竹中翔子(シネコヤ店主)

鵠沼海岸のシネコヤの店主をしています。シネコヤは、街の中に《本》や《映画》の文化的な空…

竹中翔子(シネコヤ店主)

鵠沼海岸のシネコヤの店主をしています。シネコヤは、街の中に《本》や《映画》の文化的な空間を残していくことを目指しています。生活の身近なところに、《本》《映画》が与えてくれる豊かな時間を、お届けできたらと思っています。本や映画、お店についての書きもの。

マガジン

  • 店主の映画解説「月刊シネコヤ」バックナンバー

    2015年、IVYHOUSEでの上映会…そのころからコツコツと毎月書いてきた、「月刊シネコヤ」の映画解説コラム。これまで、シネコヤが上映してきた映画について記述しています。「月刊シネコヤ」店主の映画解説のバックナンバーです。

  • シネコヤの本棚〜懐かしのパンフレット〜

    シネコヤの本棚にある「昔懐かしのパンフレット」を引っ張り出して、紹介しています。Instagram(@cinekoya)メインで発信。こちらはまとめです。

  • CINEMA NOTEBOOK ONLINE

    シネコヤの本棚にひっそりと置いてある、「CINEMA NOTEBOOK」。 本を開くと、「あなたの好きな映画を書いてください・おひとり1ページ。」の文字。人生を豊かにする「あなたの好きな映画」が、このノートには詰まっています。個性豊かなひとりひとりのページ。文章と、ときどき写真、それらを紹介していきます。 そこに綴られた、ひとかけらの「人生」をお届けいたします。 ――――― ※映画のタイトルは、ノートに書かれているままに記載しています。誤表記などがある場合もございますのでご了承ください。 ※各記事のコメント欄に「あなたの好きな映画」を書いてください。 ※手描きで書いて、このマガジンに記事を追加してもOK! ―――――

  • シネコヤ店主の思ったこと

  • これまでのコラム・書きもの

記事一覧

固定された記事

「シネコヤ」3周年

シネコヤは2020年4月8日で3周年を迎えます。その日を休業で迎えることになりました。 とても悲しい気持ちと、悔しい気持ちと、でも負けてられない!という想いで、一日を過…

東直子さん『魚を抱いて 私の中の映画とドラマ』

雨の日の帰り道。 電車の扉が開くたびに 雨音が聞こえる。 帰りの電車は読書の時間。 本を開けば 電車の音も 雨粒の音も 全て消えてなくなる。 東直子さん『魚を抱いて…

映画『日日芸術』について

絶対的な肯定感。 映画を観ているあいだ その感覚に包まれて いっぱい泣きました。 何に泣いているか 自分でもよくわからないのだけど あふれてくる涙を止めることができ…

【シネコヤ店主のレビュー】願わくば、こんな生き方をしたい…。

願わくば、こんな生き方をしたい…。 自然との距離、 経済との距離、 隣人との距離、 その全てとの関係が、 人間が持てる本来の「量」ではないか と感じたからです。 あ…

触れられない…その距離感こそが、真の官能。

vol.3『真珠の耳飾りの少女』(2003年・イギリス)公開当時のキャッチコピーは、「心まで描くの…」。まさにそんな風に、もの言いたげに視線を投げてくる澄んだ瞳の少女。…

映画に出てくる料理と音楽が、映画に魔法を与える

『マーサの幸せレシピ』(2001年ドイツ)は、料理に舌鼓をする映画であり、音楽に酔いしれる映画だ。強い印象を与えずとも、長く淡々と愛される理由は、ここにある。 料理…

vol.4〜vol.6:チャン・イーモウ〜リバー・フェニックス

vol.4:チャン・イーモウの映画に出てくる女の子 『初恋のきた道』 『至福のとき』 『活きる』 『あの子を探して』 ・ ・ ・ ・ チャン・イーモウ監督のパンフを漁ってみ…

no.1:CINEMA NOTEBOOK-2017.4〜

シネコヤの本棚にひっそりと置いてある、「CINEMA NOTEBOOK」。 本を開くと、「あなたの好きな映画を書いてください・おひとり1ページ。」の文字。開館当初から、シネコヤ…

「苦手なこと」を考えていたら、おのずと「好きなこと」が見えてきた件

わたし、手芸とか、絵を描くとか、料理をつくるとか、そういうの、とても苦手なんです。 こもってる期間で、いろいろと作っている人がとてもうらやましい。 「つくる」の…

いつか、鵠沼海岸のシンボルに。

ここは、昭和に建てられた元写真館。この場所は、鵠沼海岸で暮らす地元の人たちにとって、七五三、成人式、結婚記念の写真など、家族の記念日に訪れる特別な場所でした。 …

目を瞠る(みはる)ような輝かしい女優…ではない。

vol.1『バグダッド・カフェ』(1987年ドイツ)この映画の魅力は、美しく、目を瞠る(みはる)ような輝かしい女優… ではない。 ミニシアター映画の象徴とも言われる作品。…

