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ピープルアナリティクスを学ぶ理由は?人事がデータサイエンスを学び得たこと、今後のビジョンを聞く!![ピープルアナリティクス実践キャンプ第1期生 インタビュー]

こんにちは!シンギュレイトnote編集部です。

シンギュレイトでは、株式会社コーナーと共同で「ピープルアナリティクス実践キャンプ」というピープルアナリティクスを未経験からでも学べる実践的な講座を実施しています。

ピープルアナリティクスとは、「人事のデータサイエンス」と言うべきもの。これまで、勘・経験・度胸で決まってきたと言われる人事では、データ活用はあまり行われてきませんでした。しかし、技術の進展や人的資本経営の必要性に伴い、その重要性は日々増しています。そこで、立ち上げたのが「ピープルアナリティクス実践キャンプ」です。

第1回は、2023年12月〜2024年3月に開催。応募者数70名超の中から3名が選ばれました。「ピープルアナリティクスを学ぶ」という目的のもと集まった3人。3人は、講座に何を期待し、講座で何を得て、何を成したいと思っているのでしょうか?そんなことを聞くべくインタビューを行いました!ぜひ、ご一読ください!


ピープルアナリティクスを学ぼうとしたきっかけは?

──いま、どのような仕事をされていますか?所属組織で担っている役割を教えてください。

美馬さん:グリー株式会社で人事を担当している美馬と申します。コーポレート本部 人事部 組織開発チームに所属をしていて、社内の人的課題の解決について役割をもっている組織に勤めています。

内堀さん:内堀と申します。現在は、独立をしていて個人で人事関連業務のコンサルティングや実務を行っています。以前は事業会社の人事として採用、労務、組織開発など人事全般に幅広く関わっていました。

内野さん:内野です。私はIT企業に勤めており、人事担当として主に採用力向上に向けた現状把握・分析や施策検討などに取り組んでいます。

──ピープルアナリティクスを学ぼうと思ったきっかけやキャンプに参加した動機を教えていただけますか?

美馬さん:組織が持つ人的課題に対して、「データを用いて解決に導く人事になりたい」と考えていたところ、キャンプを発見しました。キャンプを通して、潜在的な課題をデータから発見できたり、データをもとに経営陣に対して提案ができるようになりたいと考え、応募をしたという形です。

内堀さん:ピープルアナリティクスには、この言葉が日本で流行り始めた当初から関心があったんです。きっかけは、前職で人事をしていたときのことですね。経営層と重要な意思決定をする際、感覚ベースの提案だけでは説得しきれないことがあって。そういうときにデータをもとに議論することで、より確からしい意思決定ができるようになるのでは?と感じていました。そこからピープルアナリティクスに興味をもって、情報収集していました。そこから数年、本を読むなどしていましたが、体系だって勉強できる機会を作れずにいたところ、キャンプを発見し、「これは!」と思って申し込みました。

内野さん:私は、前職がデータ分析によるコンサルティングを行っている会社だったので、データ活用による価値貢献に馴染みがありました。ただ、近くにピープルアナリティクスを専門的に聞ける人がいなかったので、自分なりに勉強してみたものの難しさを感じていました。現職ではデータ集計に関わる機会をいただきましたが、やはり教わるチャンスは稀有でしたので、実践講座として学べるキャンプを発見し飛びつくように応募しました。

──みなさんは日々の人事業務に対して、ピープルアナリティクスのようなデータドリブンなアプローチはどのような効果があると考えていますか?

美馬さん:組織マネジメントとか人事が扱う業務の範囲は、どうしても人が関わるので、これまでは直観的な懸念が先立つことが多かったんです。ですが、数字で語れる人が増えていくと、思ってもいなかったところで課題を発見し、解決できるんじゃないかと思っています。

直観的なものだと「それって本当なの?」と言われがちですが、「データで見るとこうなんですよ」と語れることで、課題の範囲が広がっていく。ですので、身につけておくと、事業成長に寄与できるなと考えていて、意識したいと思っています。

内堀さん:やはり「より確からしい意思決定ができるようになる」と思っています。人事の業務は正解がないし、答えがわからない領域です。複数名で会話すると、どうしても感情や定性面で「えいや!」となりがち。もちろん、そこを配慮するのも大事なんですが、それだけでは難しいのではないかと。私は、「データに感情を乗せたい」と考えています。そうすることで、社員も会社も、より幸せに近づける意思決定ができる確率が上がるんじゃないかと思うんです。データを使うことで、そういった世界が近づくんじゃないかなと思っています。

内野さん:一番は、データを裏付けとして使うことで、自信をもって施策検討、立案、推進ができるようになる、ということですね。偉い人に意見を通したい場合、データじゃないところで決まることもあるかもしれませんが、少なくとも「こういった数値が出ているんですよね」とデータに基づいた力強い説明ができます。データを用いる文化が醸成されていくと、データへの感度が高まっていき、より適切な人事施策ができるんじゃないかと思っています。

ピープルアナリティクス実践キャンプでの挑戦と学び

キャンプの中での挑戦とは?

