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親孝行旅行

旅に出た。目的地は奈良。86才の母にお供しての旅。お供は家内と私の二人。
「これが最後になるかも知れない。行きたい」との言葉に8月には同行を決意した。宅建試験も終わっている頃だし家族旅行もいいなとも思った。

中学の修学旅行以来の奈良

母子家庭

私は母子家庭で育った。生後半年で父を亡くした。
母は、苦労した。母の生まれ故郷に戻り寮母として私を連れての生活が始まった。家族は母一人子一人だ。私が1才から5才までの短い期間だ。
今年8月にその寮母として勤めた会社のOB会の案内がきたのだ。コロナ禍を経ての再会の案内だ。私にとっても自身の人生の記憶は、その寮の六畳一間の寮母の部屋の空間の印象から始まっている。父の記憶は全くなくその寮の私を兄弟のように可愛がってくれた寮生たちのあたたかさの印象だ。寮生は当時高卒から二十歳くらいだから私とは年齢差は15才くらいだ。

百歳まで頑張ります

ホテルでの宴会が始まる。22名の参加者は再会をよろこびあい、記念撮影、幹事の挨拶、乾杯と進む。酒が進んで宴たけなわ。
参加者全員のスピーチとなる。北は宮城から南は九州は鹿児島からの参加だ。全国展開の会社なので初めてあう方もいる。私達のように家族で参加も夫婦で参加もありだ。
母のスピーチの番となる。酒が好きな母は酒が進んでいる。いつもは控え目な母だが名前が呼ばれると元気に登壇する。
「苦労はするものです。今日は息子と嫁に連れて来てもらいました。本当に今、しあわせです。今日は懐かしい皆さんにあえて本当にうれしい。私も百歳まで頑張ります。皆さんも頑張ってください。またあいましょう」
胸にしみた。なぜか涙がでた。
母がどれだけ寮生を大事にしたか、そして慕われていたかがよくわかった。

癒しのひととき

一泊二日の二日目は自由行動。母の希望は鹿にあうこと。
癒しのひととき。

鹿の目はきれいだ

奈良公園でゆっくりする。我が家にとって一番お世話になっている元寮生と四人で時を過ごす。私にとって最も尊敬する先輩の一人であるその方は京都の嵐山で土産店を営んでいる。「年に2回くらい鹿に癒されに来るんだよ」と教えてくれた。

挑戦と応戦

「本当にいい旅だった」
すべてが予定通りでこのままでは面白くない。

東京駅で東海道新幹線から乗り換える時にことは起こった。
自動改札で往復一括で買った特急券がはねられる事態が発生。あと出発まで10分。86才の母との移動を考えると、間に合わない。危機一髪。
駅員さんに相談すると「この特急券の日付け10月19日ですよ」。信じられない。購入した日付けだ。
心の声「購入した時に確認しなかった私が悪いのか」「自分もしょっちゅうミスをやらかし人に迷惑かけている。駅員さんも人間だ。ミスや間違いはある」
駅員さんの臨機応変なかつ丁寧な対応で発車1分前に乗車完了。
「出発進行」

人生は挑戦と応戦の連続だ。これからもいろいろなことがあるだろう。
健康でいい人生を生きたいと思った思い出に深く残る旅となりました。おしまい。

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