田さんが答えた一文にある一節です。

僕の仕事の大部分は、著者への質問です。どれだけ著者をやる気にさせつつ、質問の妙によってキラーフレーズが拾えるかが勝負なのです。

『スゴ編。』

寺田庸二さんと言えば、勝間和代さんの『効率が10倍アップする新・知的生産術』や、最近では『門外不出の経営ノート』(小山昇さん著)『哲学と宗教全史』(出口治明さん著)など多くのベストセラーを世に送り出している編集者です。

確かに編集者の仕事の大部分は、著者さんへの質問です。そして著者さんをやる気にさせつつ、キラーフレーズが拾えるかどうかが勝負です。ですから、打ち合わせなり取材なりをしていてキラーフレーズを拾うことができれば、心の奥でガッツポーズをしたくなります。

そのためにはどんな工夫が必要なのでしょう。寺田さんは、先ほどの言葉の前に、こんなことをおっしゃっています。

5W1H(Whatーなに、Whyーなぜ、Whereーどこで、Whenーいつ、Whichーどちらの、Howーどうやって)です。僕が「なぜなに君」になって、わかっていてもあえて質問します。

『スゴ編。』

5W1H。基本中の基本といえますが、この基本を自在に使いこなしながら「なぜなに君」モードで質問するというのが面白いです。

大抵の編集者はインタビューの下準備として、著者さんの著書や資料を読み込んでいます。慣れたジャンルやテーマの本なら、さらに知識も蓄積されているでしょう。

それゆえ、実際にその本を買う読者なら「何それ、面白そう!」と思うことを見逃してしまうのも、時にありがち。知識を身につけるのは大切なのですが、知識にとらわれると見えるモノも見えなくなる。

そんな残念なことを防ぐために、フィルターを一度真っ白にして「なぜなに君」モードになる。そのうえでインタビューに挑む。「質問する自分」が変われば、「質問に答える著者さん」の言葉も変わるのではないでしょうか。

著者さんからすれば、いつもとは違うところの頭を使うことになり、キラーフレーズがフッと出てきたりするのでしょう。

「週刊朝日」の名編集長だった扇谷正造さんも、〝何といっても、「人間こそ宝庫」だ。インタビューは、いわば、その発掘のためのシャベルであり、ツルハシだ。〟と述べています。

時代は変わっても、編集力とは質問力なんですね。日々の取材に活かしたいと思った言葉でした。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
よい一日を!


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