──キャンプの中で、組織開発データの分析・レポート作成を行っていただきました。こういったピープルアナリティクスの実践での”挑戦”を教えていただけますか?

美馬さん:「ゼロから作る」が大きなテーマでした。イノベーション・サーベイ※のレポートを仕上げたときに、「どんなレポートを出せばいいのか」「レポートをつくるために必要な情報は?」「どういう分析設計が良いのか?」「どういうコードを使えばいいのか?」など......。すべてに指針やフォーマットがなかったので、この3人でゼロから1つ1つ話し合って決めたことは挑戦でしたね。ラスト1ヶ月は、2日に1回くらい3人で夜にミーティングして、話し合って進めていったのはちょっと青春ぽくて良かったなと思ってます笑

内堀さん:最後の1ヶ月はホントに大変だったよね、っていうのは美馬さんと一緒ですね笑 アウトプットの正解が3人ともわからなかったので、ペルソナ設定をしたり、仮のクライアントを作ってみたりしていました。そういった作業を通してわかったのが、クライアントの依頼背景や思っていること、認識している課題などの事前のヒアリングや、心を通わせておくことの重要性です。

私にとってもう1つの挑戦は、かなり限られた時間、かつ答えのない世界の中でよりベストなものを模索するということ。同じデータをみていても捉え方はそれぞれ違います。同じ人事でも、それぞれ所属している会社も経験もまったく違うメンバーが限られた時間の中で議論をして、納得して落とし込む、という共同作業に難しさを感じていました。

内野さん:ラスト1ヶ月、時間的につらかったのは完全に同意です笑 自分としては、アンケート設計の知見がなかったので、アンケートの回答データを読み解く際に質問内容の理解に苦しんだり、反転項目の存在に引っかかったりと、最初にキャッチアップするのが難しかったですね。

また、レポートの作成では、3人の考え方がバラバラな中でゼロから作っていくことはチャレンジングな取り組みでした。振り返ってみると、アンケートの回答集計・分析というやったことないことに対してチームワークを発揮していくことは、新鮮でありつつ大変だったな〜と思います。

※イノベーション・サーベイ:シンギュレイトが提供する組織診断サーベイ。組織メンバーが他者をどれだけ信頼できているかを計測し、組織のイノベーションの生まれやすさを可視化する組織診断ツール。

https://cingulate.co.jp/service/innovation-survey/

最も印象に残った学び

──ラスト1ヶ月の大変さが非常に伝わってきました笑 では次に、キャンプを通して、最も印象に残った学びを教えてください。

美馬さん:「何のためにデータを使って情報を伝えるのか?」という、「何のために」を要視した上でのデータの扱い方をプログラムを通して学べたと思っています。データの扱い方のポイントは2つ。1つ目が、データはファクトなので、価値観が違う方でも、同じデータを見ることでコミュニケーションが円滑になるということですね。

2つ目は、相手から情報を引き出す使い方です。データを見せて、「これに対してどう思いますか?」と問いかけることで、相手も気づいていないことを引き出す手法を鹿内さんに教えていただきました。「ヒアリングにもデータって使えるんだ」ということが学べました。

内堀さん:私はざっくりとした回答になってしまうんですが、鹿内さんの雑学がものすごく勉強になったと思っています。いろいろな角度から質問をしても、何でも答えが返ってくるんですよね。鹿内さん自身も、「自分はそういう知見が強みになっている」と仰っていて、引き出しをたくさん持っておくのは大事だな、と鹿内さんから学びました。

あとは、「これが理想の組織像だ」と自分なりの答えを、人事に携わる一人の人間として持っておくのが大事だなと思いました。軸がないと、「Aという見方もあるし、捉え方によってもBとしても見れますよね」と、ただデータを多角的に眺めるだけになっちゃいそうだな、と感じました。一方でそれを相手に押し付けるのではなく、相手が思っていることも引き出して受け止める柔軟性を併せ持つ、という姿勢も大事だなと学べました。

内野さん:一番は「相手からコメントをもらうこと」ですね。鹿内さんがいつも仰っていた「アウトプットからアウトカムを得るように」という言葉が刺さっています。「目の前のデータを丁寧に集計し、可視化し、クライアントからフィードバックをもらう、そして会話を進めてアウトカムにつなげていく」こういった一連の流れを教わりました。いまも常に意識していて、大きな学びです。

もう1つあって、それが「ピープルアナリティクスの世界の広さ」です。今回、私たちは単純集計でアウトプットを出したんですが、鹿内さんが同じデータで分析をして得た結果を見せてくれたんですよね。相関係数を示しながら、「主体性と信頼って、こういう関連性があるんだよね」みたいな。そういった技術との繋がりを教えていただいて、ピープルアナリティクスの世界がさらに広がりました。

キャンプでの経験を経て、今後の展望

──ピープルアナリティクス実践キャンプで得た経験を、今後どのように活かそうと考えていますか?

