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【詩】 公園のベンチ

 六月に降る平日の雨

 少女が紫陽花の上に
 捕まえた蝸牛を置く
 
 しゃがむ少女に見つめられる
 蝸牛は微動だにしない
 
 雨が強くなり
 少女はさしていた傘を放り出した
 
 蝸牛を穿つ雨の背後から太陽が現れ
 陽射しが紫陽花の上の雨滴を照らす
 
 蝸牛が紫陽花の上を這って行く
 雨滴が石の上に落ちて潰れる
 
 少女は泣き出し
 その場を去った


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