プリキュアに関するインタビュー等まとめ


前置き

「プリキュアが『女の子だって暴れたい』をコンセプトに~」云々言われてるから、それらしいインタビューとかまとめてみたお(^ω^)

一応引用としてリンク(出典元情報)も貼ってるけど、無断転載に該当するとかでヤバかったら一部消しますわ😅💦

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ハグプリ制作陣のインタビュー

イーアイデム 2018/10/24

坪田氏
社会への問題提起という意識は全くなくて、私たちがこの作品で届けたいのは「あなたが生まれてきたことは素晴らしい」というメッセージなんですよね。それがまず根底にある。その上で、子どもたちに「こういう社会をみんなで作れたら、ハッピーかもね」っていう幸せな図を見せられたらいいなと思っています。
あと、これは職業に限らずかもしれませんが、佐藤順一監督が「社会にはさまざまな人がいる。それが当たり前」とおっしゃっていることもありますね。私たちが生きる世界はカラフルなんだなと。
男女関係なく、エンジニアやクレーンの運転士など、「何を選んでもいいんだ」と感じてもらいたいですよね。社会には今も、女性にとって生きづらい部分が残っているんだと感じます。例えばプリキュアを見ていた女の子が、この先成長してエンジニアになりたいと思っても、誰かに「女性なのに理系なの?」などと言われて悩んでしまうかもしれない。そんなとき、「そういえば昔見たプリキュアで『エンジニア』って歌ってたじゃん!」と思い出して、自分を肯定してもらえたらうれしいです。それが、今回のプリキュアをやっている目的の一つでもありますね。

インタビュアー「職業の多様性もさることながら、今回は特に、男女の性差に対する固定観念を打ち砕くような、さまざまな価値観、生き方にも踏み込んでいるようにお見受けします。例えば、19話では「男の子だってお姫様になれる」というセリフが登場し、インターネット上でも話題になりました。」

プリキュアは1作目から「女の子だってヒーローになれる」を体現してきましたが、同じように男の子だってかわいいものが好きだったり、お姫様になりたいという願望があったりしてもいいはずです。でも、実際にはまだそこまでは言い出せない空気がある。私、5歳の男の子の友達がいるんですけど、彼はプリキュアを見てくれているのに人前では「見てない!」ってかたくなに言い張るんですよ。理由を聞くと「男が見るもんじゃないから恥ずかしい」と。気持ちは分かるんです。だけど、ちょっと寂しいなって。
 
インタビュアー「好きなものを好きと言える、自由な社会になってほしい。そんな願いも込められているんでしょうか?」

そうですね。先ほどのエンジニアの話と同じく、お姫様に憧れる男の子が「だって、プリキュアで言ってたもん!」って、自分を肯定してくれたらうれしいです。

livedoor news 2018/10/26

内藤P 
プリキュアシリーズの重要な要素のひとつに、なりきり玩具との連携があるんですが、次はどんなコンセプトの玩具でいくのか。そして、番組としてはどんなことをやりたいのか。企画の初期段階ですり合わせをするんです。そのときに僕らが考えていたのが「お仕事」という要素と「15周年」。歴代のプリキュアが登場するような、お祭り感のあるエピソードがあるといいかな、という話をしていたんですね。
その一方で、玩具では「子育て」というか「お世話」をやりたいという提案があり。直近で言うと『魔法つかいプリキュア!』でも「お世話」要素はあったんですが、あれはあくまで妖精のお世話だった。今度は赤ちゃんのお世話でいきたいと。そうやって両者のやりたいことをすり合わせた結果、今の形になったという感じです。
 意識して、現代社会に存在する問題を斬っていこうとは思っていないです。ただ、各々が感じているであろう世の中に蔓延する不寛容さ。それがもう少しよくなるといいかな、くらいの感じはあるのかなとは思いますね。アンリ君のジェンダーの問題にしても、よく「画期的だ」と言われたりするんですけど、ことさら「ジェンダー問題に斬り込もう」と思っていたわけではなくて。
『HUGっと!プリキュア』では、自己肯定感を表現したいというところもあるんですよね。今、『HUGっと!プリキュア』を観てくれてる子どもたちが、それくらいの年頃になったときに、ふと『HUGっと!プリキュア』を観てたときに感じた喜怒哀楽だったり、自己肯定感を思い出してくれたらな、と。

佐藤D
もちろん、いじめもジェンダーの問題と同様、子どもたちがどこかで通るかもしれない道ではあって、であれば避けないでやっておこうかな、とは思ってました。

座古D
 それはたとえば、アンリ君のキャスティングにしてもそうです。ああいう中性的なキャラクターの場合、可愛らしい女性の声を当てたり、男性の場合でも中性的な声の方をキャスティングすることが多いんです。でも、坪田さんは低い声の男性でいきたい、とおっしゃっていて。実際、後のエピソードで「自分が成長してしまって、声が変わってしまったことがつらい」という話が出てくる。それを聞いて、ああ、そういうことだったのかと。


ひろプリ以前の鷲尾Pのインタビュー

ふたりはプリキュア 公式HP

女の子を主人公にしたヒーローもの、「ふたりはプリキュア」がついにスタート! 「ヒロインもの」ではなく「ヒーローもの」。ここがミソ。何よりこれまでのヒロインと違う点は武器や道具を一切使わないこと。これは珍しい。魔法の杖も不思議なブレスレットも持ってない。自分の手で、脚で、相手を追い詰めなければならない。これぞアクションの王道! 
もちろん主人公は二人の女の子だから恋も友情も涙も笑いも学園生活もある。こんな日常が緻密であればあるほど、非日常の変身後が生きてくる! さらに女の子の好きな「超かわいい!」も満載。異次元からきた小憎らしい生き物、メップルとミップル。わがままで扱いづらいけど、やっぱりかわいい! 彼らの表情や仕草に注目。
日常生活にいきなり怖くてよくわからない連中が襲ってきて、変身して戦って‥…自分がそんなことになったらどうする!? 巻き込まれ型アクションストーリー「ふたりはプリキュア」、応援してください!

