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介護の専門知識は面白い!介護過程シリーズ①

今回は、介護の専門知識、介護過程をテーマにして投稿致します。

今回ご紹介させていただく”介護過程”は介護職の専門知識の中でも基本知識の一つです。

この介護過程は非常に面白く、介護職の方でも、そうでない一般の方であっても、様々なシーンに活用できる便利な知識でもあります。

ですので、今回の投稿で終えるのはなく「介護の専門知識は面白い!介護過程シリーズ」として投稿していきたいと思います。
今回はその第一弾とさせていただきます。

今回の記事は、このような方々に是非ともおすすめしたい記事です。

・介護を初めて間もない方
・これから介護職としてリーダーを目指している方
・介護職の人(財)材育成に携わる方
・単純に”介護(ケア)”がお好きな方
・在宅で家族介護をしていて中々うまくいかない方
・人と関わる仕事をしている方
・介護職ではないが介護の知識に興味のある方

介護過程は介護(ケア)の質を左右する



まずはこの記事を読んでくださった皆様に、私の今までの介護職としての経験から言える、読み進めていただくにあたって初めにお伝えしたいことがあります。

それは、介護過程を実践出来ているか否かは”介護の質”に大きく影響するということです。
更には、この介護過程の実践や介護過程のレベルにより、介護(ケア)は勿論、介護現場の雰囲気、そして介護職としての働き方、これらは大きく変化します。

私は15年以上の介護経験があり、管理者として従事したことも含めると、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホーム、介護付き有料老人ホーム、通所リハビリテーションと様々な事業所で介護を経験し、在宅介護のアドバイザーとしての経験もあります。
また、介護過程を講義させていただく実務者研修教員講習会を修了しており、介護職員の養成、人材育成の中で介護過程に関する講義を担当させていただいております。

この中で感じたことは、
チームの中にこの介護過程を実践し追及していく職員が一人でもいる事業所は、ご利用者の方の表情がとても良く、実践する介護の質についても非常に高いというものでした。勿論、在宅介護をされている方も同様です。

この記事を読んでくださる方の中で管理者の方、在宅介護のアドバイザーの方がいらっしゃるのであれば、この内容に共感していただけるのではないでしょうか。

介護過程は介護職の基本知識


冒頭にお伝えさせていただいたように、介護過程は介護職としての基本知識です。

それは、介護初任者研修、介護福祉士受験前必修の実務者研修でも介護過程学習項目の一つとなっていることが何よりの証です。
これを言い換えるのであれば、介護職として働くのであれば”介護過程”が求められるということが言えます。介護のプロとして求められる知識の一つということです。

基本であるにも関わらず現状は…


しかしながら、意外なことにこの基本を徹底出来ているところというのが、中々ないのが現状です。これは、介護過程に即してケアを実践していると答える介護現場や職員の方は多いのですが、介護過程の基本的なプロセスについて調べ、手順に沿って介護過程を展開している現場や職員は少ないということです。そして、在宅介護を実践する方々の中には、そもそもこの介護過程という言葉すら知らず、在宅介護を個人で一生懸命創意工夫しながら日々悪戦苦闘しているという方非常に多い状況です。

話は少し脱線しますが皆さんは”凡事徹底”という言葉をご存知でしょうか。
簡単にお伝えするなら「何でもないような当たり前のことを徹底すること」です。
この当たり前のことを継続して極めるとどのような結果になるか。
それは松下幸之助さんや、メジャーリーガーのイチローさん証明してくださいました。
何が言いたいかというと、この言葉を介護に置き換えたとき、それは介護過程の徹底=凡事徹底、このように通ずるものがあるということです。


前置きが長くなりましたが、
今回の第一弾の記事では、介護過程の目的と実践する上でのプロセスについて簡単に流れをご紹介し、なぜ介護過程が必要なのかについては皆様に参加いただき、介護過程は誰にでも出来るということをイメージしていただければと考えています。

記事を最後まで読んでいただけた方々が、介護過程という介護職の専門知識に興味を持ち、明日からの介護現場で介護過程を実践するきっかけ、よりよい介護現場・サービス作り、在宅での介護(ケア)にご活用いただければ幸いです。
拙い文章ではありますが、お時間をいただける方、最後までよろしくお願いいたします。

ここからの記事の構成について


ここからは、以下、4項目の順でご紹介致します。
目次にしていますので、気になるところから読んでいただくことも可能です。

・介護過程とは何か?その目的は?
・介護過程の4つのプロセス
・なぜ介護過程が必要なのか(自身の経験からイメージ)
・まとめ(介護過程は誰にでも出来る)

介護過程とは何か?その目的は?

