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(52)人間の目の限界

「見えないもの」は「無い」のではない


人間たちは、この世で最高に完成度が高い生き物は人間だ、と思っている。

果たしてそうだろうか?

人間は言語を獲得した。が、言語と引き換えに元々あった本能を捨ててしまった。

父が亡くなった日、最後を看取ったのは猫の福ちゃんだった。

夜中に母から電話が鳴った。
「お父さんが2時37分に亡くなったよ。」

近所に住んでいた私と娘は急いで実家に駆けつけた。不思議に思ったのは、母が「2時37分」と言ったこと。父が亡くなった時間、母は寝ていた。2時40分ごろに亡くなった、というなら分かる。なのになぜ37分と分刻み?

「お母さん、寝てたのになぜ37分に亡くなったって分かるの?」

「福ちゃんがニャーンと教えに来てくれたの。」

福ちゃんはずっと父のそばに寄り添っていてくれた。父の魂が抜けた瞬間を福ちゃんは見ていた。母を起こしに行き、母が確認した時には既に父は息を引き取ったあとだった。

人間の目で見えるものなどほんのごくわずかなこと。それが全てと思い、さらにほんのちょっと生きた経験の物差しで物事を判断しようとし、「自分が正しい」と思い込むのは愚かさでしかない。

目で見たことしか信じないというのは、要するに目で見えるものはなんでも信じてしまうトラップにハマる。
人間は紫外線も赤外線見えないけれど鳥は紫外線が見える。人間に見えないものは「無い」のではなく、人間の目の限界なだけ。 

紫外線/紫🟣青🟦水色🩵緑🟢黄色🟡橙色🟠赤🟥/赤外線

「目に見えないもの」は「無い」のではない

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