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むぎやまおくびょう
2022年11月2日 19:00
朝早起きしてしまったためか、犬たちは疲れて日が落ちる前にはぐっすり眠りについていた。 しかし、その睡眠は軽い爆発音により中断されてしまった。「ん、何? 今度は何だよ、今日はやべえな」 2匹は仲良く飛び出し、辺りの状況を確認する。「全く、なんなのよ。校舎の中も物騒になったわね」 隣の住処から、白い猫が優雅に現れた。「おい、白いの。お前、朝は何してたんだよ。今日ものすごいこ
2022年11月1日 19:00
”キュウウウウウ!” 空が青白く校舎を照らし始めた明け方、分厚いゴムで地面を無理やり引きずるような音が犬たちの耳を打った。「おい、なんだなんだ? 運動場の方でものすごくでかい音が聞こえたぞ」 2匹は飛び起きると、一目散に音のした方へ走り出す。 運動場が視界に入ると、先程まで元気に跳ね回っていた犬たちの四肢は急に固まった。「何だよあれ……。おい、やばいぞ逃げよう」「ちょっと待
2022年10月31日 19:00
休憩場所の側では外灯が一日中灯っている。 犬たちは、自分たちが眠くなるまでおしゃべりしたり、追いかけっこをしたりして、明かりと安全を満喫している。「さっきの話だけどさ……。他のやつを気にしてる人間、この前見たぞ。飯くれたやつなんだけど、飯食べてる間ずっと俺に四角い器械を向けて来やがった。何やってるのかとその機械を見に行ったんだが、どうやら他の人間と俺の姿について会話していたらしい。意思疎
2022年10月30日 15:50
校舎の門はまだ開いたままである。 2匹の犬は、今日も息を切らしながら門をくぐる。「なあ、最近この学校、夜になると入れなくなったよな」「ああ、そうだな。俺たちみたいな野良は、夜安全に過ごす場所が必要だってのに……」「なんでも最近、人間の大人が子供を襲ってるらしいぞ」「へえ、あいつらって俺たちよりも頭良いらしいけど、やることはあんまり変わらないんだな。食ってるのか?」「いや、飢