朝日新聞 2018/02/28 

プリキュアの戦闘には、男の子のキャラクターは参加しません。イケメンの男の子も登場するけれど、非力な存在です。女の子が主役で、自分たちで物事をとにかく突破することを見せたかった。どんなに巨大なものに立ち向かうときも、自分たちで解決する気持ちが一番大切だろうと思っていました
アニメのようなファンタジーの世界で、「男性に頼らない女性」が主人公のものが一般的なものになれば、実社会も変わってくれるのではないでしょうか。そう願っています。

ITmediaビジネスONLINE(掲載元) 2018/07/18

「従来の女児向けアニメでは、女の子キャラがピンチになると必ず“王子様”が助けに来ていた。でも私は、そんなアニメ界の常識を変えたかった。」
「プリキュア」の放送をスタートした2004年、社会における女性活躍はまだ発展途上だった。「アニメ界では、女性キャラはいつも男性キャラに助けられていた。ビジネス界では、毎年女性社員が一室に集められ『今年結婚して辞める予定の人は挙手してほしい』と上層部から告げられる企業があると聞いていた」と鷲尾氏は当時を振り返る。
そんな社会通念を変えるべく、鷲尾氏は「プリキュア」の企画を任された際、「女の子だって暴れたい」とのキャッチコピーを付けた。「女性だって、自分たちで困難を解決できる」との思いを込めたという。
「女の子たちが、りりしく自分の脚で立つさまを表現したかった。『プリキュア』の登場キャラクターが、魔法のステッキなどを持たずに“徒手空拳”で敵と戦う設定なのはそのためだ」
プリキュアを見て、『男の子だから』『女の子だから』という先入観を持たずに育った子どもたちがもうすぐ20歳になり、社会に出る。彼ら彼女らが企業の主力に育った時、大きく社会を変えるかもしれない」
そんなプリキュアたちの姿は、子供たちだけではなく、仕事に子育てに全力で取り組むワーキングマザーへのエールにもなっているようだ。まさにBWNが推進する「自分らしく働く」を実現するためのエッセンスがちりばめられていると言っても過言ではないだろう。

ライブドアニュース 2018/10/24

あの頃は、女の子向けでアクションはほとんどなかった。でもやっぱり、カッコいいとか、憧れがあるだろうなって。女の子も仮面ライダーや戦隊ヒーローを観ているようだし、やってみてもいいんじゃないかと。
「王子様はやめようね」と。「誰かが助けに来てくれる、それが男性である」というストーリーはやめようと話していたんです。男性のほうが上位概念だから、そこに助けを求めるものだというイメージはつけたくない。そうじゃなくて、自分たちの力できちんと解決したほうがカッコいいよ、って。
プリキュアが成立するために必要なことは、自分の足で立っていること。女の子が凛々しくあることが、最初の番組コンセプトでした。
これだけジェンダーのことが話題になっている今、女の子にとって、平等な社会ですか? それは皆さんのほうがよくご存知だと思いますよ。私なんかからみるとまだ、影に隠れたままではありますけれども、男性のほうが社会通念上、有利な立場にあるんじゃないのかなと思います。だとしたら、そうじゃないよって主張し続けることが必要なのかなと思いますよね。
発信している方は大人で、どういう傾向の方々かは把握しきれません。制作現場が、ネットの意見によって自分たちがやらんとしていることを疑ったり、曲げたりすることについては、慎重に考えたほうがいいだろうと思っています。「サイレントマジョリティ」という言葉があったと思いますが、賛同している約8割は発言しないけれど、反対している残りの1割か2割が発言しているケースもある。その声だけを尊重すると、全体像を見失う可能性もありますよね。
何より、この作品の対象は、発信できない子どもたちであることを見失ってはいけないと思います。

HUFFPOST 2019/03/26

鷲尾さんは「15年前に立てたテーマは、女性の主人公が自分の足でりりしく立つことでした。そして今、このテーマについて皆さんと話し合えるのが嬉しい」とあいさつした。
当時の女の子向けアニメについて「女の子らしくあることがテーマの作品が多かった」と言及。「それは違うんじゃないか。女の子たちが自分で物事を解決していくべきだ」と初代の西尾大介監督と話し合ったことが、シリーズ制作の原点になったと明かした。

@ cosme 2019/04/24

西尾監督とは『主人公である以上、自分できちんと問題解決ができるヒロインがいいよね』と意見が一致しました。誰かが助けにくるとか、それを期待するのではなく、自分の足で凛々しく立ち、自分で問題に向き合う“かっこいい”ヒロイン像です。そこで『女の子だって暴れたい!』をキャッチフレーズに企画書をつくり、それを持って関係各所に説明してまわりました
番組を作るときに掲げたプリキュア像は、『自分の足で凛々しく立ち、自分で問題に向き合う“かっこいい”ヒロイン』です。プリキュアを通じて描きたかった、『内面の強さと美しさ』を感じてくれていたらうれしいですね。