介護過程とは何か


はじめに介護過程とは何かについて簡単にお伝えします。

ご利用者がその方らしく豊かな生活を送れるように、どのような介護が必要か根拠を持って体系的にまとめ、実践に移すためのプロセスです。

介護過程はあくまで”ご利用者・ケアを受けられる方のニーズ"にお応えすることが前提です。

介護過程の目的


介護過程は"ご利用者の生活の質(QOL)の向上につなげることを目的"としています。

ケアの効率や業務の生産性を高めるためにも有効ではありますが、その結果として、サービスを受けられるご利用者、ケアを受けられる方の生活の質(QOL)が向上していなければ、介護過程の目的が達成されたとは言えません。

介護の基本原則は、その方がその人らしくその方の生活が豊かになる、これらが、原則です(介護福祉士倫理綱領より)

では、介護過程とはどのように展開するのかを簡単にご紹介します。

介護過程の4つのプロセス(連続性)

意外かもしれませんが、介護過程のプロセスは非常にシンプルです。

1、情報収集(分析、検討、統合)
2、計画立案
3、介護の実践
4、評価(確かめる)

簡単な流れを説明すると、以上の4つのプロセスが介護過程の展開になります。しかし、ここで一つ、重要な前提があります。

介護過程は連続性がある

それは、介護過程の展開は4つのプロセスを一度だけ展開するのではなく、連続性をもって展開していくということです。
生活支援の私たちは、ご利用者の方々の生活の質(QOL)を高めるために利用者の生活が続く限り、日々ケアを検討していかなければなりません。
ここで重要なことが、ご利用者の生活やニーズ体調や思考、環境により日々変化するということです。
そういった背景から、介護過程は一度展開してそこで終わりではなく、連続性をもって繰り返し展開していくことが重要な前提となります。

これは余談であり私見になるのですが、この連続性をもってという前提は介護の奥深さを象徴づける一つだと私は考えています。
人は機械ではなく、日々変化すると同時に、今日より明日というように、たくさんの可能性に溢れた存在です。
だからこそ、一つのこと、一つの結果で終えるのではなく、人様を支える私たち介護職が一緒に追求し続けることが重要だと私は考えています。
この前提があることが、人の無限の可能性を感じさせてくれる一つの事柄であり、介護のやりがいを感じられるところだと私は思います。

情報収集の重要性(別記事で紹介)

介護過程については第一のプロセスである”情報収集”が非常に重要なポイントとなります。介護過程を実践する上で、情報収集の質が介護過程の質を左右すると言っても過言ではありません。しかし、その内容まで深く掘り下げると、あまりにも文章量が多くなり過ぎるので、情報収集の重要ポイントについては別記事にさせていただきます。
ご興味をもっていただけた方は後に投稿する同シリーズの記事についても読んでいただけたらと思います。

介護過程がなぜ必要なのか


介護の現場では、様々な「やらなければならないこと」に溢れています。
介護は一人ひとりのご利用者、ケアを必要とされる方の生活を支えるからこそ、求められるケアや業務は連続的なものであり、且つ対応に柔軟性を求められます。このことが“介護職は忙しい”と言われる理由の一つであり“人手が足りない”と言われる要因の一つとなっています。

このような状況の中で、場当たり的に介護をしているとどうなるでしょうか?こたえは明白だと思います。

場当たり的=専門性?効率?効果?


突然ですが、自分のこととしてイメージしてみてください。

何をしてもうまくいかない…
今自分がしていることが良い方向に向かっているのかわからない…
このままでいいのか不安になる…

このように感じられた経験はどなたにでもあると思います。
この時、皆さんはどのように対応されますか?

おそらく、大半の方が「自分自身を振り返る」や「今していること、今からすることをもう一度考え直す」ということを思い浮かべるのではないでしょうか。
とは言っても、このように今ある不安について再考する際「なんとなく」という抽象的な理解になっていては、いつまでたっても思うような結果や目標にたどり着くことはできません。


それよりも、今ある不安の原因なぜ起こるのか様々な視点で見つめ、問題を分析し、何ができるのか、その時何をもって良しとするのか、このように考える方が、根拠と基準が明確になり、自分にとっての今の不安に対して的確にアプローチすることができるのではないでしょうか。

