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『世界は僕の箱庭』の話(文学フリマ東京36)

文学フリマ東京36のために用意した小説の紹介記事です。
5/21 東京流通センターに遊びに来てね。

ずっと書きたかった「社会人の話」

 
学生の頃から大人たちを見ていて、「大人って楽しそうだな、なんか書きたいな」と思いつつも、わからないので書けなかった話のまとめ。


自分から見た社会人

 私は世間の流れから多少ズレたところに居る自覚はある。物心ついた時から社会になじめなかったし、学校も苦手だった。唯一大学だけは好きだった。授業を選べるし、クラスがなかったからだ。
 大学に行ったら当然のように就職するという流れが恐ろしかった。大学に行く気もなかったが、エスカレータ式でそのまま通い、卒業することにはリクルートスーツが用意されていた。非常に恵まれているが、反面怖かった。 
 会社に入ってやりたいこともないのに就活なんて当然身が入らず、就職しなかった。とんだ親不孝者である。

 そんなこんなで今は派遣社員をしている。いくつか企業をまわっているうちに、社会人を客観的に見ることができた。「世の大人って、こんな感じなんだ」と思い、今なら昔書きたかったやつが書けるかも、とショートストーリーを書いたモノが『世界は僕の箱庭』である。

 

スマホが嫌いだからスマホ消した

 普段から生活していて、スマホが本当に嫌いなので、この話ではスマホを消した。歩きスマホが特に嫌いで、あれどうにかならないかな。歩く姿勢もゾンビみたいだし、不注意になるからいいことないよ、ほんと。
 スマホは便利でとても手放せないけど、依存するのが嫌なので、スマホロックコンテナを買った。夜11時以降は見ないようにしている。「今ダラダラSNS見てるな」と思ったときも20分くらいロックすると、非常にいい。全人類持てばいい

 スマホで人間同士の距離がぐーんと縮まった結果、なんでもハイスピードな対応が求められるようになった。「ライン既読ついたのに返事くれない」というのが典型的なそれで、見ると返信するのでは作業は別である。
 四六時中連絡を取れるようになったので、深夜早朝かまわず通知が来るようになった。なので基本的に私は通知は全オフである。世の人は何をそんなに急いでいるんですかね。

 そんなスマホ依存&ハイスピード対応な日常が嫌だな~、と思って、「ゆったりした日常を過ごす社会人の話」を書きたいからスマホや携帯の類いは無しにしたら、登場人物が皆、個々に好きなことしてて、いい話になった。


『世界は僕の箱庭』の詳細

文庫本 54P 純文学

あらすじ

”直史、美奈子、涼くんは、今日もいつもの店にふらりと向かう。どこかレトロな現代を生きる3人の、ゆったりとした日常がここにある”

みどころ

 他人の目が気になる直史と、超クールな美奈子さん、バックパッカーの涼くんの3人が、コーヒートークするだけの非常に平和な話。互いの趣味嗜好や考え方を肯定しつつ、「この人らといるとやっぱイイな」と思って過ごせる関係性を短い中に詰め込みました。
 日常をせわしなく生きているそこのあなたにおすすめしたいです。ちょっとスピードダウンしても、大丈夫だよ。 

世界観

 携帯やスマホを取り除いたので、彼らの連絡手段は基本的に家電か公衆電話です。この現代レトロ感は、私の好きなドラマ『アンブレラアカデミー』にヒントをもらいました。テスト初版の奥付に明記してしまいました。限定5冊の幻の初版をゲットできたらあなたはツイてます。別にミスじゃないです、仕様です
 舞台は私が学生時代に過ごした札幌のお店をモデルにしてます。札幌に行くことがあったら、ホールステアーズエスプレッソバーGIGに行ってみてください。3人はたぶん、そこにいます。
  

デザイン他

 カバーデザインは、てんぱるさんにお願いしました。たぶん、同人誌を作ろうとリサーチした人なら、てんぱるさんにたどり着いたことがあるのではないでしょうか。すごい短納期でかわいいデザインに仕上げてくれてとても嬉しいです。素材の量が膨大で、見てるだけで楽しいです。またお願いしたい。
 印刷は、本をちょ古っ都製本工房へ。カバー印刷をプリンパにお願いしました。ちょこっとさんはとにかく安く、プリンパは紙の種類が豊富でした。


 そんなこんなで作品紹介でした。
 次回はSFアクション『スティール・ライフ短編集』の紹介だよ。
 お楽しみに~!


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