HUFFPOST 2019/10/27

企画書に書いたコンセプトは「女の子だって暴れたい」。ヒットを狙って逆張りをしたわけではないんです。
政治や社会においてもそうですが、アニメの世界でも女の子はマイノリティー(少数派)です。つまり、単純に「女の子向け」とされる作品の数が少ない。特にアクション系は、男の子向けの作品を女の子も一緒になって見ている状況がありましたから。
「敵に勝つために戦う」のではなく、「自分たちの居場所である日常を守るために立ち向かう」という姿勢も一貫していると思います。
「勝ち負け」によって、能力の序列や価値観の正しさを決めたくなかったんです。これは、初代の構想段階から念頭にありました。一つの物差しで決着をつけるということは、つまり、物ごとを「一元的」に見るということ。逆にいえば、多様性の否定につながります。
背景にはマイノリティーの居場所を守りたい、という思いも込めました。力は、強い人が振りかざすものではなく、意志を持つ人、勇気を持つ人のところに集まるのだということです。

CHANT WEB 2021/04/13

企画の立ち上げ時にも、西尾さんと「白馬の王子様を頼るのではなく、自分の足で凛々しく立つ、自分たちで問題に向き合い解決できる主人公にしたいね」と話し合っていた記憶があります。
社会問題など幼児には理解が難しいテーマを描くこともありますが、いつか大人になったときに意味が理解できればいいと考えています。
最新作の『トロピカル~ジュ!プリキュア』ではコスメをモチーフに据えています。主人公の夏海まなつは母親からもらったリップを大切にしていますが、このリップは自分の気持ちをここぞと上げるために使用するアイテムです。他人の目を意識した「女の子はかくあるべき」というメークではなく、あくまでも自分のためのメークとしての意味付けです。「プリキュアでメークする意味」が深く考えられていると思います。
長年作品づくりをしていると、女性蔑視問題など時事的なタイミングが作品のテーマと重なることもあります。子どもの頃の記憶は大人になっても強く残ると思うので、プリキュアを見て育った子たちが大きくなって社会に出たとき、自分の意思を表現する励みになれば一番うれしいですね。

慶応塾生新聞 2021/07/14

当時の企画書には「自分の足で凛々しく立つ」という文言が踊る。このコンセプトは『プリキュア』シリーズに共通した根幹的な言葉だ。
この『自分の足で立つ』ということがなされているなら、『プリキュア』は変身やアクションがなくても『プリキュア』なんですよ」。誰も長期的な作品となることを予想しなかった『プリキュア』がこの瞬間に誕生した。
『プリキュア』シリーズの根幹は「自立したキャラクター像」だ。そのために「王子様を出し、助けに来るまで待っていれば良いという場面はやめようと監督と話し合いました」と鷲尾さんは語る。
そしてこのコンセプトは女子だけに当てはまるものとは『プリキュア』製作陣は考えていなかった。近年話題になった、男の子のプリキュアの登場は社会を驚かせたが「誰もが自分の意思を持って物事に立ち向かわなくてはいけないし、問題を解決しなくてはいけないのは男も女も関係ないんです」と鷲尾さんは意図を語る。
『プリキュア』のメインターゲット層は4~7歳の女子で、アニメ表現の中では親子で安心して楽しめるようさまざまな表現が考えられている。


ひろプリ、20周年関連の鷲尾Pのインタビュー

YAHOO!ニュース 2023/02/02

(リンク切れしています🥺)
まず20作ということが信じられなくて、たぶん一番疑っているのが私です。ただこれまでずっとやってきたことは、毎年新しい子が入ってきて、毎年楽しめるようにすること。それが一番重要で、それを続けていれば、今まで観てくれた人、ずっと昔に観てくれていた人も、きっと楽しんでくれるに違いないと考えて作品を作り続けてきました。
記者からの「今作はセンターが水色のプリキュアであったり、男の子のプリキュアの誕生など、新しいチャレンジが色々ありますが、こうした新しいチャレンジを通して今の子どもたちに伝えたいメッセージは?」との問いかけには、「そもそもプリキュアは第1作のセンターが黒と白で始まっていて、いわゆる女の子が好きとされているキャラクターカラーから始まった訳ではありませんでした。しかも当時は徒手空拳といって、自分で足を踏ん張って戦う姿も作品の中にある、チャレンジ精神の強い作品だったんです
プリキュアを続けていくことについては、毎年何かチャレンジをしていくことが絶対必要。以前、いずれ時代が過ぎれば、プリキュアは女性に限らなくていいというお話をした気がしますが、もしかしたらこのタイミングなのかなと。新しいイメージ、新しいキャラクターをどんどん入れていっていい。今年は20周年の節目でもあり、皆さんのご理解を仰ぎながら、男子のプリキュアを誕生させた

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f56c76f40c614ebb039944af78d92af4252b343

HUFFPOST 2023/03/05

男の子が一緒に闘うとなると、女の子が「頼っている」印象になることを避けたいと思っていたのです。男の子向けの作品で、ヒーローが助けを呼ぶことはないでしょう。それを女の子向けの作品に当てはめてみたわけです。一方で、20年間一貫して「女の子の自立」を描いてきたなかで、プリキュアではないけれど共に闘う男の子のキャラクターも生まれました。妖精もアンドロイドも、宇宙人もプリキュアになりました。長い積み重ねの中で、チーム内に肩を並べて闘う男子プリキュアがいたからといって、「女の子の自立」が損なわれるとは感じなくなりました。
初代の「女の子だって暴れたい」というコンセプトにも表れているように、このシリーズの根底には常に、世間や社会の流れに対するレジスタンス精神があるのだと思います。「女の子ってこういうものでしょ」と言われれば「いや、そうじゃない」と言いたくなる。それと同じで「プリキュアってこういうものでしょ」と言われると「いやいや……」と言ってみたくなる(笑)。

