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住む人、来る人、みんなの意思でできあがる街

コラム:Clafters 中川和華


今回の街あるきの舞台は「吉祥寺」。
音楽と映画が好きな私は、ライブハウスや映画館目当てによく訪れている街です。

でも今回は目的も目的地も設定しない街あるき。初めての体験にわくわくしながら、手渡された地図を片手に街に繰り出しました。

まずはどこに行こう?普段向かうことの少ない南口へ出てみたら、暑がりの私には厳しい真夏の気温。涼を求めて、まずは井の頭公園に向かうことに。

なんとなくこっちが公園かな、と思う方向に歩いていくと、看板の裏側にステッカー。一度その存在に気付くとあちこちにステッカーが貼られていることに気付く。

こういう目に入るもの一つ一つに意識を配れるのも街あるきの醍醐味なんだな~とウキウキしながらずんずん進みます。

これは公園に入る手前のカフェの花壇にあった、何かの意図を感じるはみ出しブロック。

明らかに誰かが何かのためにここにはりつけた様子なんだけど、想像が難しい。どうやら今日の私は、誰かの意思を感じるものに惹かれるらしいです。そんなコンセプトで街の景色を見つけてみようかな、と思いつつ。

井の頭公園に到着。夏の公園って意外と涼しいんですよね。緑がうまく日陰を作ってくれているし、計算されたかのように風が通る。視覚的にも感覚的にも癒されながら公園の中へ進んでいきます。

セミの激写を狙って木の幹を眺めていたら、大木にちょこんと新しい芽が出ていたのでパチリ(セミは見つけられなかったです。子供のころはすぐに見つけられたのに。悔しいです)。

池には何がいるのかな、と覗き込むと、2羽の鴨がすいすいと泳いでいたのでパチリ。鴨ってずっと眺めていられるし、すごく癒されるので大好き。涼しい顔しながら水面ではせっせと泳いでいると思うと愛らしいです。

そして、池をそのまま眺めながら歩いていると「!?」な光景。

井の頭公園名物のボートが今はお休みらしく、白鳥たちが丁寧にくるまれていました。愛ゆえの行動だとは思いながらも、その結果がホラーチックで、ちょっと「重ためな愛」を感じました。

続いて、同じく「愛」の写真。

これも実はいろんなところで見かける、なんてことはない光景だけど、先ほどの白鳥との並びで見てみるとなんだか感慨深い。ぐるぐる巻きに保護されているんだけど、新しい幹が蹴破ってきている様子です。

そんなこんなで公園を抜けて、水門通りという道を歩く。住宅のあちこちから花びらがこぼれだしていて、ピンクやオレンジの道が出来上がっていました。綺麗。

ふと目をやると道のわきにこんな光景が。


誰かが、ポールを支えたくて置いたのかな?と想像するブロック。ただ時間の経過で足場が沈み、新たな支えを得たポールの様子です。いろんな角度から、「人」という字にも見えなくもない構図で、人も時間や状況が変われば支えになるものも変わるよな、と思わされる一枚です。

ずんずん進み、井の頭線とJR線の線路を越えて北口方面へ。

線路沿いの歩道で外れかけたチェーンが。

写真に名前を付けるとすれば「新しい世界はすぐそこ!」ですかね。

地図をほぼ見ず心のままに歩いていったので、場所が明確にわかりませんが路地で見つけた光景。太陽と真逆を向いた向日葵です。もの珍しかったので下から潜り込んでパチリ。

名前を付けるとすれば、さすがの暑さにへこたれているのか?それとも、「あなたが私の太陽だよ」と言ってくれているのか?真相はわかりませんが、何だか向日葵の強い意思を感じて好きな一枚です。

また少し進んだ先に見つけたのが、この一枚。これが今回の街あるき最後の写真です。

なんとポジティブ!!!意味が違うことはわかっているんです、でもこの言葉のインパクトと、赤地に白のエネルギッシュなカラーリングに元気をもらわずにはいられない。少しハッとして、クスッとなる看板だな~と思って、思わず撮ってしまいました。

以上が今回の街あるきの振り返りでした。

実は、もっともっといろんなところを巡りました。ふと通りがかった梅専門店に立ち寄って水出しの梅昆布茶を買ったり、気になっていたフローズンヨーグルトのお店に行ったり、新しくオープンされた木のおもちゃ屋さんで友人の子どもへのお土産を買ったり。普段は決まった目的地めがけて歩く街ですが、漫ろ歩くことで新たな出会いもあり、すごくエキサイティングでした。

今回街あるきをしてみて思ったのは、すごく些細な街の風景も、そこに住む人・来た人の意思で出来上がっているということ。誰かの何らかの想いが街にしみ出して、それが街の一つ一つや空気をつくり出しているんだな~ということです。今回は一人でもくもくと歩きましたが、今度街を歩くときには、街にいる人に声をかけてみるのも、新しい街の表情がみられて面白そうだなと思いました。


Center line art festival Tokyo(中央線芸術祭)2023 は「The time to sense.」をテーマとし中央線沿線地域で美術展示やパフォーマンス、ワークショップ、トークイベントなどのプログラムを開催します。
市民生活へと深く浸透する芸術創造の場を創出し、東京中心部における文化圏を西東京地域に緩やかに拡大してゆくためのプラットフォームとして継続することによって、地域コミュニティ、民間を主体とした文化創造を促進してゆくことを目標におきながら、西東京地域から全国に向けた発信を市民とともに行ってゆきます。 

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