美馬さん:実際にエンゲージメントサーベイなどを使う機会もあるので、自社のデータを分析して、課題解決に進む施策提案のためにデータをしっかり使っていきたいなと考えています。あとは、データを使ったヒアリングや、相手・経営陣への示唆にも一歩踏み込んで使っていきたいですね。

実は、今回のキャンプも上長や人事部長に了承をもらって参加しています。なので、データを触るときに、「キャンプを経験しました!」というのが後ろ盾になっていて。話を聞いてもらいやすい状況なので、積極的に使おうと思っています。

内堀さん:分析できそうなことがあればなんでもトライし、定性面だけでなく定量的なデータをもとにして、課題解決の施策提案などをしていきたいなと思っています。

また、私自身「社員一人ひとりがめちゃくちゃ楽しく、働いていて幸せだ!」という状態でいてほしいと思って、人事をやっています。今後、イキイキと働いている社員や幸せな社員の傾向を分析して、社員のウェルネス向上ができたらすごく嬉しいなっていう夢があります。

内野さん:まずはファクトブック(データを可視化し、集計したもの)を組織の中で作りこんでいきたいと思っています。鹿内さんが仰っていたのは、「ファクトブックを見ると、想定される分岐の数を減らせる」ということ。そのお話でファクトブックの重要性を認識したんですが、いまは大してできていないな......と思って。まずはそこを作りこんでいきたいです。

合わせて、アドホックな分析やBIツールでの可視化プロジェクトも実施予定なので、アウトプットを出してフィードバックを得て改善する、という一連の流れをスピーディーに回していきたいですね。

これからピープルアナリティクスを学ぶ人へ

──では最後に、これからキャンプを受講しようと考えている人やピープルアナリティクスの学習を始める人に対して、メッセージをお願いします!

美馬さん:私もそうだったんですが、人事のキャリアの道のりってデータと関わらない人が多いんじゃないかと思っています。この3人の中では、私はPythonが全くのゼロからだったので、2人にもたくさん助けてもらったんですが、誰かと一緒に勉強することでの挫折のしづらさを感じました。未経験の人には非常にいい環境だったかなと、振り返っています。

興味はあるけど、未経験だからなかなかチャレンジできる場所がないな〜と思っている人でも、キャンプは踏み出せる場だと思うのでうまく使ってほしいですね。また、自分たちの学ぶ姿勢によって、吸収できるものがかなり変わります。「ピープルアナリティクス、データ周りは全く分からなくても、とにかくやる気はあります!」という人なら、どうにかついていけるので、この点でも興味持ってもらえれば笑

もうひとつキャンプを通して得られたと思うのが、ピープルアナリティクスに興味がある人とのつながりです。ピープルアナリティクスという共通言語でつながりが持てたことは、今回得られたことなので、つながりが欲しい人にもおすすめです。

内堀さん:「一緒に学ぶ仲間がいること」がすごく大事だと思ってます!これは、誰かと一緒の方がやる気が持続する、というのもあると思うんですけど、自分の経験として「ピープルアナリティクスがまだ当たり前ではない日本で一人でやるのは限界があるな」と思ってたからですね。海外事例を調べるにしても英語が読めないと難しいし、海外の事例をそのまま日本へ持ってきてもハマらないし......みたいな笑

ただ、今は状況も変わり、今回のようなキャンプがあって、同じものに興味関心ある仲間と知見を深めていくことができて本当によかったです!まだ発展段階のこの領域では仲間の存在が一番大事なのかなと思っています。

内野さん:これから学習を始める方に向けては、「Pythonなんて触ったことない」って気後れする方もいらっしゃると思うんですけど、本当にそこは大丈夫、とお伝えしたいです。今だったら何でもググれるし、ChatGPTもあるし、キャンプにくれば知見ある方がいるので問題ないです!

とはいえ、ピープルアナリティクスは所詮手段でしかないので、「アナリティクスという武器を使って何をしたいのか」を、今の仕事と結び付けて想像をめぐらせていただけたらと思います。

編集後記

最後まで、お読みいただきありがとうございました!別々の場所で、それぞれの文脈で、ピープルアナリティクスに興味を持ち集まった3人。キャンプで得たことを武器に、各々のフィールドでの活躍が期待されます。

受講生3人へのインタビューは、共同開催企業である株式会社コーナーのメディア「パラれる」でも公開中!本記事では触れなかった、より講座の具体的な内容に触れつつ、受講生の学びをふかぼっています。ぜひご一読ください!


最後まで、お読みいただきありがとうございました!もし今回のnoteが、「参考になった」「面白かった!」と思った方は、ぜひ記事への『スキ』とフォローをお願いします!


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