ORCON NEWS 2023/03/06

実は“プリキュア=ヒーロー”という概念はシリーズ開始当時からありました。世間で言う“ヒロイン”という言葉から想起されるイメージは、ヒーローから守られる存在や、あるいはサブ的な役割だったと思います。そこにはずっと違和感がありながらも、“女の子が主人公のアクションアニメ”という言い方をしながらヒーロー/ヒロインという明言を避けてきたのは事実です。ジェンダー不平等をなくすことが求められる社会になったいま、ようやく『プリキュア』を明確にヒーローと銘打てる時代になったのを感じています。
視聴者を選ぶことはできないし、いろんな見られ方があるのは承知しています。しかし、決してそこに媚びることなく、あくまで子どもたちに楽しんでもらうことだけを考えています。
最近よく初代のコンセプトである“女の子だって暴れたい”について、「ジェンダー規範からの解放だった」と言われますそこよりもむしろもっと大事だと考えていたのは、「自分の足で凛々しく立つ」という同じ企画書に書いていた1文で、それこそが『プリキュア』の根っこの部分でした。困難に向かって立ち向かい、跳ね返されても諦めないこと。そして仲間を信頼し、人を許すこと。それが『プリキュア』でこれからも変わらず描いていきたいヒーロー像です。

東京新聞 2023/04/09 

「特別なことではありません。誰だって、プリキュアになる力を持っています
小学生になると整列などで、だんだん男女差を意識するようになるけど、作品のターゲットは(男女差の意識があまりない)幼稚園生~小学校低学年の女の子です。ですので「自分がわくわくしたこと」に挑戦することにしました。
例えばダイエットは描きませんでした。親御さんは、お子さんにたくさん食べてもらいたい、健康に大きく成長してもらいたいという気持ちがあります。アニメを見た子どもが、主人公に思い入れがあると、同じ行動をしたがります。主人公がダイエットをすれば「私もする」となりかねない。親御さんにとっては心配なことです。
ただ大人の目線から見るとどうか。「大人が喜ぶことはしない」とスタッフたちと話していました。
最初の年から西尾監督と話し、その後もずっと意識していたのは「自分の足でりりしく立つ」です。主人公なら、それが一番かっこいい。男の子向けアニメの主人公は、何とか自分で解決しようとする。修業したり、新しい技を編み出したりして立ち向かう。女の子だって一緒です。自立していること、独立していることがかっこいい。
おかげさまで、池袋でやった20周年の展示会の会場や新宿駅に設けた巨大電子掲示板の前には、多くの20代の女性にお越しいただけた。心に刻んでくれた人がいる。うれしい。ありがたいです。

集英社オンライン 2023/04/23

別に多様性に関して特別に使命感を持って描こうとはしていません。ただし、「ふたりはプリキュア」当初から女の子らしさ、男の子らしさという言葉は絶対に使わないと決めていました。企画立ち上げ段階で西尾大介監督がジェンダーという言葉を使っていたことを記憶していますし、抑制的なワードはプリキュアに不必要だったんです。
女の子だからといってリーダーシップを取らないのは不自然ですし、なぜいけないんだと思っていたので、我々としては普通のことを描き続けてきたという感覚でしたね。
ただ付け加えるのであれば、変化を受け入れる体制は大事にしています。
大事なことは、メイン視聴者である4歳から6歳の女の子が観て面白いと思ってもらえる作品を作るということ。どれだけ多様性に配慮した設定にしたとしても、子どもにとって憧れの存在や喜んでもらえる作品になっていないと意味はありません。
子どもは正直なので、義務感から付けられた設定なんて作りものっぽいってわかっちゃいます。
設定ばっかりこだわって盲目的になるのではなく、あくまで「自分の足で凛々しく立つ」ことを忘れず、子どもたちが喜ぶものの一環として多様性を取り入れられればなあと。
中学生って子どもから見れば少し親しみやすくてカッコいい存在になるので、主人公にぴったりの年齢だと私は考えていましたが、視聴者である女の子たちが受け入れてくれるのであれば、どんどん変わっていっても問題ありません。時代の波に合わせて子どもたちが憧れるプリキュアを描き続けることができればOKですので、スタッフには前例や使命感を覚えず、自由に発想してもらってほしいですね。
でもやっぱり当時の視聴者が観るとなると、面白いのはもちろんですが、子どもにも観せていいと思ってもらえる作品を作り続けていかなくてはいけませんね。「私が観ていたころとは違う」と思われるものを作ってしまっては意味がないので、ずっと好きと言ってくれる作品を作らなければいけない……。そう思いますね。
私としては女の子らしさ、という観念は特に気にせず、女の子、男の子問わずに自分の力で立ち向かえる作品を作ることがベストだと考えています。自分の足で凛々しく立つことができていれば、男女差は関係ないということは、作品を通じてはっきりと伝えていきたいです。
プリキュアとして製作していくことが難しくなっていくようなことがあれば、無理やり続けていく必要はないと考えています。終わりが来たら受け入れる覚悟は出来ています。
その日が来るまでに女の子、男の子限らず視聴者の子どもたちには、友情や助け合いを通じて自分の力で自立することの大切さを感じてもらえる作品を送り続けることができれば幸いですね。

https://shueisha.online/entertainment/124924?page=1

https://shueisha.online/entertainment/124948?page=1

Aneひめ.net 2023/08/27

男の子については、プリキュアは女の子だけに拘らない、時期が来て子どもたちが受け入れてくれるのであれば、男の子がいたって不思議ではない、と以前から考えていました。20周年ということもあり、世間の流れもいけるかもしれない、監督と相談しました。監督は熟考を重ねました。
プリキュアたちより視点が上にたつ人間ではふさわしくないかもしれない、プリキュアより視点は低いかもしれないけれど対等に物事を考えてくれる人、きちんとプリキュアとしてみんなと一緒に活躍してくれる人であれば、キュア◯◯と命名しようと。そして、今回「キュアウィング」が誕生したということです。

