カフカも埋もれていた? 書籍編集者が持つ「タイムマシンの設計者」としての役割とは/編集者の言葉#26
しばらくお休みしていました「編集者の言葉」シリーズ26回目をお届けします。今回は、『イシューからはじめよ』『ティール組織』『解像度を上げる』などのベストセラーで知られる英治出版の共同創業者・原田英治さんの言葉です。
この原田さんの言葉は、書籍編集者の役割を改めて私たちに問いかけてきます。出版不況が叫ばれる中、編集者は何をすべきなのか。原田さんの言葉から、そのヒントを探ってみたいと思います。
編集者の役割:本というタイムマシンの設計者
原田さんは、書籍編集を「後世に残るもの」をつくる技術と表現しました。それは、単に情報をまとめるだけではありません。「後生に残るものとは何か」と目利きを働かせ、未来の人々へ感動を届ける。ある意味壮大とも言える役割が編集者にはあります。
いま出版界では「売れる本をつくる」という流れがはじまっています。もちろん、出版も事業ですから本が売れることが生命線です。しかし、冒頭の原田さんの言葉は、出版という仕事についてもっと本質的なことを述べています。
例えば20世紀最大の作家とも言われるフランツ・カフカは、存命当時、知る人ぞ知る作家に過ぎませんでした。それが今日のように評価されるまでになったのは、カフカの理解者であった親友マックス・ブロートの尽力のおかげです。
カフカのデビュー作は初版部は数百。これがなかなか売れなくて、全部売り切るまでに12年かかったと言います。単に採算で考えれば「なし」の企画ですが、マックス・ブロートのような理解者や、「カフカの作品は後生に残すべきだ」と考えた編集者の手によって、残され、いま世界の名作として読まれるようになっています。
つまり、「長く残っていくもの」を生み出す技術者としての編集者は、出版業界の外から見れば希少性の高い存在だということもできます。その意味で、編集者はどんどん新しい挑戦をしていって、「なにを未来に残していくべきか」を考えることが重要なのではないでしょうか。
なかでも書籍は、過去の知識や経験、感情を未来へ伝えるタイムマシンのような存在です。編集者は、そのタイムマシンを動かす重要な役割を担っています。著者の伝えたいメッセージを深く理解し、読者にとって価値ある形へと昇華させる。それは、現在の、そして未来の読者との対話とも言えるでしょう。
編集者が今なすべきこと
原田さんの言葉から考えるに、編集者が今なすべきことは3つあります。
本質を見極める力をつける: 情報があふれる現代において、本当に価値ある情報を見極める力はますます重要になります。同時に編集者は、著者の伝えたい本質を見抜き、読者に届ける必要があります。
未来への責任感で仕事を考える: 編集者は、未来の読者へ何を伝えるべきか、という責任感を持つ必要があります。短期的な利益だけでなく、長期的な視点で価値ある本を世に送り出すことが求められます。
新たな挑戦を恐れない: 出版業界は変革期を迎えています。編集者は、従来の枠組みにとらわれず、新たな挑戦を続ける必要があります。デジタル技術の活用や異業種との連携など、可能性は無限に広がっています。
編集者の未来:可能性への挑戦
原田さんは、編集者の持つ技術は、出版以外の分野でも活かせる可能性があると語っています。それは、編集者が持つ「情報を価値ある形に変える力」が、社会の様々な場面で必要とされていることを示しています。
編集者は、不朽の名作を未来に届ける存在です。原田さんの言葉から、編集者の持つ可能性と使命を再認識し、新たな時代に向けて挑戦を続けていくべきだと感じました。書籍編集者という仕事は、出版業界、そして産業界の未来についてますます欠かせない存在になったと言えます。
ところで、冒頭の言葉は株式会社ライツ社さんのこの記事を拝読して、「これは面白い」と思って皆さんにシェアしたくご紹介したものです。
最後に記事を参考にさせていただいた株式会社ライツ社さんに、この場を借りて深くお礼申し上げます。
「編集者の言葉」シリーズで人気のある記事を挙げておきます。よかったらご覧いただけると嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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ありがとうございます!
編集者の未来は明るいと感じた
つくだ@書籍編集×作家でした!
皆様にとって、「誰もが心の疲れを癒やし、そして再出発に向けて力を蓄えるための場所」と、このnoteがなりますようにこれからも尽力していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
あなたにとって、幸せな1日になりますように!
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