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私が住んでいた街、国のお話。

学生時代、1年間私はフランスのリールと言う街に住んでいました。


フランスの最北。ベルギーと国境を接するこの街は文化的にもベルギー文化とフランス文化が入り混じっていて魅力的な土地です。

大学が多く、学生街としても有名。
サッカーチームなんかでも有名。

近年だと、映画「アデル、ブルーは熱い色」のロケ地だったりもします。

最近Netflixで話題の''Emily in Paris''を観て思うことがしばしばあったので思いつきで書いてみたくなった。

日本だと(ドラマの中ではアメリカ人にとっても)、てか全世界中の人々から憧れの街として象徴的に描かれるパリ。

パリが舞台の作品は山のようにあって、私自身実際とても好きな街ですが、パリ=花の都。キラキラ。夢ある愛の街。みたいなブランディングにバグを少々感じてしまった。

Emily in Parisではその辺もよく描かれているのが個人的にはお気に入りだったりします。

大好きな街なのであれですけど、現実は…

衛生的に本当に汚いし、観光客にとにかく冷たい。彼らの国が出来た成り立ち的に納得だけど、自国の言語とか文化への誇りが凄くて、外野に対しての扱いが結構ひどい。

スリにも合う。騙される。田舎だと普通に強盗もよくあう。sans domicile fixeと呼ばれる所謂ホームレスの方も多い。物乞いも多い。初めて渡仏した時は衝撃だった。

私自身差別発言はよく受けたし、怖い目にも度々あったことも。

シャワーとか水回りの問題しょっちゅう起きる。でもなんとか生きていける。それくらい楽観的にいないとやっていけない国、フランス。

ネトフリの本作では、そんなお国柄の土地にそもそもフランス語を全く離せない状態で渡仏。

こちらエミリーのスタンスにも少々問題ありな気がするので、アパルトマンの管理人のおばちゃんとか、同僚たちとか、パン屋のおばちゃんとかみんな意地悪く描かれていたりする。

でも実際フランスってこれが現実だし、逆をとれば彼らの文化に馴染もうと努力する人をちゃんと認めてくれて受け入れてくれる文化も存在しているんだよなぁと。

À Rome il faut vivre comme à Rome
郷に入りては郷に従え。

私自身一度高校時代に1ヶ月のホームステイ経験をしたときは、バサッと切り捨てられ、同世代の子たちに受け入れてもらえず、エミリーが同僚たちから取られるような態度を受けた経験も踏まえて、大学時代に再度渡仏を決意。

自分から動こう。働きかけよう。自分の考えをちゃんと人に伝えよう。

C’est facile à dire qu’à faire.
言うは易し行うは難し。

それでも大学時代の渡仏経験は財産になったと思う。

その国や人々を理解すると言うこと。彼らが大事にしているものがなんなのか、それらにきちんと敬意を払うこと。

これを理解した上で日本人である私が持つ自分の主張をちゃんと伝える。
(フランス人は自分の意見を持たない人に対して心を開いてはくれない傾向あり。)

人と向き合うってこう言うことなんだろうなぁと渡仏経験を通して学んだことを、''Emily in Paris''では思い出させられました。

ディスも入ってはいますけどフランス、大好きな国です。

最後にリールのご紹介を。

パリから1時間半ほどで行ける私の大好きなリールと言う街。

おすすめは9月です。
ベルギーも含めたフランドル地方一帯でBraderieと呼ばれる大きな蚤の市が開催されます。

※写真は私の1年後に渡仏した後輩がお裾分けしてくれたもの。

突然道端とか広場とかに色んなものが並べられていて時間が過ぎるのを忘れてしまうイベントです。

移動遊園地的なのもあったりする。
これはクリスマスマーケットにも登場するやたら回転の速い観覧車。日本のように箱型じゃなく剥き出しでグラングラン揺れるので恐怖が半端じゃない。


期間中は蚤の市に加えて、この土地の名産品であるムール貝をとにかく食べて食べて食べまくる。

普通の酒蒸しから、名産マロワルチーズがけ(とにかく臭い)、カレー風味なんてものも。

付け合わせはこの地方あるあるfritesと呼ばれるポテトフライです。後半ひたすらフードファイターと化すので、留学中2回くらいしか食べませんでした。笑


ベルギー出身の有名ラッパーStromaeがmoules frites(ムール貝ポテトフライ添え)という曲を出していたりします。


各レストランでこのmoules fritesと呼ばれるメニューを売り出しまくって、お客さんが食べた後の殻を集めて、積んで各店舗競い合う。とにかく磯臭い。笑 コロナの今はやっていないんだろうか。

この時期が1番盛り上がるリールですが、パリからのアクセスも良く、観光名所はあまりないので1日くらいふらっと日帰りで訪れるのにおすすめです。

学生街ではあるけれど、のどかで、でも人はみんな親切で、自然も多くて。

日本での知名度が上がることを願っての記事でした。

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