これまでのコラム・書きもの(まとめ)

ありがたいことに、お店をはじめて3年のあいだ、いろいろな場面でコラムなどを書かせていただきました。 現在は、毎月3本ほど、WEB・フリーペーパーなどに文章を寄せさせ…

vol.0〜vol.3 1980年代ミニシアターからその周辺

vol.0:あなたの映画の思い出を呼び覚ます Instagramで好評だったので、 シネコヤの本棚にある「懐かしのパンフレット」を紹介していこうと思います。思わず手にとってしま…

好きな空間がたくさんあります。

大変なのは自分だけではない、と、周りを見渡せばみんながんばってる。自分がシネコヤをやるときに、勇気をもらった映画館がたくさんあります。 応援できる形もいろいろあ…

固定された記事

「シネコヤ」3周年

シネコヤは2020年4月8日で3周年を迎えます。その日を休業で迎えることになりました。 とても悲しい気持ちと、悔しい気持ちと、でも負けてられない!という想いで、一日を過ごしていました。 シネコヤは、街の中に《本》や《映画》の文化的な空間を残していくことを目指しています。生活の身近なところに、《本》《映画》が与えてくれる豊かな時間を、お届けできたらと思っています。 本来であれば、シネコヤでそんな時間をお過ごしいただきたいのですが、いつ収束するか見えてこないこの事態…「ここへ

東直子さん『魚を抱いて 私の中の映画とドラマ』

雨の日の帰り道。 電車の扉が開くたびに 雨音が聞こえる。 帰りの電車は読書の時間。 本を開けば 電車の音も 雨粒の音も 全て消えてなくなる。 東直子さん『魚を抱いて 私の中の映画とドラマ』 いろいろな映画とドラマについてのエピソードを綴ったエッセイ。 そこに 懐かしい映画の名前。 『トニー滝谷』 孤独だった男に訪れる幸福と、更なる孤独。 その一節に、 “極上の幸福には 究極の苦しみが もれなくついてきてしまうのか” 染み入る言葉。 雨のよう。 雨の音が聞こえる

映画『日日芸術』について

絶対的な肯定感。 映画を観ているあいだ その感覚に包まれて いっぱい泣きました。 何に泣いているか 自分でもよくわからないのだけど あふれてくる涙を止めることができない映画。 そういう映画にときどき出会います。 映画『日日芸術』。 敬意とか、誠実さとか、優しさとか、 そういうのがたくさんあふれていて すべての命に対する 絶対的な肯定感。 そしてそれは本当はみんな知っていて ただ、 忘れてしまっているだけで。 記憶の奥にある 心象風景を見ているよう。 ただそこにいるだけ

【シネコヤ店主のレビュー】願わくば、こんな生き方をしたい…。

願わくば、こんな生き方をしたい…。 自然との距離、 経済との距離、 隣人との距離、 その全てとの関係が、 人間が持てる本来の「量」ではないか と感じたからです。 あまりに多くのものを 今の生活では 持ちすぎてはいないか? 食べ物や洋服、 お金や家、 そして人間関係… わたし個人の許容を越えて 持ちすぎてはいないか? そんなことを考えました。 キャッチコピーの 「半分はわたしに、半分はあなたに」 と聞くと、 自然との共生や、 昔ながらの生活、 のような優しい印象を

触れられない…その距離感こそが、真の官能。

vol.3『真珠の耳飾りの少女』(2003年・イギリス)公開当時のキャッチコピーは、「心まで描くの…」。まさにそんな風に、もの言いたげに視線を投げてくる澄んだ瞳の少女。その眼差しは、誰に向けられたものなのか…? このミステリーこそが想像力を刺激する。ヨハネス・フェルメールの絵画「真珠の耳飾りの少女」(「青いターバンの少女」とも呼ばれる)は、1665年頃に描かれたとされているが、その詳細は明らかになっていない。けれども、こんなにもロマンチックな想像(妄想)をしてくれるなんて、原

映画に出てくる料理と音楽が、映画に魔法を与える

『マーサの幸せレシピ』(2001年ドイツ)は、料理に舌鼓をする映画であり、音楽に酔いしれる映画だ。強い印象を与えずとも、長く淡々と愛される理由は、ここにある。 料理シーン、食事シーンがこれでもか、と出てくる。美味しいもの好きの女子、料理人の男子にはたまらない映画だ。サーモンのバジリコソース、トマトとバジリコのスパゲッティ、ティラミス…と登場する料理はどれも舌鼓をしてしまう。 料理シーンを移動ショットで撮影しているのは、料理が一番美しく、そして魅力的見える撮影方法である。このシ