現在は「ジェンダー」という単語をよく耳にしますよね。
20年前にこの単語を使っていたのは、スタッフの中で西尾さんだけでした。私は知らなかった。どういう意味か、西尾さんから説明を聞いてはじめてわかりました。そういう雰囲気とか考え方とか状況は、ずいぶん変わっているはずなんです。それがどのように作品に影響されるかというと、モチーフとかはどんどん変わっていってる。時代を取り入れている。
でも、一番大もとのところで何を伝えるかは、変わってないんです。これは男女問わず、「自分の足で凜々しく立つこと」。
これが作品の中で生きているのであれば、男の子であろうと女の子であろうと、宇宙人でも人魚でもかまわない。意志を持って立ち向かおうとする、何かに向き合おうという意志を持つこと、それが大事だと。それがあればプリキュアシリーズとして生きていけるんだと思っています。

WASEDA LINKS 2023/06/05

プリキュアが何のために変身するのかを考えたとき、それは決して楽しむためとか可愛くなるためとかじゃなくて、自分たちの世界に侵略してくる者たちに立ち向かうためなんです。そこは大事にしないといけないと思っていました。だから変身シーンには、華やかさよりも決意のイメージを取り込みたかったんです。
そのために一番意識していたのは、変身中の表情の描写ですね。これから自分は相手に立ち向かっていくんだという決意がきちんと込められた、キリッとした顔。ものすごく緊迫した状況での変身なので、初代のふたりは笑顔じゃなかったんです。
プリキュアの変身はユニフォームを着て靴紐を結ぶ瞬間であり、競技場に出て位置につく直前の瞬間であり、そこには強い決意があるという解釈をしていました。そう考えたとき、プリキュアがコスチュームを着ることやプリキュアとして名乗ることは、自分はこうなるんだ、これが自分だっていう決意表明なのだと思います。
変身するだけでは完結しませんからね。変身した後に、攻めてくる相手に立ち向かうという本当の目的がありますから。それは決して楽しいことではないし、むしろつらいことかもしれない。それでも自分がやらなきゃいけないんだということを、彼女たちは覚悟しているんです。
自分で考えて自分で行動しようとする意思があるからかな。誰かに言われて行動するのでは、そんなふうにプリキュアとして立ち上がることはできない。自分の中でどうしても譲れない大切なものがあるから、それを脅かす存在に対してやめてくれってちゃんと言えるのだと思います。
『Yes!プリキュア5』の水無月かれんは最初、変身できなかったんです。それは、私が頼られるのであればやらないわけにいかない、という消極的な気持ちで変身しようとしていたから。でも、どうなろうと私がこの人たちを守るんだと自分から決意したとき、変身できるようになった。自分がどうしたいのか考えて、そのために自ら行動しようとする、その意思がとても大事なんです。20年続くシリーズを通して、そういう自分の足で凛々しく立つ姿をずっと大切にしてきました。

映画プリキュアFに関する田中監督のインタビュー

HUFFPOST 2023/10/14

最近は妙に「高尚なもの」と持ち上げられて語られることも増えてきた印象なのですが、もっと肩の力を抜いて、気軽に見てほしいなと。
例えば、『ふたりはプリキュア』の企画書に書かれていた「女の子だって暴れたい」というコンセプトが特に最近、誇張されて広がっているように感じています。
その言葉は間違いないし、そのコンセプトのもと20年間やってきたのですが、僕はその言葉を、長年現場の中で一回も聞いたことがないんですよね。数年前から急に再注目されて、それ以降言葉だけが一人歩きしているという感覚があります。
もちろん他にも、制作陣がエッセンスとしてそれぞれのシリーズで入れている表現やメッセージは当然あります。でもそれは時代ごとに、子どもたちの方を向いて真剣に作ってきたからこそ出てきたものであり、それ自体が目的ではないと思うんです。深い部分を読み取ってもらえているのは嬉しいのですが、そこをことさら強調したくないというか。
基本的にはプリキュアたちのかっこよくて可愛い姿を見て、ちょっとでも自分も頑張ろうって思ってもらえれば十分かなと。そういう意味では、決して特別なことをやろうと意識してきたわけではないんじゃないかな、と。
ただ20年も続いていれば当然色々な工夫はしてきたわけで。それだけ長いこと手を替え品を替えやってきたんだから、結果として別に男子のプリキュアだって1人や2人いたっておかしくはないでしょ、と。そういうふうに思っています。
大前提として、小さい子どもたちにはプリキュアを、単純に面白いなって思って見てもらいたい。だけどその上で、我々の込めた思いをほんのちょっとでも感じ、人生の活力にしてもらえたなら、それは作り手としてとっても嬉しいことだなあと。

