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副業人材に活躍してもらうための❝くればぁ❞なアイデア(前編)――オープンでフラットに、お互いが楽しめる関係になる!

多くの副業人材の方を巻き込んで仕事の進め方をアップデートしている株式会社くればぁ。
石橋衣理社長に、副業人材活用のポイントや一緒に取り組むにあたっての思いを聞いていきたいと思います。


――なぜ、副業人材を活用しようと思ったのでしょうか? 最初のきっかけも教えてください。

最初は、新商品開発に力を入れたいという背景がありました。INPIT 知財総合支援窓口さんに知財分野に詳しい人を社内に配置すべきですよ、と言われ愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点さんをご紹介していただいたんです。

国内でもそうですが、今後海外に展開していく場合には特に、知財に強い人間が社内にいないと商品開発の時点で適切に権利化できないということでした。そこが当社の課題だということは感じていました。

製造業において新しい商品を開発し、特許出願をすることは重要です。
ですが、それはかなり専門的な分野ですし、できあがった商品を特許出願するのか開発中に特許出願するのか、そういった判断や進め方は、くればぁにとっては難しいテーマです。

それに、私たちのような中小企業では、常にいくつもの開発に取り組む商品開発部署があるわけでもないので、知財の専任を置くというのも現実的ではありません。

そんなとき、オンラインで関わってもらえる副業の専門人材を活用してみたらどうかというアドバイスをもらい、募集をしてみました。

――知財を担当する副業人材の方とは、どのような仕事をされているのでしょうか? 初めての副業人材の受け入れはうまくいきましたか?

知財をお願いしている方は、アパレル系業界で商品開発を担当されていた方です。大企業でのご経験があるので、町工場が作る商品開発の仕方とは全然違うはずです。

それでも、縫製の業界のこともよく理解されているので、大企業でのやり方をそのまま当てはめようとすることなく、当社にとって適した進め方をご提案いただけるので、とても助かっています。

その方は東京在住なのですが、東京や関東のマーケットの情報をいただけることもとても貴重です。業界の展示会などにも自ら出回って、レポートをいただいたり。
自分でどんな展示会があるのか調べて、「これとこれの展示会は参考になると思うので、行ってきていいですか?」と持ちかけてくださいます。

防災用の商品開発を進めているときには、「副業のおかげで、すごく防災の意識が高まりました!」「うちのマンションに、こんな防災グッズのチラシが入っていましたよ!」って、気軽に連絡いただけるような関係です。

――オンライン副業で関わっている方なのに、すごく前向きな関わりをされているのですね。

オンラインの副業人材の方に仕事をしていただくのは初めてだったのですが、私も最初は驚きました。
「毎日いる社員だったら、そこまでするのかな」って正直思うんですよね。勤務時間とプライベートって、どこかで線引きしちゃうのが普通だと思うんですけれど。

その方はプライベートでも防災グッズを試してみたりしていて、「自分が商品開発しているんだ!」って思ってくださっているなというのをすごく感じます。

知財に関する社外アドバイザーということでお願いしていましたが、くればぁの社員であるかのように我が事として一緒に考えていただけるのが、本当にありがたいですし、信頼しています。

――本業があった上での副業だからこそ、純粋にやりがいや楽しさを見出していらっしゃるのかもしれませんね。

そうですね。「今まで自分が知らない分野だからこそ、もっと突き詰めてみよう」という前のめりさを感じます。会社の指示でやらされてるっていう感じではなくて、自ら求めに行くっていう姿勢ですね。

それは知財の方に限った話ではなくて、広報の方など他の副業人材のみなさんにも共通して感じるところです。「副業ですが、どこか趣味のような楽しさがある 」って言ってくださる方もいます。

それが本音か建前か分からないですけれど、そう言っていただくだけで私たちも嬉しいですし、ありがたいです。興味を持ってくれているんだというところで、信頼感も生まれますね。

――知財の他にはどのようなテーマで、これまで何人の副業人材の方と仕事をされているのでしょうか?

知財と同じタイミングで、ちょうど課題に感じていた企業広報についても副業人材を募集しました。その後に、SEO、デザイン、営業の領域でも副業の方に入っていただいています。広報についてはこれまでお二人に関わっていただきましたので、延べ6人の副業人材の方とお仕事をしています。

そのあたりの副業人材の募集や仕事の進め方については、こちらの記事でもお話していますので、ぜひ読んでみてください。

――広報の方が途中で変わったのは、何か理由があったのでしょうか?

