#思い出
【毎週ショートショートnote】 イライラする挨拶代わり
相棒とはじめて会ったとき、見た目と口ぶりから、怒りっぽい人だなと思った。
いっしょに仕事をするうちに、イライラしているのが、通常だとわかった。
おはようが「さっさと起きろ」
ご飯ができて、呼びに来るときが「飯だ。さっさと来い」
おやすみが「明日も早いから寝ろ」
ぜんぶ怒っているように聞こえるけれど、俺には愛おしく聞こえる。
あんまりに好きすぎて、一時期、組織を裏切って相棒と逃避行したこと
【毎週ショートショートnote】 オラオラするTシャツ手触り
「いっしょに、どこかへ行かないか」と言うので、観光がしたりないのだと思い、いっしょにいただけなのに、お世話になっている組織を裏切っていた。
相方はいつも、一言たりない。
俺の否定を恐れているのか。
俺をあなどっているのか。
はっきり言えばいいのに、言わない。
だから、言うまで逃避行につきあってやろうと思っていたのに、死にかけるから、それどころじゃなくなった。
戦場でゲリラ戦してた俺と、セレ
【毎週ショートショートnote】 呪いの臭み
俺の鼻は利く方だが、においには鈍感だ。
臭くても、たいして気にならない。ゲリラ戦で、何十日も同じ服で、はいずりまわっていれば、そうなった。
俺は臭いには鈍感だ。
「そのTシャツ、臭いか?」
「大丈夫だよ。ちゃんと臭いとれてる」
「そうか。ならいい」
九死に一生を得た相方は、ずいぶんと元気になった。
食事が喉をとおるようになるまで、時間がかかったが、これで一安心だ。
「そろそろ風呂にも入
【毎週ショートショートnote】 枢軸マーガリン
「うわ、おいしい! やっぱり、お前は紅茶を淹れるの、うまいよなあ」
「そいつは、どうも」
相方は俺の淹れた紅茶をちょっとずつ飲んでいた。猫舌のくせに、俺の淹れた紅茶は、熱いまま飲みたいらしい。冷ませばいいのに。
「なんか、おやつがほしくなるなあ」
「シュガートーストでも、つくるか」
俺は冷蔵庫からマーガリンを取り出した。
「バターないの?」
「ないな」
「マーガリンかあ…」
相方は遠い目