シャブダ【sabdah】

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最近の記事

【エッセー】Will you shut up bloody dance here! (やかましい、ダンスをやめろ!)

久し振りに笑った。TikTokに投稿されているイギリスランカシャー州の双子の女の子たちの話だ。アイスクリーム販売のワゴン車へアイスクリームを買いに行った女の子が値段が高過ぎるとスマホを向けている母親であろう人物に不満と怒りをぶちまけている。 「どうしたの?、女の子たち」と娘たちへ呼掛ける母親の声に                 「Sooooooー(あのねー)!」と言って次から次へとワゴン売りのアイスクリーム屋を罵倒する女の子。                    

    • 【映画レヴュー】サン・セバスチャンへ、ようこそ Rifkin's Festival

       人生というものはいつも上手く行かない。恋愛にしろ仕事にしろ自分自身の在り方にしろ、生きる意味とは何なのかをついつい考えたくなるものだ。  ウディ・アレンの「サン・セバスチャンへようこそ」は、いつもながらのアレン節ともいえる映画であり、そんな気分の時に観るにはぴったりの作品だ。  舞台は映画祭が開催されているスペインのサン・セバスチャン。そこで繰り広げられる一組の夫婦を始めとする男女四人の恋愛模様、その最中に主人公リフキンの頭の中で往時の映画の1シーンが妄想としてオーバーラ

      • 【音楽レヴュー】THE STREET SLIDERS 40th Anniversary Final Special GIG「enjoy the moment」WOWOW生中継 24/04/06日比谷野音

        ※このレヴューは、WOWWOWでの生中継を視聴して記したレヴューです。  会場である日比谷野外音楽堂で直接観て記したレヴューではありません。  4/6(土)17:30よりにWOWWOW放送において、TheStreetSlidersの東京日比谷野外音楽堂でのLIVEが生中継された。昨年5/3に日本武道館で行われた23年振りの再結成LIVEに続く生中継LIVEである。  コロナ下におけるオンラインLIVEと言う新たな方法が生まれ、 メンバーも昨年の武道館での生中継も経験している

        • 【詩】 月の光

          絨毯に乗った女が夜空を回転している 堕ちる先はセロテープの回し車の中だ 歯が折れたモグラはいつも光を求めているが 指輪の言葉を知らないため テーブルで骨付きの肉を食べたばかりの 聖者の唇を油取り紙で拭っている 耳を切り落とした 象の頭を売るセールスマンは 口から粘々した臭いを今日も吐き出し 指に挟んだ神殿の中のパスワードを サンクトペテルブルグで元で買おうとするのだが 飴を売る屋台の女は 草原で四方に向かって声を 張り上げるだけで 紀元前のアメリカ人は 路端の安楽椅子

        【エッセー】Will you shut up bloody dance here! (やかましい、ダンスをやめろ!)

          【レヴュー】Liam Gallagher & John Squire

            リアム・ギャラガーの歌声は人を魅了する。  フェスのあちこちの会場で各ミュージシャンが同時に演奏していたとしても、リアムの声は即座にわかる。蜜に引き寄せられる蜂のように人はリアムのステージの前へ足を運ぶはずだ。   そのリアム・ギャラガーがジョン・スクワイア(ex-the stone roses)とタッグを組み3/1にアルバムを発表する。30年前であればきっと英国の人たちは興奮のあまりアメリカへ紅茶を売るなとか、フットボールをサッカーと呼ぶ国へのプレミアリーグの放映権を停

          【レヴュー】Liam Gallagher & John Squire

          【映画レビュー】ミッドサマー(MIDSOMMAR)

          物語の中盤で、学友と自国の夏至祭に参加したスウェーデン出身の 友人のペレが、取り乱した様子の主人公ダニーへ言う。 「君の気持が誰よりわかる。でも僕は喪失感とは無縁だった。 この地に”家族”がいるからだ。みなが僕を力づけてくれた。 共同体が僕を育てた。僕はいつも守られていた。家族の手で」 ミッドサマー(MIDSOMMAR)がどんな作品なのかを問われれば この台詞を聞くとよくわかる。  四人の男子大学生と、そのうちの一人クリスチャンの恋人の女性ダニーは、四人の内の一人のスウ

          【映画レビュー】ミッドサマー(MIDSOMMAR)

          【レビュー】The Street Sliders|ライブBlu-ray+CD『The Street Sliders 40th ANNIVERSARY “Hello!!”』12月20日タワーレコード限定発売

          '23年5月3日に武道館で行われた23年振りの ストリート・スライダーズのLIVE演奏映像を収めたBlu-ray盤とその5日前に豊洲PITで行われたプレライヴの音源のみのCD盤セットが12月20日に発売された。Blu-ray盤には豊洲PITLIVEの特典映像が4曲分収められている。 このセットでは豊洲PITのLIVEを観たい聴きたいというファンが多いのではないだろうか。 なにしろこの豊洲PITLIVEはメンバー四人が集結し、人前で演奏する23年振りの初LIVEだったの