vol.4〜vol.6:チャン・イーモウ〜リバー・フェニックス

vol.4:チャン・イーモウの映画に出てくる女の子 『初恋のきた道』 『至福のとき』 『活きる』 『あの子を探して』 ・ ・ ・ ・ チャン・イーモウ監督のパンフを漁ってみたら、ありましたありました。このころ、中国映画にはあまり興味がなかったのですが、この映画を観て、ガラリと印象が変わりました。こんなに詩的な映画があるでしょうか。中国の芸術文化の歴史の深さを感じます。 ただひたすらに、チャン・ツィイーが見つめてきます。ほぼ、カメラ目線に近い形で。最初から最後まで、ただ、ひ

no.1:CINEMA NOTEBOOK-2017.4〜

シネコヤの本棚にひっそりと置いてある、「CINEMA NOTEBOOK」。 本を開くと、「あなたの好きな映画を書いてください・おひとり1ページ。」の文字。開館当初から、シネコヤにやってきた映画好きの人びとにより、1ページ1ページ手描きで記入されてきました。現在、6冊目(2020年4月)その1ページそれぞれに綴られる「だれかの映画人生」を垣間見ると、その人がどんな人か想像するだけで、とても楽しい…。 ひとかけらの「人生」をお届けいたします。 初回は、店主たけなかしょうこの記述

「苦手なこと」を考えていたら、おのずと「好きなこと」が見えてきた件

わたし、手芸とか、絵を描くとか、料理をつくるとか、そういうの、とても苦手なんです。 こもってる期間で、いろいろと作っている人がとてもうらやましい。 「つくる」のは好きなんですが、 下処理とか、 下描きとか、 下準備とか、 そういうのが嫌いなんです。っていうか、できない。 布とか切るのも、とりあえず切っちゃいたいし、 絵の具とかも、とりあえず塗っちゃいたいし、 料理とかも、とりあえず塩ぶっかけちゃいたいし、 なので、いろいろ作っている人をみて、本当にうらやましいのです。

いつか、鵠沼海岸のシンボルに。

ここは、昭和に建てられた元写真館。この場所は、鵠沼海岸で暮らす地元の人たちにとって、七五三、成人式、結婚記念の写真など、家族の記念日に訪れる特別な場所でした。 そんな場所に、2017年4月「シネコヤ」はオープンしました。 文化的で地元の人たちが集う小さなお店を作りたいと思い立ち、大好きな映画と「小屋」という小さなイメージをつなぎ合わせ「シネコヤ」と名付けました。 貸本屋(ブックカフェ)を主体とした、映画をコンセプトに選書した本やアートブック、映画雑誌、昔のパンフレットなど

目を瞠る(みはる)ような輝かしい女優…ではない。

vol.1『バグダッド・カフェ』(1987年ドイツ)この映画の魅力は、美しく、目を瞠る(みはる)ような輝かしい女優… ではない。 ミニシアター映画の象徴とも言われる作品。1980年代一躍『バグダッド・カフェ』ブームを巻き起こした。 喧嘩をする二組の夫婦。ヨーロッパ映画らしく鬱々とした物語のはじまり。ドイツ映画の昔にあるような、前衛的な映画の雰囲気すらも感じるカットが続く…。 この映画は、ふたりのおばさんが主人公。太ったおばさん《ジャスミン》と不機嫌なおばさん《ブレンダ》

これまでのコラム・書きもの(まとめ)

ありがたいことに、お店をはじめて3年のあいだ、いろいろな場面でコラムなどを書かせていただきました。 現在は、毎月3本ほど、WEB・フリーペーパーなどに文章を寄せさせていただいております。その他、雑誌などにも掲載いただくこともあり、素人文章ながら一生懸命書かせていただいております。 それらの、シネコヤ店主の「書きもの」まとめ。 書きもの系のご依頼は、こちらをご参考にしてください。 ●Brillia SHORTSHORTS THEATER  ONLINE MAGAZINEオン

vol.0〜vol.3 1980年代ミニシアターからその周辺

vol.0:あなたの映画の思い出を呼び覚ます Instagramで好評だったので、 シネコヤの本棚にある「懐かしのパンフレット」を紹介していこうと思います。思わず手にとってしまうような、あの頃の、あの映画のパンフレット。 https://www.instagram.com/cinekoya/ そんなあなたの映画の思い出を呼び覚ます、 パンフレットがたくさんあります。 「シネコヤ本棚 懐かしのパンフレット」シリーズ、はじまります。 日々の投稿はInstagramベースで、

好きな空間がたくさんあります。

大変なのは自分だけではない、と、周りを見渡せばみんながんばってる。自分がシネコヤをやるときに、勇気をもらった映画館がたくさんあります。 応援できる形もいろいろあると思います。 「すてき!応援したい!」という自分の気持ちを大切に、「好き」を増やす期間と思って、シネコヤ店主しょうこの「好き」のシェアをさせていただきます。 本や映画のことが多め。 眺めていただけたら嬉しいです。 増やしていきたいなと思います。 随時、追記していきます。 ーーー ●上田映劇@長野上田市昨