穴木 好生

好きな生きもの:オニヤンマ、サイ 。         好きな言葉:おもしろき こともな…

穴木 好生

好きな生きもの:オニヤンマ、サイ 。         好きな言葉:おもしろき こともなき世を おもしろく。 生きてるだけで まるもうけ。            好きな生きかた:easy-going 、 半農半書。

最近の記事

もう一つの世界25   なんか妖怪2/4

なんか妖怪 2/4  家を出るとくらい夜道、健斗は歩きながら ときどきたちどまって、木の枝にひもを むすびつけています。  ざしきわらしは ふしぎに思って、 「それ 何のひも?」 「これは めじるしや。夜でも光って見えるやろ。こうしといたら 帰り道も わかる。ほんとうは、虫とりえさのめじるしにつかうねんけどな。」  こんな子 はじめてや  ざしきわらしは かんしんしています。  さて、そろそろ唐(から)傘(かさ)小僧(こぞう)が 健斗をおどろかしに あらわれるはずです。  

    • もう一つの世界、25  なんか 妖怪1/4

      なんか 妖怪 1/4  おくぶかい 山里の森に、妖怪(ようかい)たちがあつまっていました。  ざしきわらしは きいてきたことを、さっそくみんなに話します。 「おいらがすんでる源(げん)じいの家に、子どもがひとり やってくるらしいよ。」  みんなは、やっと おどろかすあいてが見つかって、よろこんでいます。 なにしろこんな山の中、めったに人はやってきません。  一つ目小僧(こぞう)が ききました。 「いつくるの?」 「明日から 一週間だって。」 「じゃあ、さっそくおどろかしてや

      • もうひとつの童話24   ぼくは とりの ふんたろう

        ぼくは とりの ふんたろう  みかんの きの はっぱの うえ。  ぼくは とりの ふんたろう。  なまえのとおり とりの ふん。  こげちゃ と しろの まだらもよう。  まだ ぬくぬくで うごけない。  よこのはっぱに のっかった  こげちゃ と しろの まだらの むしが  むしゃむしゃ むしゃむしゃ はっぱを たべてる。 「きみも、とりのふん?」 「ちがうよ。  あげはちょうの ようちゅうだよ。」 「でも おなじいろで、おなじかたちで、おなじおおきさだよ?」 「きみのま

        • もうひとつの世界23  箱の招待状

          箱の招待状  パパとママが、またけんかしている。  どなり声が、ぼくのへやまできこえてきた。  ぼくは、どこかに消えてしまいたい。  目と耳をふさいでうずくまっていた。  じっとしていると、時間だけがすぎていく。  しばらくすると、きゅうにしずかになった。  あれっ?  ゆっくり目を開けると、ぼくは、透明な箱の中にはいっていた。  なんで?  高さ1メートルくらい。ふれるとゼリーのようにプルプルゆれる。  居心地のいい空間。  ぼくをまもってくれているんだ。  気持がおちつ

        もう一つの世界25   なんか妖怪2/4

          もう一つの世界、22  白うさぎ5/5

          白うさぎ、5/5  次の日の朝、四人は顔をよせて相談(そうだん)していた。 「先生、もううさぎたちと写真(しゃしん)をとってもいい?」 「ああ、いいよ。  とってどうするんだ?」 「ちいちゃんが寂(さみ)しがらないように、一緒(いっしょ)に飾(かざ)ってもらおうとおもって。」 「それなら、パソコンで印刷してあげるから、撮(と)ったらもっといで。 かえりに、ご両親にわたして帰ればいいよ。」  四人はうなずくと、うれしそうにうさぎ小屋に走っていった。しかし、しばらくすると、健人

