【医師コラム】深刻な問題を抱えるヤングケアラー 医療の視点から見た現状と課題
ヤングケアラーとは、家族の介護や世話といった、本来子どもが担うべきではない責任を背負っている人たちのこと。本来背負うべきできない家族の仕事を担い、本来の子どものあり方から外れた結果、ヤングケアラーは心身の健康、学業、そして社会的な人間関係において、深刻な影響を受けています。
ヤングケアラーは決して珍しい現象ではありません。最近の調査では、中学2年生の約5.7%、高校2年生の約4.1%がヤングケアラーである可能性が示唆されています。これは、決して少なくない数字です。しかもヤングケアラーの約半数は誰にも相談できずに一人で悩みを抱え込んでいるのです。
自分の本来の仕事に加えて、時間を作って家族の介護や世話をしているのですから、当然自身の健康管理もおろそかにしがち。定期的な健康診断や予防接種を受けられない、病気になっても医療機関を受診できないなどの問題も生じるかもしれません。
今回、ヤングケアラーについて、医療的な側面からの問題点を浮き彫りにしつつ、ヤングケアラーの支援をどうすべきか、意見を述べていきます。
■ヤングケアラーは健康面にも大きな問題点がある
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