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天河事件

明日は、7月7日。七夕である。
織姫さまと彦星さまが、年に1度、天の河を渡り、出会うことができる、それはそれは素晴らしい愛が育まれる日である。

もっとも、私は生粋の童貞っ子なので、会う約束がある女の子なぞ、この世にはいない。
私は、いつになったら織姫さまに会う年を迎えられるのだろうか。
もはや天の河という名の三途の河なのかもしれない。
もし私が天の川を渡るときがあれば、それは人生が終わっており、ぬか喜びで果てるのかもしれない。
そうなったら最後、織姫さまを探して成仏しきれない悪霊と相成って、アナウンサーのけつあなに憑りついてやろうと思う。

私には、7月7日になるたびに、ふとイヤな記憶を思い出してしまう、ある事件がある。

私は包茎大学童貞学部貞操観念学科の学生だった頃、2年間、個別指導の塾で塾講師のアルバイトをしていたことがある。
自分でも意外なことに、中学生の女の子相手に熱い視線を送ることはなく、ただただ真面目に取り組んでいた。お○ぱいがないから発情しなかっただけかもしれない。なにはともあれ、「私はロリコンではない!」と声を大にして言いたい。
私は塾の中で、主に英語の授業を担当していた。
で、やってみてこれまた意外、いつしか私はヤリ手びんびん教師になることができていた。
生徒の成績向上に一役買っていたのである。
凄い時では、ある生徒の英語のテストを、1学期間だけで20点台から80点台にまで上げた時もある。いまでも、これは私の誇りである。
もっとも、その成績をあげた生徒本人は、私よりも先に彼女ができてしまった。以来、中学2年生に恋愛を教わらなければならない、「カノッサの屈辱」のような状況に陥ることになるのだが、それはまた別のお話で・・・

ヤリ手びんびん教師で過ごしていたある日、たしか学校が長期休暇に入る前の打ち合わせ会のようなときに、「めちゃくちゃ成績を上げた教師」みたいな形で表彰を受けた。

それをうけて、後日、塾長から、「D.T.くんはほんとうに塾に貢献してくれているよね、お礼にテ〇ガをプレゼントしようかwww」
と聞かれた。
それが悲劇の始まりだった。
私は当時、「テ〇ガ」なるものを知らなった。
知的好奇心旺盛な発情中のチンパンジーである私は、まず手始めに「握手会の妖精」と揶揄されているアルバイト仲間に、「ねえ、テ〇ガってなに?」って聞いてみた。

私「テ〇ガって何ですか?」
握手会の妖精「・・・wwww。うーん、ボウリングのピンみたいな形状のやつだねw」

たしかになにも間違えていない。なにも間違えていないからこそ、私に拍車がかかってしまったのだ。
「ボウリングのピンみたいなものをもらってなにが嬉しいんだ・・・?」
と不思議過ぎたからだ。

そっからの私はもう止まらない。山本リンダのように、「もうどうにもとまらない」のである。
同じバイト仲間に、

私「ねえ、テ〇ガってなに!?」
と聞きまくる始末だ。

たしか普通に女性のバイト仲間にも声高らかに質問していたと思う。
いろんな人に聞いても、ただただ、「・・・www。」と苦笑いされるだけだった。
塾長にいたっては「ははははははははwwww」ともはや爆笑していた。悪い人である。

10分ぐらい「テ〇ガってなに!?」と私が叫んでおり、さすがにまずいと踏んだのか、優しいバイト仲間が、「オ〇ニーするときに使うやつだよ、使ったことないんだなw」
と教えてくれた。

私は、それを聞いて「・・・・!!!??」と赤面してしまった。
いや、赤面しない方がおかしいだろう。
まさしく穴があったら入りたい状況だ。
その後、バイト仲間に、始終、「ごめんなさい!!!」と謝ったのを今でも昨日のことのように思い出す。

そしてそのとき、まだ生徒が塾に普通に居残っていた。
「テ〇ガってなに!!!???」と私が叫んでいるので、生徒にも丸聞こえであっただろう。
もしちょっとマセた女の子だったり、純粋な女の子が、

女子生徒「ねえ、お母さん。今日ね、D.T先生がずうーっと帰り際、テ〇ガ、テ〇ガ叫んでたんだ。テ〇ガってなに?」
とお母さんに聞いていたら、私は人生が終わっていたと思う。

まず、「おたくの塾ではいったいどんな教育をしているんですか!?」とクレームがくるのは請け合いだ。
下手をすれば、「子供のメンタルが傷ついた」と言われ、ブタ箱に入れられる未来もあったかもしれない。

それ以来、私は「天」という字を見てしまうと、つい「テン」と読んでしまう。その「テン」が「テ〇ガ」に連想ゲームでつながってしまい、以来、本件の天河事件を思い出してしまうのである。

・・・無知とはいやはや、恐ろしいものだ。



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