HUFFPOST 2023/10/16

プリキュアシリーズは長く続いてきたことによって、多様性を極めてきたと感じています。いろいろなプリキュア、そしてシリーズが生まれてきました。その結果、今、一言で「プリキュアって何?」と言えなくなってきたなあと感じたことがテーマ設定の始まりだったと思います。
例えば設定面で言えば、自分が関わり始めた15年前、プリキュアに変身するのはいわゆる普通の女の子だけでした。ですが最近は、人魚やアンドロイドなど、いろんなルーツを持つ子が増えています。
また子ども向けの主軸シリーズだけではなく、プリキュアの未来の姿を描く『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』や舞台『Dancing☆Starプリキュア』といった、シリーズを長く愛してくれる大人のファンに向けた派生作品も生まれるようになりました。
時代に合わせて変化し続けてきたのがプリキュアなので、その一環かもしれません。ですが、何をすればプリキュアで、何をしたらそうではないのか、プリキュアの定義が曖昧になってきた。ならば今一度問いかけてみることが、20周年に相応しいテーマかもしれない。そう思いました。
2009年から2013年までプロデューサーをしていた梅澤淳稔さんが当時「大人の視聴者を意識しすぎると子どもは見抜いて自分たちのものではないと感じてしまい、本来のターゲットが離れていってしまう。そうなるとそれはプリキュアではなくなる」といったことを話していて。僕はその意見に強く共感し、その思いを大切にしながらプリキュアに携わってきました。
でも、「オトナプリキュア」はタイトル通り、かつてプリキュアを好きだった大人がメインターゲットで、その気持ちに寄り添って生まれた企画だと思います。それには共感する部分はありますが、「大人向けのプリキュア」が生まれてきたとなると、いよいよプリキュアとは何か、分からなくなってきました。
僕らが20年で描いてきたのって、プリキュアがなぜ強いのかという「なぜ」の部分だと思うんです。なりたい自分になるという思い。誰かと手を繋いで立ち上がること。それに起因して諦めない。だからプリキュアは強い。それは今作でも伝えたいなと思いました。
ただ「プリキュアって何?」と聞かれた時に、結局のところは「よくわからないね」というところに落ち着きました。たくさんの人がたくさんの想いを繋いできたシリーズなので、やっぱり一言で総括はできないよね、と。
プリキュアの数だけプリキュアがいますし、こういうものです!と制作側から押し付けたり、狭い範囲に収めた回答をしたりしたくなかったというところもあって。あくまで問いかけをして、見た人に答えを託す、という形になりました。

ぼくプリに関する鷲尾Pのインタビュー

ぼくプリ公式HP 2023/05/30

なぜ男性キャストで舞台版プリキュア!? 皆様のお気持ちお察しいたします。
答えは「創造と破壊」です。
2004年に始まった「ふたりはプリキュア」。徒手空拳で立ち向かうブラックとホワイトの姿は、これまでの女児アニメの常識を覆すものでした。
それ以来私たちは常識から外れていようとも、「主人公はこうあってほしい」と思う姿を描き続けてきました。しかし、プリキュアという「ヒーロー像」が浸透していく中、私たち自身もそのイメージに縛られるようになりました。「女性が輝くための作品」「男性キャラは立ち入り禁止」「プリキュアかくあるべし」……
20周年と銘打った今年、私たちはレギュラー初の男子プリキュア、未来の主人公たちを描いたオトナプリキュアなど、自分たちが打ち立てたイメージも壊し、再構築して前に進もうとしています。
そして舞台。「男性だけで『これはプリキュアだ!』と言える作品」は作れるのか?
これまでで最大の挑戦かもしれません。無謀な試みと批判を浴びることもあるでしょう。
でも、挑戦したい。だってそれが「プリキュア」ですから。

MANTANWEB 2023/08/27

実は前々から舞台をやりたいとは思っていました。子供が集まるキャラクターのステージはありますが、大人が集まれる場所、ターミナルになるような場所を作りたかった。小さい頃、プリキュアを見ていて、応援してくださった方たちが大人になり、その方たちが集まれる場所とは?と考えていました。これまでのプリキュアたちが登場する舞台でどうだろう?という話をスタッフにしていたのですが、今ひとつピンとこない感じでした。ある時、男子プリキュアたちが主役の舞台は?と言ってみたら、急に『それはいい!』と大きなリアクションがありまして。何となしに言ったことだったんですけどね
男の子たちがどういう子で、どこが魅力で、何に一生懸命なのか? どんな時に心の叫びを発するのか? そこをちゃんと描ければ、プリキュアとして成立するはずです。テレビシリーズにも宇宙人、アンドロイドなどさまざまなプリキュアがいます。どんなキャラクターでも一生懸命に立ち向かい、それぞれの個性であがく。それは男子だろうが同じだと思います

ザテレビジョン 2023/08/29

プリキュアシリーズは今年で20周年ということで、いろいろと初めてのことにチャレンジさせていただいています。その中で昔、お子様だった頃にプリキュアを観て応援して下さった方々が、大人になってリアルで集まれる場を作れないかなということを考えていました。「全プリキュア展 ~20th Anniversary Memories~」もそのひとつです。同時に、ずっと前から舞台をやってみたいと思っていたのですが、普通に今までのプリキュアを舞台化するというアイデアは、スタッフへのヒアリングや、ファンの方へのグループインタビューでも反応が薄くて。でも、その中でいわゆる「2.5次元」という舞台を見に行く方が多いという話を聞いて、じゃあ男子プリキュアが活躍するお話を舞台化したら?と話してみたら、急にリアクションがよくなった(笑)。
今回は「大人になった女性たちが集まれる場所」をイメージしています。
女児向けといわれるアニメーションで、手に(アクションアイテムを)何も持っていなくて、女の子の好きな色と思われていなかった黒と白の衣装で、しかも「おしとやかにしなさい」なんて言われている時代にアクションをする。舞台で男性が演じるというのは、シリーズの中でそんなに特別なことではないと思うんですね。プリキュアシリーズの軸である「自分の足で凛々しく立つ」ことを、この作品の男子高校生たちも意識していれば、彼らはプリキュアだと思います。