          もう一つの世界、22  白うさぎ5/5

          もう一つの世界、22   白うさぎ,4/5

           小学校につくと、用務員(ようむいん)さんが通用(つうよう)口(ぐち)をあけてくれた。  初めてはいる夜の小学校。 暗闇につつまれた校舎、もう一つの別の世界がそこのあった。  四人はふだんとちがう暗闇の世界にこうふんしている。  先生の当直(とうちょく)室にいくと、4人はさっそく寝袋(ねぶくろ)を広げて、場所取りをした。  六(ろく)畳(じょう)ほどの部屋が、狭(せま)く感じる。 「君たちも来たのか。」  先生がおどろくと、おばさんが、 「ちいに会いたいといったので、親御(お

          もう一つの世界、22   白うさぎ,4/5

          もう一つの世界、22   白うさぎ3/5

          白うさぎ 3/5  次の日、きなこは、ちゃんと帰ってきた。 「どうする、ちいちゃんのおばさんにあいにいく?」   三咲は、まだまよっている。ケンはいく気満々、 「茶々がどうなったかしりたいやろ?  だって、白うさぎと一緒にあいにきたんやで。」  奈美と光司はおたがい顔をみあわせていた。 「いく?」 「いったほうがすっきりするよね。」 「じゃあ、おばさんにあって聞いてみる。」  三咲のひとことできまった。  放課後(ほうかご)、四人は家に帰ってランドセルを置(お)くと、三咲(

          もう一つの世界、22   白うさぎ3/5

          もう一つの世界、22  白うさぎ2/5

          白うさぎ、2/5  放課後(ほうかご)、三咲(みさき)は、うさぎ小屋のまえに座(すわ)りこんで、じっと見つめていた。 「どうしたの?」  奈美(なみ)がたずねると、 「『ちゃちゃ』かどうか、たしかめてるの。」 「『ちゃちゃ』って?」 「ちいちゃんが飼(か)ってたうさぎ。  ほら、身体が茶色で、頭の後ろに少しだけ白い毛がはえてる。  あたし、ちいちゃんの家にお見舞いにいったとき、うさぎを飼(か)ってるって、『ちゃちゃ』をみせてくれたの。  でも、一匹だけでかわいそうだから、小

          もう一つの世界、22  白うさぎ2/5

          もう一つの世界の物語、22  白うさぎ 1/5

          白うさぎ 1/5  三咲(みさき)は四年三組、うさぎ当番。  いつもはにがてな月曜日も、うさぎ当番になってからはまちどおしくて、小学校につくと、まっすぐうさぎ小屋にとんでいった。 「おはよう。  きなこ、ふうこ、まる。  みんな、げんき?」  クラスで飼(か)っているうさぎ三匹、もってきたキャベツの葉っぱをほうりこむと、さっそくまるとふうこがかじりだした。 「あれっ、きなこがいない?」  巣の中も空っぽ。 「おかしいなあ?」  きょろきょろあたりをみまわしても、やっぱりいな

          もう一つの世界の物語、22  白うさぎ 1/5

          もうひとつの世界の物語、21  マリーンと あんこう 5/5

          マリーンと あんこう  マリーンとカイトは、もう南のサンゴ礁にいくひつようがなくなった。  用心深く、サメがいなくなったのをたしかめると、これからふたりで暮らす、安全な場所をもとめておよいでいった。  やがて、砂地のなかに砦のようにつきでた岩場で、ふたりですむのにちょうどよい大きさの穴をみつけた。 「ここを、僕たちの新しいすみかにしよう。」 「ここなら、だいじょうぶね。  穴の中からすべてまわりをみわたせるし、もし何か危険がせまったら、まわりの小魚たちがしらせてくれる。」

          もうひとつの世界の物語、21  マリーンと あんこう 5/5

          もうひとつの世界の物語、21  マリーンと あんこう 4/5

          マリーンと あんこう 4/5  海の中は、どこまでもはてしなくつづいていた。  深くくぼんだ溝もあれば、小高い山のように起伏した岩礁もある。  どこまでいっても、そのさきにはしらない海があった。  海草におおわれた海の林、ごつごつした岩場,色とりどりのサンゴが木のように枝を広げている。  またその先へ行くと、明るい海にテーブルサンゴがおおいつくし、小魚が楽しそうにむれてあそんでいる。 ―なんて、美しい海なの。  マリーンは、海底をおよぎながら、岩のくぼみで休憩をとり、仲間の