根拠と基準を明確化したアプローチ

先ほど、なぜ急に自分のこととしてイメージしていただいたかというと、単純にイメージしやすいからというのもあるのですが、自分の経験をもとにして考えると乗り越えてきたプロセスを辿りやすく、介護過程に置き換えることがし易くなるからです。

何かを学ぶためには、自分で体験する以上にいい方法はない。
- アインシュタイン -

介護過程という言葉が専門的な用語であるため、その言葉だけで一気に想像し難い、難しいイメージに変化てしまうのですが、実際はそうではありません。実は本質を探ると、ご利用者へのケアについても、自分が不安を乗り越えるために行うプロセスと同様なんです。

皆さんが普段行っている、不安を乗り越える際に行っていること、これは簡単にまとめて言うのであれば、根拠と基準を明確化し体系的にアプローチするということです。

具体的なイメージ(参加形式)


もう一つイメージしやすいように例を挙げます。
下記の状況をイメージして(実際に行わなくても構いません)質問Q1~2、にお答えください。

あなたは的当てゲームに参加するとします。
ルールは単純です。
重さ200gのボールを5メートル先から立った状態で、50㎝の的に当てる。
これだけです。

ここで質問です。

Q1、一度目に投げたときと二度目に投げた時、どちらが的に当てられる気持ち(気分)になるでしょうか。
※実際に当てられるかではありません。当てられる気持ちになるかどうかの質問です。

Q2、Q1の答えがなぜそのような答えになったのか、あなたの思考のプロセスを振り返ってみてください
頭の中でその答えに至った経緯を整理してみる

いかがでしょうか。

大半の方が二度目のほうが当てられる気持ちになったのではないでしょうか。

なぜか、
それは一度目の経験をもとに、自分の頭の中で情報(力の入れ具合、腕の角度、勢い、的までの距離感など)を整理し、実際の状況とすり合わせを行い、次に投げる時の計画を頭の中で立案したからです。

先ほどの介護過程のプロセスをもう一度振り返ってみましょう。

1、情報収集(分析、検討、統合)
2、計画立案
3、介護の実践
4、評価(確かめる)

いかがでしょうか。
イメージできましたでしょうか。

”介護過程”という言葉にすると難しいように思えますが、実は皆さんが普段から実行している、思考のプロセスを文字にして表現しているだけのことなのです。

プロセス、結果、捉え方に大きく影響


的当てのゲームと同じように、何度目に当たるかどうかは別として、考えながら根拠をもって実践することで、結果が出るまでのプロセス(自分自身の取り組む気持ち)は大きく異なります。

的当てのゲームで例えるなら、
「さっきはこれくらいの力でこれぐらいのスピードでやってみたら〇〇だったから、次はこうしてみよう」という感覚です。
このほうが「やってみよう」という気持ちになりませんか?

結果についても、場当たり的に物事に対処するよりも、結果が出るまでの距離が大幅に短くなる可能性も出てきます。
それは、ある程度まとまった考えをもって実践するからこそ、ムダなことをしているという感覚ではなく段々と照準が合ってくるように思えるからです。
このほうが、結果にたどり着くのが早いように思えませんか?

系統立てて体系的に根拠を持って行うアプローチは、場当たり的に行うものとは大きく異なり、そのプロセス自体が再現性のある挑戦という形に変わり、取り組む意欲にも大きく影響してくるのです。

介護(ケア)も実はこれと同じです。

これが行えるように、思考を体系化したものが”介護過程”です。
これがこの記事の冒頭でお伝えした「介護過程は非常に面白い」と表現した理由でございます。

まとめ


今回は介護の専門知識は面白い!介護過程シリーズ①として紹介致しました。ここまで、長く拙い文章にお付き合いくださってありがとうございました。

介護過程は介護職の基本知識であること。
介護過程は思考のプロセスであり、ケアを必要とされる方の生活の質(QOL)を高めることを目的としていること。
介護過程の思考プロセスは、普段皆さんが日常的に使用している思考であり、理解し難いものではないこと。
介護過程の実践により介護・ケアの質は大きく変化すること。

以上について、記事にさせていただきました。

とは言え、介護過程は追及していけばいくほどより深く、面白いものです。
冒頭にお伝えしたように、シリーズとして継続して投稿いたしますので、ご興味をもっていただけた方はそちらも読んでいただければと思います。

今回の記事が読んでくださった皆様の”何か”になれば幸いです。

私の投稿では、介護に関して共に学びを深められる「共育」を目的としています。介護職の方は勿論、介護に興味のある方、介護について何か知りたいことがある方などの”何か”になれればと考えております。

今後ともよろしくお願いいたします。

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