エンタステージ 2023/09/04

実は私が言い出しっぺなんです。プリキュアシリーズの20周年に色々やりたいねと話している中で、プリキュアを見てきた人たちが集まれるような場所を作りたいという思いから始まりました。昔を思い出して「プリキュアって楽しかったな」と思える場所がリアルな舞台だったら面白いのではないかと考えたのですが、最初は周りの人に話してもリアクションが薄かったんです。ですが意見を聞く中で2.5次元舞台を観に行くことがあると耳にして、「じゃあ、若手俳優さんたちで男子プリキュアがメインの舞台をやったとしたら?」と尋ねたら、目の色が変わりました。
アニメシリーズのキャラクターたちを舞台で女性に演じてもらうことを想像した時、ステップを上がった感じがしなかったんですね。それでは既存のものと変わり映えしないような感覚があって。なので「男子プリキュア」をやるのであれば、がっつりこのステージのためのものである、と言い切った方が絶対に面白くなるし、現場の皆さんもやりやすいだろうと考えました。
番組開始当初は「男らしく」「女の子らしく」を否定したところから始まっているので、“らしく”という言葉は非常に使いづらいんです。ですが、あえてその言葉を当てはめるものがあるとすれば、常に何かに抗い続けていた結果だろうと思います。


その他(ほんへ)

Box World Tour Tokyo 2018 2018/06/06

プリキュアの生みの親が語る、女性の働く職場環境作りは子供時代の刷り込みが肝心!
powered by Box Women's Network

「働き方改革」は女性の働く環境作りが重要です。一朝一夕に出来るとは思いませんが、じっくり子供の頃から刷り込めば明るい未来が待っている!…かもしれません。TVアニメ「プリキュアシリーズ」はそんな思いも込めてます。作品のビジネス失敗例、読み違い、雌伏の時期のエピソードなども含めてお聞きいただければと存じます。

国際女性会議WAW! 2019/03/23

WAW!は、World Assembly for Womenの略称で、「ワウ!」と呼ばれています。この会議は、日本政府の最重要課題の1つであるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを国内外で実現するための取組の一環として2014年から開催しており、世界中から幅広い分野で活躍するトップリーダーを招き、日本や世界が直面する様々な課題につき議論し、その成果を国連文書に登録するとともに、種々のサイドイベントを行い、国内全体でジェンダー平等に向けた気運を高める取組を行っています。

外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/pc/page23_002346.html) 

パネル・ディスカッション「多様性を育てるメディアとコンテンツ」

論点

  • メディアによる固定観念の形成を防ぎ、多様性を育てるためのメディアやコンテンツのあり方とは。

  • 言葉やコンテンツによって、メディアが人々の固定観念を変えた優良事例はどのようなものがあるか。

  • 今の時代において、非難が殺到する状況や、バックラッシュが起こった時の対応のあり方は。

  • 無意識な偏見を助長するようなコンテンツに対し、視聴者が気をつけるべき点は。メディア・リテラシー・ スキルをどのように身につけていくか。

  • 視聴者の意見の多様化や時代の変化を見極め、適切な形で発信に取り込むためにメディアが成すべきことは何か。メディア分野の意思決定について、女性の参画拡大を含め、多様性をどのように確保していくべきか。

  • インターネット上の性的及びジェンダーに基づく暴力、搾取、ハラスメントにどう対応していくべきか。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_003059.html

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000455119.pdf

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000547074.pdf  ←12,13ページ目

Ladyknows 2019/10/10

トークテーマ:『コンテンツが担う少女たちの未来』
『女の子だって暴れたい!』という、初代プリキュアのコンセプトを打ち出したプロデューサー鷲尾天さんが登場。子ども向けアニメーション制作にかける想いと、今後のコンテンツクリエイターに向けたメッセージを「ジェンダー平等とコンテンツ企画」の切り口でお話しいただきます。

週プレ☆NEWS 2020/02/13

辻氏
ジェンダーって、根本的にはやっぱり幼時教育でしか変えられないと思っていて。大人になるとある程度の価値観が根付いちゃってるじゃないですか。例えば1年ぐらい前に、『プリキュア』シリーズで初の男の子が登場したんです。私たちの世代だと「えっ!? 男のプリキュア?」って、すごい驚きのニュースですよね。Twitterでもトレンドに上がって、メディアでもかなり取り上げられていました。
教育っていうのはそういう意味で、必ずしも学校である必要はないんです。それこそLadyknowsでいろんなデータを出したり、トークイベントを月イチでやったりしていることで、すでに価値観ができた大人が認識を上乗せしていくこと、頭で理解することももちろん重要だと思います。コンテンツから得られる無意識下での価値観の刷り込みも、ある意味教育的ですし。だけどその一方で、本当に心の底から「男のプリキュア? そりゃ男だって女だって戦うんだから別に普通っしょ」って言えるようになるかというと、それは別で。
『プリキュア』を例に出しましたが、完全なるダイバーシティやフラットな社会を作るにはやはり幼時教育しかないと思っています。

女の子だって暴れたい
20年前、「ふたりはプリキュア」はこのキャッチコピーから始まった。
主人公は女の子向けのアニメでは前代未聞のキャラクター設定。
ひとりは漆黒の衣装を纏い、自らの拳で闘い続ける強くてかっこいい女の子。
タッグを組むひとりは、科学者に憧れる知的で意志の強い女の子。
ふたりが手を組み、自分たちの力で困難を乗り越えていく強くてかっこいいガールズヒーローの物語。

当時小学校に上がりたてだった私は、夢中になってアニメを見て、時になりきって決めセリフの練習をし、自分もふたりみたいに強くなりたいと一生懸命勉強やスポーツに打ち込んだ。
(こっそりパンチやキックの練習も頑張った。笑)

女の子が黒い服を着ることも、博識で賢いことも、理系分野に興味を持つことも、男性に頼らず自分の足で立つことも、大きな口を開けてガハハと爆笑することも、相手の年齢や性別で忖度せずに必要があればはっきり意見を伝えることも、おしとやかさなんて気にせずいつも全力疾走で戦うことも、そのどれもが私の目には”憧れの女の子像”として写っていた。
女の子”なのに”という違和感などは1ミリも感じずに。

