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【レヴュー】Liam Gallagher & John Squire

  リアム・ギャラガーの歌声は人を魅了する。
 フェスのあちこちの会場で各ミュージシャンが同時に演奏していたとしても、リアムの声は即座にわかる。蜜に引き寄せられる蜂のように人はリアムのステージの前へ足を運ぶはずだ。
  そのリアム・ギャラガーがジョン・スクワイア(ex-the stone roses)とタッグを組み3/1にアルバムを発表する。30年前であればきっと英国の人たちは興奮のあまりアメリカへ紅茶を売るなとか、フットボールをサッカーと呼ぶ国へのプレミアリーグの放映権を停止せよなどと言い出していたことだろう。
  21世紀の今現在、先行してリリースされた2曲を聴けばこの二人の魅力が今も全く色褪せていないことがわかる。テンポを落とした曲構成、分厚く拡がりのあるギターサウンド、キャッチーなサビ、そしてリアムの野太い声がはまる。
 wonderwallやrollerのような曲では、リアムのメロディラインにおけるリアムの声が非常に良く生かされている。ただ曲までメロディアスになってしまうと、単なるバラードになってしまう危険性もある。
 ここを上手く引っ張り上げているのが、ジョン・スクワイアだ。mars to liverpoolは踊りたくなるようなダンス・ナンバーだ。ドラムが小刻みにリズムを刻む中で、スクワイアは冗長になることがなく上手くリアムの声を生かしている。これはプロデュースの手腕なのか、スクワイアの意向なのか、ローゼスのファンだったリアムが無意識に知っていたのか。理由はどうあれ、先行したこの二曲は完全に上手く行っている。

 この二曲が動画サイトにアップされるとコメント欄には、「ノエル・ギャラガーがジョニー・マーの電話番号を調べているだろう」とあったが、この夏のフェスではリアムの声に引き寄せられるノエルとジョニー・マーの姿が目撃されるかもしれない。

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