          もうひとつの世界の物語、21  マリーンと あんこう 4/5

          もうひとつの物語の世界21, マリーンと アンコウ、3/5

          マリーンと あんこう  マリーンは、もうひとつ大切なことをきいてみた。         「アンコウさん、あたしの仲間をしらない?」 「おまえの仲間?  タコの仲間をさがしているのか?」  アンコウは、またじろりと、マリーンをにらんだ。 「たぶん、いまなら南のサンゴ礁にあつまっておる。」 「ほんとう?」  マリーンは、やっと仲間に会うことができる。  早くおよいでいきたくてしかたなかった。  アンコウは、そんなマリーンの顔をじっとみつめていた。 「おまえは、そんなに仲間にあい

          もうひとつの物語の世界21, マリーンと アンコウ、3/5

          もうひとつの物語の世界21,  マリーンとあんこう,2/5

          マリーンとあんこう  アンコウは、いまいましそうに話しだした。 「いいか、水族館と、海は全く違う世界なのだ。  むかし、お前と同じように、水族館でそだてられたという子魚にあったことがある。  子魚たちは、卵からかえって、海で暮らしていける大きさになると、何千、何万という仲間とともに、海に放されたといっておった。」 「知ってる。」  マリーンは何度も海にかえすところをみていた。 「水族館の飼育員さんが、海の資源をまもるために、子どもたちをふ化させて、海にかえすんだっていってた

          もうひとつの物語の世界21,  マリーンとあんこう,2/5

          もうひとつの物語の世界21,  マリーンと あんこう,1/5

          マリーンと あんこう  身体の半分もある大きな顔。  その口をへの字にまげて、なにを考えているのかわからない。  そばを通っただけで飲み込まれてしまいそうなこわい顔。  アンコウは、海の底から、じっと上を泳ぐ魚をにらんでいた。  そのアンコウが、頭の真ん中から、細長くつき出た竿(さお)を振っている。  しかし、アンコウのその竿の先には、かんじんの小魚をおびきよせるた めの疑似(ぎじ)餌(え)がついていない。それでも、小さく竿をゆらし、ときおり、大きく竿をふっていた。  

          もうひとつの物語の世界21,  マリーンと あんこう,1/5

          もうひとつの物語の世界20 ぼくは タコのカイトや まけへんぞ!

          ぼくは タコのカイトや まけへんぞ!     大海(おおうみ)水族館の大水槽(だいすいそう)で、ジンベエザメの甚平(じんべい)さんはゆうゆうとおよいでいた。 「甚平さーん。」 「おう、カイト、のりたいんか?」  甚平さんは、ぼくがせがむと、いつもぼくを背中にのせて泳ぎながら、大好きな海の話しをきかせてくれる。  ぼくは、この大海水族館でうまれたタコや。  そやから、いちども海にいったことがないんや。  飼育員(しいくいん)の浜(はま)ちゃんが、大空を自由におよぐ凧(たこ)か

          もうひとつの物語の世界20 ぼくは タコのカイトや まけへんぞ!

          もうひとつの物語の世界19、 宙船・そらふね

          宙船・そらふね  神さまがおりたった高天原(たかまがはら)の、  その岸辺のほとり。  ふたりの子どもがあるいていた。  おとこのこのなまえは「なぎ」。  おんなのこのなまえは「なみ」。  夜明けまえの、なみうちぎわ、  風は、まだねむっている、  淡い光だけが、水面(みなも)をてらしていた。 「おにいちゃん、あれは?」  なみが、ゆびさした。  なぎは、じっとみる。  金色にかがやき、  遠くで、小さく光っている。 「うごいてる?」  淡い光につつまれ、  水面(みなも

          もうひとつの物語の世界19、 宙船・そらふね