大人になった今、”女の子だから”という抑圧に縛られることなく自分自身の道を歩んでいくことができているのは、きっとあの時、プリキュアが少女たちに見せてくれた”ガールズヒーロー”の姿があったから。

20年が経ち、女性の社会進出や多様性が叫ばれる令和の今でも、残念ながら社会には未だ様々な不均衡や障壁が存在している。
しかし、私はそんな社会に絶望していない。
未来に一抹の希望すら感じている。

なぜなら、プリキュアが誕生してから20年間、自立する女の子の強さを、かっこよさを、同じようにテレビ画面越しに感じ憧れてきた子どもたちがこの社会のあちこちにいるはずなのだから。
この先ひとり、またひとりと彼女たちが大人になり、社会の理不尽さに立ち向かって共に未来を切り開くはず、そう、なぎさとほのかが力を合わせて戦ったように。

今この文章を読んでいるあなたも、きっとそのひとり。

常に女の子たちの可能性を信じ、現実社会にも沢山のプリキュアを産み育ててくれたこの作品に、心からの感謝と愛を込めてこの展示ゾーンをお届けします。

プリキュアの魅力が、メッセージが、皆さんの明日を照らすエールになりますように。

全プリキュア展

夢に性別は関係ない。女だから。男だから。現代を生きる私たちには、そんな偏見に傷つけられる瞬間があるかもしれない。知らず知らずのうちに将来の夢や自分の可能性を自ら縛りつけてしまった経験があるかもしれない。プリキュアは、私たちを縛りつけるそんなステレオタイプな女性像から解き放ち、全く新しいリーダー像を示してくれた。夢に、性別は関係ない。好きは、他の誰かじゃなく自分で決める。それは「ほのか」と「なぎさ」……”ふたりはプリキュア”なのだ。

全プリキュア展

自分らしさ?女の子らしさ?「主人公が”女の子らしく”あること。それを、まずやめよう。」20年前、「ふたりはプリキュア」は製作陣のそんな思いから生まれた。誰よりも、作品を見る子供たちのために。”女の子ってこうでしょ”というステレオタイプな表現を避け、女子中学生の等身大な日常を描く。キャラクターの表情や、衣装のカラーリング、脚本の中にまで、女の子の可能性や自由を阻むものは最大限入れない努力をする。そんな格闘の末生まれた自由で個性的なふたりのキャラクターは、「自分らしさ」を大事にしてほしいという少女たちへのメッセージかもしれない。

全プリキュア展

女の子だって暴れたい!
ふたりはプリキュアは、このキャッチコピーからはじまった。
自分の足で地面を踏み締め、自分の拳で相手に向き合う。
誰かに助けられる存在としての女の子ではなく、自ら立ち上がり自分の意志で戦っていくガールズヒーロー。
当時そんなふたりを見て育った女の子たちは、きっと今、社会のあちこちで強く凛々しくカッコよく自らの足で戦う女性として活躍していることでしょう。
そう、あなたもきっと、現代の「ガールズヒーロー」なのだ。

全プリキュア展

違いを力に。
現実社会には、女の子たちの行先を阻もうとする様々な困難や理不尽な壁が時に大きくそびえ立つ。
そんな時、わたしたちを救うのは、わたしたち自身かもしれない。
ひとりでは戦えなくても、手を取り合えばきっと立ち向かっていけるはず。
性格も趣味も全く違うふたりだからこそ、補い合い支え合い、最強のガールズヒーローになれるのだ。

全プリキュア展

中野区 男女共同参画講演会 2021/06/26

作品を作るにあたり監督と決めたことは、王子様が助けに来るのはやめようということ。当時はそういったパターンの話が多かった。そして、自分で解決することにしよう、自分で立ち向かうけど、1人より仲間がいたほうがいい、じゃあ2人で、というところから始まった。当時書いた企画書の中に、「女の子だって暴れたい」という言葉があるが、これは私の小さい頃からの経験。
 生物学的に女性の方が成長が早く、足が早かったり体力があったりする。それなのに、"おしとやかにしなさい"は嫌だろうと。そのため最初の頃の特徴として、女の子らしく、男の子らしくという言葉は使っていない。それが話題になったかというと、特になっていない。そんな状況の中、番組は始まった。

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kusei/danjyo/danjyo/event/r3-danjyokyoudou-jyoueikai.files/chirasi.pdf

宗像市 男女共同参画講演会 2022/10/15

【申込締切延長!男女共同参画の日記念講演会】 講演会「『プリキュアシリーズ』の生みの親に聞く アニメーションに見る多様な生き方」が、好評につき申込期限を延長しました! 人気アニメ「プリキュアシリーズ」の初代プロデューサーの鷲尾さんより、誕...

Posted by 宗像市役所-Munakata City on Friday, September 30, 2022

https://www.city.munakata.lg.jp/w016/050/010/010/004/20220901danjyokyoudousankaku.pdf

ねとらぼエンタ 2022/06/22

また、鷲尾氏は過去のインタビューでも「プリキュアは女の子が喜んでくれさえすれば、変身しなくったって、男の子が仲間になっても良い」とも語っています。

女の子たちに熱狂してもらえるなら、変身しなくてもいいし、アクションをしなくてもいい。男の子が仲間に加わってもいいとまで思っています。女の子たちがちゃんと喜んでくれる作品になっているなら、「プリキュア」も変わっていってもいいと思うんです。

講談社『ふたりはプリキュア Max Heart プリキュアコレクション』

(プリキュアコレクションはプリキュア10周年記念で企画され、上記コミックスは2014年12月に発売された)


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