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「読書酒紀」 10回目 放送後記

※番組が終わるたびに、パーソナリティが番組の感想を語り、番組中に取り上げた本のリンクと紹介をしていきます。

10回目リンク

読書酒紀第10回、後攻を担当しましたパーソナリティの野中です。
今回の収録、実は温泉旅行の夜に収録していて、正直だいぶふわふわ喋っている感じだなと編集して思いました。
深夜というテーマだったので、ゆるめに自由に話せるなと思っていましたが、案の定ゆるい感じになりました(笑)改めて、夜というのは語るテーマとしてちょうど良いなと思い至りました。
本編でも話したとおり、昼の時には噫(おくび)にも出さないような、変な自分がうっかり前面に出てくるのが、夜の面白いところなのかもしれません。
自分の頭の片隅にはずっと、昼は銀行員として生計を立て、夜は作家として迷宮のような物語を執筆していたフランツ・カフカがいました。今度もう一回このテーマをやる時は扱ってみたいものです。

今回紹介した3冊の本

①『眠られぬ夜のために』、ヒルティ 著 草間 平作
ヒルティは国際法学者として、社会的な知名度を獲得しながら、敬虔なキリスト教徒としても信仰を厚くしていた人物です。社会で生活している自分と、宗教を信じている自分とのバランス感が絶妙で、無理せず信仰を維持しているなという印象が持てるのが、この本を読んでいて素敵だなと感じる部分でした。眠れない夜にぜひ読んでみてください。

②『陰翳礼讃』、谷崎潤一郎著 
本編では彼のことを変態みたいに扱ってしまっていますが、大変態です(笑)マゾヒズムと女性への偏愛を描かせたら、この人の右に出る作家はいないと思います。ですが、それとは全く別の文脈で、この人ほど文章が巧みで、この人ほど読み手を引き込む魅力に溢れた作家もまた少ないと思います。谷崎の『文章読本』という本もあるのですが、これもセットにして読んでみると彼がどれだけ文学者として優れているかがわかると思います。

『影の現象学』、河合隼雄著 
河合の書く書籍は、誰でもお勧めできる簡潔さと優しさに溢れています。この本も、「現象学」という硬そうなタイトルとは裏腹に、ゆったりとしたいろんなテーマに飛び火する楽しい雰囲気で進行していきます。今回は扱いませんでしたが、アウシュビッツに対する河合の語り口の巧みさには、正直舌を巻きました。このくらい落ち着いてゆとりを持って文を書きたいと思わせる、自分にとって文章のお手本みたいな本です。

『読書酒紀』番組URL
https://open.spotify.com/show/36X5GlyHQcAavgvrcUvIf2

お便りフォーム(いただいたお便りは必ず番組で紹介します)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf5FXfc1gEew5YN27tg3rdPEa-AZgViEM0khg_QiHzSCQukVw/viewform


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