          【レビュー】The Street Sliders|ライブBlu-ray+CD『The Street Sliders 40th ANNIVERSARY “Hello!!”』12月20日タワーレコード限定発売

          【エッセイ】師走

           12月が近づいて来ると、何だか気ぜわしくなっていく。  景気とは関係なくまたかとげんなりするような、それにしても気分がほんの少しだけでも高揚するようなのは、これを超えれば新年だと思う気持ちがそうさせるのか。  一年の疲れや溜まった思いを12月の気ぜわしさで綺麗さっぱり洗い流すつもりで、といったところでもあろうか。やけくそみたいではあるが。  新年を迎えるにしても、その前にやれ忘年会だ、クリスマスだとかまびすしい。嫌いでは勿論ないのだが、やらなければならないことが公私ともに

          【エッセイ】師走

          【エッセイ】秋の日暮

           スーパーマーケットで秋刀魚の初売りを見かけると、 ああそろそろ衣替えの季節が来るかと、 外の風の冷たさと早い日暮れが身に迫ってきて 帰宅して納戸を開けてさて何をどこへ仕舞っていたかと 探しているうちに、時間がかかればかかるほど、 つい急がないものまで見つけてしまう。  ああ、これは妹が昨年置いていった麦酒だと、 あれは秋だったか、残して行ってしまったなあいつは、と 飲もうか飲むまいか気持ちが急いているのに手が止まっている。  ハロウィンの飾り付けをしていると いい歳をしてお

          【エッセイ】秋の日暮

           【詩】水晶の朝

          訪れはいつも不意にやって来る  準備も出来ず  冷たい身体  硬くなっている身体  変わらない表情  動かない身体  氷点下の部屋  灯る蛍光灯  停車中のパトカー  救急車はなく  降り続く雪  開け放たれたドア  見えない顔  行き来する警官  回る赤色灯  激しさを増す雪  警官の声  聞き取れない声と  聞こえて来る泣き声  救急車が到着する  運び込まれるストレッチャー  指が剝がれなくなる程に  冷たいドアと肌  車の中だけが暖かく  途端に涙が溢

           【詩】水晶の朝

          【短歌】夏の6首

           ・いっぱいに 夜空を泳ぐ 花火群 浴衣の童子が 地平線追う  ・汗をかき 風鈴の音で 擦り下ろす 山わさびの 辛み運ぶ風  ・初盆の 揺れる団扇の すき間から 炎に揺れる 写真の笑顔  ・満天の 星の夜空超え 届く音 北斗の氷 溶かすまでに  ・朝方の 川の流れに 耳澄まし 庭の水遣り 一人済ます  ・獅子唐を 嚙み切る笑顔に 浮かぶ汗 漏れる簾の 柔らかい光 

           【エッセー】迎える朝

           部屋に入ってみると、そこは何も変わらない。変わっていない。  荷物が少し増えたくらいか。毎朝掃除をしているし、棚の奥の溜まった埃はそのままだ。  気のせいか少し冷えた感じがする。気のせいかもしれない。でも気のせいではない。  もうここには誰もいないのだ。  部屋の窓から透明な光が射し込む。塵が空気の中をゆっくりと回転している。いつまでも、消えずに、光の中で。   スリッパを脱ぐ。ベッドの上に腰掛ける。  本棚には定期購読している仕事の雑誌、そして旅行の土産物が飾ってある。

           【エッセー】迎える朝

          【詩】 公園のベンチ

           六月に降る平日の雨  少女が紫陽花の上に  捕まえた蝸牛を置く  しゃがむ少女に見つめられる  蝸牛は微動だにしない  雨が強くなり  少女はさしていた傘を放り出した  蝸牛を穿つ雨の背後から太陽が現れ  陽射しが紫陽花の上の雨滴を照らす  蝸牛が紫陽花の上を這って行く  雨滴が石の上に落ちて潰れる  少女は泣き出し  その場を去った

          【詩】 公園のベンチ

          【レヴュー】20230503 THE STREET SLIDERS 武道館LIVE

          ストリート・スライダーズの結成40th記念LIVEが、5月3日に武道館で開催された。解散以来、23年振りの再結成である。 元々時代にリンクさせて、あるいは時代に合わせて表現していくバンドではなかったので、今夜も時代遅れだとか同窓会的な雰囲気とは全く無縁で、会場はまるで昨夜のツアーの続きを待つファンの集まりのようであった。 メンバーが入場し、ハリーの「Hello!」の声でTHE STREET SLIDERSのLIVEが23年ぶりに始まった。 メンバーの立ち位置は、ステ

          【レヴュー】20230503 THE STREET SLIDERS 武道館LIVE