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イノベーションを生み出す「信頼」とは?新しい関係を生み出す信頼を社会心理学を交えて解説

安心ではイノベーションは生まれない。
不安でも「信頼」して任せることで、イノベーションは生まれる。

こんにちは!株式会社シンギュレイトです。

新しい部下にはじめて仕事をお願いするとき、他部署の人に仕事を依頼するとき、新しい取引先とビジネスを始めるとき、、、みなさんは相手を「信頼」して仕事を任せることができていますか?

「不安だな......」という気持ちから、仕事を任せることができず自分でやってしまう、こんな経験がある人も多いのではないでしょうか?

しかし、それでは新しいものを生み出していくことはできません。その不安な気持ちを乗り越えて仕事を任せることで、新たな関係が生まれ、ひいてはイノベーションへとつながっていきます。

今回は、イノベーションを生み出す「信頼」について、社会心理学も交えて紹介します。

イノベーションを生み出す「信頼」とは?

まず一般的に使われる信頼の意味から振り返りましょう。

信じて頼りにすること

引用:デジタル大辞泉

が一般的な意味です。「安藤さんは信頼できるメンバーだ」というように、ある人を信じて頼りにしている時に使われます。一方で、私たちは「信頼」という言葉を別の意味で使っています。それは、

不安な状況でも、相手に任せようと思える気持ち・行動

という意味です。一般的な意味と近いですが、「不安な状況でも」という条件がついています。これは社会心理学における信頼の意味です。例えば、

  • 新しい仕事をチームのメンバーに任せるとき

  • 新しい取引先と初めて仕事をするとき

  • 普段、連携が少ない他部署に仕事を任せるとき

こんなとき、みなさんの中に不安や怖さはないでしょうか?このように不安を抱く状況を「社会的不確実性が存在している」と呼びます。社会的不確実性が存在している状況では、新しい相手を避けて既存のつながりを活用しがちです。

ですが、ここで不安だからといって、任せる業務を減らしたり、任せること自体をやめたりしてはいけません。それでは、イノベーションが生み出せていなかった現状のまま、変わらないのです。こうした心理的なハードルを飛び越え、新しい関係を作っていく姿勢を「信頼」と呼んでいます。

つまり「信頼」とは、新しい関係・多様な関係性を生みだすときに生じる、不安や危険に挑む相手に対する期待なのです。期待して他者を信頼することが、不確かな社会・経済環境で新しい関係・多様な関係性を築くことにつながります。

他者を信頼する人の特徴

他者を信頼できる人は、他者を信頼しない人に比べて

  • 新しい機会・チャンスを作り続けることができる

  • 相手に対する感受性・予測能力が高く、失敗を回避できる可能性が高い

という研究結果が出ています。詳細は以下の記事をご覧ください。

つまり、他者を信頼できる人材は、成功確率の高い新しいチャンスを生み出し続けることができるのです。逆に、他者を信頼できない人材は、新しいチャンスを逃し続けているといえるでしょう。それは膨大な機会損失です。

そして新しいチャンスは、日々必要性が増しているイノベーションの起点になります。イノベーションは、既存のつながりからは生まれず、新しい関係や多様な関係性から生み出されるからです。

新しい関係・多様な関係性を生み出していこうとするときは、わからないことだらけ。それでもイノベーションを生み出したいなら、不安でも信頼するべきなのです。

信頼と安心の違い

信頼と比較される言葉に「安心」があります。

社会心理学者である山岸俊男氏は、信頼と安心について以下のように述べています。

信頼は、社会的不確実性が存在しているにもかかわらず、相手の(自分に対する感情までも含めた意味での)人間性の故に、相手が自分に対してひどい行動はとらないだろうと考えることです。これに対して安心は、そもそもそのような社会的不確実性が存在していないと感じることを意味します。

山岸俊男『安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方』

社会的不確実性の有無が、信頼と安心の大きな違いです。仕事の依頼に置き換えると、依頼する仕事を確実にできる人材に任せることは「安心」であり「信頼」ではないのです。

そして、安心できる関係とはこれまでの既存の関係に他ならず、イノベーションを生み出す源泉とはなりません。つまり、新しいものを生み出すためには、「仕事をお願いしても失敗するかもしれない」という不安を感じながらも、それでも相手は成功するだろうと考えて任せる「信頼」こそが必要なのです。

「安心」できる相手に任せてもイノベーションは生まれません。不安な相手でも「信頼」して任せることで、新しい関係・関係性が生まれ、イノベーションにつながるのです。

信頼を科学し、組織を変革する

今回は、イノベーションを生み出す「信頼」について解説しました。一般的に使われる信頼に比べると、難しいと感じる方もいらっしゃったのではないでしょうか。ただ、実践において難しく考える必要はありません。心配でも、不安でも、怖くても、相手を信頼して任せればいいのです。

他者を「信頼」することで、新しい何かが生まれます。それはこれまでにない新しい関係であり、新しいアイデア=イノベーションの種なのです。

ぜひ皆様も「ちょっと不安だな......」と思っている相手も「信頼」して、仕事を任せてみてください。誰にでもできる、あなたにもできる、他者を信頼するという行いこそが、イノベーションへの第一歩です。


私たちシンギュレイトは「信頼」の科学を軸に、人材・組織開発支援を行なっています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。


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