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昭和時代の豪快な人烈伝みたいな、例えば俳優で言えば、石原裕次郎に勝新太郎、政治家では田中角栄、プロ野球では長嶋茂雄、星野仙一と枚挙に暇はありません。ご存命の長嶋氏はもとより生前親交のあった関係者の取材記事や映像を介してのコメントでは、基本的に面白可笑しくキャラクター誇張も含めて語られるケースが多く、往時を知らない世代には違和感を楽しめるか否か、案外冷静な捉え方がされています。

かなりメディアで取り上げられているのでご存知の方も多い、かの大谷翔平の高校時代に自身作成の目標シートなるマトリクスをご覧ください。

夢を具現化するための徹底解析と考えられます。
とにかく具体的に何をすべきか、突き詰めるとその一点を追求した、完全考察と言えます。
この方法論に至る背景は様々だと思います。両親から、或いは良書からの影響、または貴人との出逢い…私は何らかの自覚を促すきっかけが必ずあったと推察します。
そして、先般のワールドベースボールクラシックでの世界一に登り詰めた活躍とシーズン開幕以降の投打に渡る好調に溜飲が下がりっぱなしであるのは、世界的共感事項でしょう。

ジェネレーションの違い、価値観解釈、総じてゆとり世代間の有り様から、若い世代との接し方が取り沙汰されますが、良い意味ではみ出せる力のある人間には均一化した思考ではない、創意工夫の余地からの天才性を生み出す可能性も一方では存在した証左でもあります。
皆んなが休んでいる時、怠惰になりやすい時に天才性のある人間は人知れず努力しているという…これはいつの時代にもあり得ているのですが、昔よりも大人が優しい時代に実践できる忍耐力、その姿勢が尊いのです。

そこで、昭和の豪快烈伝を引き摺りながらその影響下において、何らか指導者の立場にある人に大谷翔平のマトリクスに代表される具体的に突き詰める戦略思考はなかなか持ち合わせられないのだろうと思うのです。
特に結果が問われるプロスポーツには大事なメソッドであるにも関わらず、根性と精神論が優先される現場では危うい状況に陥ることが予想されます。
‘コレをやっておけば良い’根拠なく反復練習をさせておきながら、実践にて結果が伴わなければ本人の所為として、ペナルティが課せられる前近代的思考を懸念します。
こうした組織では、例えば大谷翔平のような存在を単なる未知の物体のように扱うしか発想は無い筈です。非常に寂しい事だと思います。

戦略的思考はプロスポーツに限らず、どの媒体にも必要なメソッドであり、そこを単なる個人のセンスに委ねるか、歴史に学べる分析力を備える思考性があるか、トップリーダーの姿勢が問われるものだと考えます。
また組織論に必要な考え方に大谷マトリクスにもあった‘運’の力、これを引き寄せられるにはどうしたら良いのか、この観点は見逃せません。
運は言い換えると他力とも解釈できます。他力があればこそ成功の道筋が具体的に近づいてくるのです。
勝負論には客観的に応援したくなる力、何処か感情移入の要素を組み込んだ、人格の側面があります。
ここを軽視すると、個のもつ潜在的な能力を引き出せないままイメージ止まりで選手寿命も尽きてしまいます。
そう考えると、プロスポーツにおける監督、会社でいう社長は部下スタッフの生殺与奪を握っている立場である自覚をより意識すべきなのです。

戦略思考が苦手なトップであれば、その点に長けた参謀を付けて補強すれば良いのですが、トップが自信過剰だと周りが見えず責任転嫁は一層激しくなる事が想像できます。

さて、私が物心ついてプロ野球を観出してより、中日ドラゴンズがこれだけ弱い年は記憶にありません。
昨年が最下位、今年はさらに昨年対比の順位成績として厳しい理由は、個々の選手層は向上しているのに勝てない不条理、つまり戦略が無いため勝てない采配の結果に他なりません。
憶測の域は出ませんが、諸葛亮孔明が登場する前の劉備玄徳と仲間たちの集団のように私には映ります。
何故ならば立浪監督が選手たちに圧倒的に嫌われているようには見えない故に、立浪監督の資質は前に出ながらも、球団は軍師を推める訳でもなく、現状放置スタンスなのです。
ドラゴンズに関しては決断が急がれます。

様々な場面においての戦略的思考を促す為にも私は日常、一番大切な行為に読書を挙げます。此処を疎かにしてリーダーは務まらないと思う次第です。

【インフォメーション①】
http://magone-film.com/

田邊アツシ監督作品『マゴーネ 土田康彦「運命の交差点」についての研究』
いよいよ6月全国単館系にて劇場公開されます。お近くの劇場にて、ぜひ足をお運びください!

【インフォメーション②】

下関名画座 次回上映作品案内
■2023年5月27日(土)
■シーモール下関2階シーモールシアター
■作品 「‟樹木希林”を生きる」(2019/日本/108分)
■監督 木寺一孝       
■出演 樹木希林      
■内容 
2018年9月15日。75歳で亡くなった女優・樹木希林の晩年の一年間をNHKが密着したドキュメンタリー番組に、未公開映像を加えて再編集した劇場版。全身にガンに侵されながらも淡々と生きる樹木を取材し、家族との複雑な関係や女優としての臨む姿、日々の暮らしなどを捉える。
■上映時間
①10:00  ②13:00  ③16:00  ④19:30 
■チケット 前売り1,100円 当日1,300円
■問合せ 山中プロダクション(090-8247-4407)

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