金髪のエメラルド＃14 モデルから女優に転身

ご報告。わたくし、自意識たかこ、御堂筋をモデル歩きでランウェイする案件は延期になりました。期待していたファンの皆様大変申し訳ございませんが私は悪くありません。
私の秘書、メモパッド氏が延期にしたのです。


「完全なる準備不足です。」

「なんですかその三段腹、なんですかその猫背。」

「お菓子を控えると言いながら2週間も辛抱できず、今宵もまたベッドに寝転びながらプリングルス・サワークリームオニオン・ロング缶1本と、ブルボン・アルフォート・ファミリーパックを交互に味わい、あっという間に空っぽにして。」

「そんな体たらくで御堂筋をモデル然として堂々と歩けるのですか？」

メモパッド氏がペロリと舐めた指でページを捲めくって苦言を呈した。

確かに。メモパッド氏の言う通り。
自分磨きを怠りすぎた。それに御堂筋までの交通費が足りなかった。たこ焼き代も必要だ。

まとまった金がいる。私は働いた。

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今日はグーグーガンモに説教された。初日からグーグーガンモのこっちを見る目は冷たいと感じてた。案の定挨拶をするとグーグーガンモはケツをプリプリをさせ語気を荒く顔を赤くしていた。既に怒っているのが解る。解りすぎる。うわー話しかけずらい。グーグーガンモは言うことが二転三転するから戸惑う。言ってないのに言ったと自信たっぷりに断言し、まるでこっちのミスのように持っていくのが上手い。グーグーガンモは鼻息荒く「疲れるわー」とこちらに聞こえるようにに独り言を言ってきた。
「いやいやいや、こっちが疲れるわ」と思った。しかしこちとら人間ができているので一切顔に出さない。

無反応なのが気に喰わなかったのか休憩中にビルの裏に呼び出され説教タイム。やたらとコミュニケーション、コミュニケーションと連呼していて萎えた。まるでこっちが報連相すらしてないみたいな言いっぷり、真面目にやってるだけじゃダメらしい。適度に雑談をしてご機嫌を伺わなければならないようだ。「もっと積極的にコミュニケーション取りましょう」どこかで聞いたようなセリフ。あー小学校の通信簿の教師からのコメントだ。破って捨てたあの時の通信簿かよ。
真面目に手を抜かずにやってるのに何でこんな仕打ちと思ったね。

一から十まで言わまいでもわかっとるから、わかっとるわい。そっちが積極的に指示しろよ。と言いそうになったが飲み込んだ。

話長すぎて途中から何喋ってるのか頭に入ってこなくなった。うるせえなあごちゃごちゃと思いながら聞いてるフリをした。

心のゴミバケツに我慢玉が貯まった。
我慢玉がバケツ一杯に貯まったら
「いやいやいや、こっちが疲れるわー！」と怒鳴り、
バケツひっくり返してやろうかしら。
びっくりするかな。どうかな。

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様子を見ていたら、なるほどグーグーガンモも少し早く入っただけの新入りだという事が判明した。
グーグーガンモは古株先輩に結構注意されていた。

なーんだ。にわかが古参気取ってBAD COMMUNICATION語ってたというわけか。
たった今B'zのBAD COMMUNICATION流れたわ、脳内で。
これからグーグーガンモと顔合わす度に脳内でBAD COMMUNICATION聴けるわ嬉しいわ。

何で怒られてるの俺、何で？真面目にやってるしメモとってるし普通にしてるのになんでこんな目に合わなきゃいけないのかよ。

はあ～。いつだって・どんな時も・大体こういうコミュ力押し付けタイプに嫌われるんだ、おれっち。。。

まあ意見を直接言ってくれるだけありがたいとも思える。

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私は女優よ。
背筋を伸ばし「申し訳ございません。かしこまりました。」と丁寧な言葉遣いで対応し、汗をぬぐって一生懸命さを演出してみたり、笑顔の演技をしてみたりした。

するとグーグーガンモは仕事が終わる頃には般若顔から恵比寿顔に変わっていった。

根は悪い奴ではなさそうだ。

sorry、こっちの得体が知れないから怯えていたんだね。
グーグーガンモは、可愛いパピヨンだったんだね。🐶ワン。

「可愛いパピヨンだったんだね。🐶ワン。 」

つづく