最初はプレスリリースを書いてメディアにアプローチすることを得意とされている方にお願いしました。企業広報に取り組むのは初めてだったので、メディアに発信するのが広報なのかなという漠然とした考えで始めました。

ただ、中小企業なのでプレスリリースするような新製品や新しい取り組みが頻繁にあるわけではなく、メディアにたくさん出ることが経営課題の解決にはつながらないかもしれないと感じるようになりました。

メディア向けの広報よりも、社内向けの広報を通して従業員がいきいきと仕事に向かうようになれば、組織は強くなり、会社のブランディングにもつながるのではないかなと考えました。
そこで、最初の方との契約が終わってから、社内向け広報やコーポレートブランディングの知見がある方を新たにご紹介いただき、今も継続してサポートを受けています。

社内向け広報で最初にご提案いただいたのは、従業員エンゲージメント調査を行うことでした。組織課題を客観的に捉えて、どこが強くてどこが弱いのかを把握した上で、そこに向けた社内広報のアプローチをしましょうと。

そうした現状把握を踏まえて、これまでやってきた地域貢献の取り組みをしっかり記事などで形にしたり、社長による発信を通してくればぁのビジョン・ミッションを社内に浸透させていくことに取り組んでいます。このnoteがまさにそうですね。

――副業人材の方はみなさん専門性があると思いますが、会社の課題と専門性がうまくマッチングすることは重要なのですね。

会社にはなかった役割や専門性だからこそ、会社にとって今何が課題なのかを掴めるまでは少し遠回りも必要だったのかなと思います。メディア向け広報も将来的には必要になってくると思いますが、今の会社の課題にとって必要な専門性とは少しずれていることが分かっていなかったんです。

ただ、副業の方は正社員で採用するわけではないので、比較的柔軟に関わっていただきやすいというのはありがたいです。副業の方にとっても、自分の力を存分に発揮する機会を求めていらっしゃるように感じますので、マッチングはとても重要だと思います。

最初の方もお二人目の方も、製造業とはまったく違う業界にいらっしゃっても豊富な経験や専門知識があるからこそ、「こういうことが必要なのではないですか?」と、客観的に見つけ出してくれています。外部からの伴走型サポートだからこそ、その時々の課題に必要な提案やアドバイスをいただけるのが心強いです。

――伴走型サポートというのは副業人材との仕事のスタイルとしてよさそうですね。外部の会社との業務発注や常駐型の業務委託との違いはどんなところでしょうか?

そこは外部の発注先とも業務委託とも違う、絶妙な距離感がありますね。

外部の会社だと、こちらで課題を明確に定義して、解決法を提案いただくことになりますが、それだと自分で気づけていない課題には取り組めません。
それに、会社の経営課題はいろんな要素が絡み合っているので、部分的に切り出してしまうことが必ずしも最適ではないこともありますし、課題定義してオリエンして提案を受けて業務発注する間に状況が刻々と変化していくこともあります。

一方、業務委託だと正社員に近いので、完全に内部の視点になってしまいます。

そういう意味で、副業人材の方は絶妙な距離感です。豊富な経験や専門性があった上で、客観的に社内のことを見つめていただけるので、副業人材の方による伴走型支援というのは、すごく良い関係性ですね。

――伴走型で副業人材に参画してもらうにあたって意識していることはありますか?

「できる限り共有するフラットな関係」「お互い楽しんで取り組める関係」ですね。

外部の会社さんだと、基本的には提案されたときにこちらが受け入れるかどうかになります。合わなければ受発注が成立しません。

一方で、副業人材とのプロジェクトの場合は一緒に作っていく感覚が強いです。外からの視点も踏まえつつ会社の状況もある程度理解していただいているので、YES or NOではなく有効かつ現実的な企画ができあがります。

そのためには、良いことも悪いことも共有することが大事だと思っています。お願いしている業務に直接関係しないこともあえて見せます。部分的に切り出して発注している関係ではないので、こちらが必要かどうかを判断せずに、できるだけオープンにしていかないと一緒に作り上げられないと思っています。

また、本業でもご活躍されていてお忙しい方が多いので、副業への期待は必ずしも金銭的報酬ではないんだろうなと感じています。本業とは異なる業界への興味、今後のキャリアにつながる経験、地方経済への貢献など、それは人によって様々かなと思います。いずれにしても、「やっていて楽しい」「やって良かった」と思ってもらいたいですね。

何より私自身が楽しんでいますね。社内や地元のつながりでは触れることのない方たちと仕事ができて、日々新しい考えに触れて、それを会社の仕事に活かしていけるというのは刺激的ですね。

――持っている視点は社外ならではでも、関係性は社員さんとの距離感に近いのでしょうか。

心情的には社員との関係に似ていますね。取引先さんの中には、契約業務以外でもざっくばらんに情報交換したりすることもありますが、ビジネスメリットを前提にお互い考えるのは当然なので、どこか線引きはありますよね。

ただ、社長という立場としての私の個人的な感覚だと、正直社員より近いかもしれないですね。副業の方達に対しての方が、けっこうさらけ出しているんじゃないかな(笑)

完全に社内でも社外でもない絶妙な距離感だからこそ、接しやすかったり、話せることがあったりしますね。副業の方と取り組む仕事は、お互いに目的や目標がはっきり見えているので、オープンでフラットでいやすいのかなと思います。

――ありがとうございます。後編では、なぜ「オープンでフラットな関係」「お互い楽しんで取り組める関係」を期待するのかについて、石橋社長の仕事観やくればぁのカルチャーにも触れつつ、聞いていきたいと思います。

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