ゆめまち はるせ

書きたいことを、書きたい時に書きます。 言葉のこと、手紙のこと、生活するということ。 …

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書きたいことを、書きたい時に書きます。 言葉のこと、手紙のこと、生活するということ。 夢の中でも そうじゃなくても ただやさしく生きていたいだけ

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14日間と少しの恋

カフェラテを飲み始めた頃、ふと気付いた。 私が好きなのは、カフェラテじゃない。 外で大きなマフラーを巻いて、 白い息を吐きながら、 誰かを待っている素振りで、 両手に包み込んだ カフェラテを啜る私、が好き。 もっと言えば、 そういうシチュエーション が好きなだけなのである。 ここまで考えて、私は本当のことに ” 気付く ”。 私が好きなのは、秋だ。 秋に恋をしている。秋の全てが好きだ。 まだ雪の気配のない、 ひんやりとした柔らかい空気も、 どこかで焚き火をしてい

    • まだ冬の詩2

      ピーナツチョコが好きすぎて、数えていたら27個目でした。 その後の歯磨きでチョコミントになるわけではないらしい。 学生はインスタグラムで連絡を取るらしい。 本を買っても読まないのは、ただの言い訳らしい。 言い訳でもいいと思いますけどね、あなたには関係ないし。 そうやって他人を遠ざけていたら、いつの間にか春になってました。 そういえば、と思い出したのは一昨年のクリスマスに買ったコーヒーのことで、だからつまりあなたのことも思い出してしまった。 今年のマーケットにもあるといい

      • わたしの娘はまだ1歳3ヶ月なのに、もう4度目の風邪を引いている。5度目かもしれないが、忘れてしまった。 えくぼの浮いたもみじ饅頭のような手で、目を閉じたままわたしを一生懸命に探すのがとても可愛らしい。熱を出して寝込んでいる相手に「可愛らしい」は不謹慎かもしれないけれど、可愛らしいのだ。本当に。 まだおしゃぶりの外れない娘を眺めながら、わたしも幼い頃おしゃぶりがやめられなかったという話を、母親から聞いたことを思い出した。 わたしの指しゃぶりは小学校に上がるまでやめられず、つ

        • 秋雨日記

          少し前に文通相手から貰った本を、今日なんとなく読んでみました。 煙草を吸う時はやっぱりサンルームに出た方がいいよなぁとか、せっかく雨が降っているから楽しんじゃおうとか、本当になんてことない気持ちでコーヒーを淹れて。 散った銀杏が水溜まりに、浮かぶともなく落ちていて、雨の日の車が走る音はやっぱり海の音だなぁと思いながら眺めているうちに、読みたくなって。 読みたくなったのは多分、「今ここでこの本を読んでいる自分」に浸りたくなったからだと思うんです。 久しぶりに「自分に陶酔し

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        • ねむるとき
          3本
        • わたしのおきにいり
          9本

        記事

          無色不透明

          今まで感じたことのない感覚であろうものが、 今ここに在る気がしている。 雨粒が窓をつたって、 土砂降りの雫が地面に落ちて弾かれる。 走るタイヤが水飛沫をあげて、 波のような音が流れて、遠ざかる。 言葉の色が、見えなくなってしまった。 キャンドルの光のような暖かいクリーム色も、 深く曇っている夜空のような悲しい紺色も、 誰かが伸ばした手の色も、顔も、大丈夫も、 何も見えなくなってしまった。 文通相手にもらった本はまだ読めていないし、うたうように言葉を読むあの子のこと

          愛の神託、萌ゆる人生を。

          あの子は「愛」についてよく考える子だった。 自分が愛せない人などいないはず、きっと愛せる何かがあるはず、と自分なりに誰かの良いところを見つけ出そうとしたり、それでも限界があると分かって、きちんと納得がいくまで考えたり動いたりするような、そんな子だった。 わたしの家のサンルームを非常に気に入ったらしく、まだ寒い二月のしんとした空気を身に纏って、しょっちゅうサンルームで煙草を吸っていた。 あの子は愛おしいくらい変わった子で、家の中でもピンクのロングコートを着ていることが多かっ

          愛の神託、萌ゆる人生を。

          intro.

          大切なことを忘れないように、と思う時によぎる言葉がある。 「忘れてしまうようなことは、忘れてもいいことだよ。」 本当にそうでしょうか、と、その瞬間言えなかったわたしを未だに抱きしめてあげることしかできないまま、なんとなく生きている。 善悪や損得、優劣や貧富。 そういった類のものから遠く離れた場所にこそ、忘れてしまうほど些細な、それでも忘れたくないと思うほど大切なことがあるはずで。 わたしが生きているこの家で起こる些細なことも、忘れたくなくて。 だから、言葉や音に触れて残

          四月病

          去年の四月は何をしていたかな、となんとなく思ったから。 自分の書いた言葉を探って少しだけ、過去に戻ってみました。 ちょうど一年前のわたしは結構明るくて、孤独を愛そうとしたり、小さな引っ越しをしてみたり、ずいぶんと楽しそうでした。 春が連れて来たと思っていたわたしの鬱屈は、春のせいではないのかもしれない。そこまで考えて、一旦全部が嫌になりそうなのを堪えたから、わたしは真面目です。 花粉症ではないけれど、花粉症ではないから、この涙の理由も鼻をすすっている理由も、何も思いつか

          とっくにさよならしたかったよ

          とっくに降りたいと思っている。 最初からこうなってしまうことは分かっていて、それでも生きることを選んだし死なないことを選ばざるを得なかった。だって死ぬのが怖かったから。 乳白色の海を泳いでも心臓が痛むのを止められなくて、いっそ叫んで消えてしまおうかと思った。 なんとなく買ったパワーストーンっぽいブレスレットも、眠る人のいる暗闇の中で探す靴下も、買ったばかりのAirPodsも、全部嫌になった。全部。 私を傷つける人も、私に傷つけられる人も、好きな人も嫌いな人も、誰もいなく

          とっくにさよならしたかったよ

          天秤

          どうやら彼女は甘やかされたいらしくて、きっとその自覚は本人にもあるような気がしていて、だからこそわたしは何も言えなかったんだけど。 「そうじゃないんだよねえ。」という彼女に、どんな顔をして、どんな声色で、わたしは接していたのか、忘れられないほどに初めての感情だった。 そうじゃない、ってなんだろう。 なんだったら、そうなんだろう。 第三者にとっての彼女と、わたしにとっての彼女とでは見え方が違っていたはずなのに、どうやらわたしも「第三者」になってしまったような気がして、なんだ

          ケ・セラセラ

          エネルギー不足のまま向き合いたくなくて、毎年訪れる冬特有の鬱屈した気持ちと後ろめたさを抱えながら、新品の白い封筒と便箋を毎日横目で見送る。そんなわたしに大丈夫をくれるあなたに、わたしも大丈夫を送ってあげたいと、心から思っている。思っているだけではいけないと言い聞かせながら、思っている。 言葉が溢れる。止めどなく溢れて、わたしが言葉を紡ぎたい相手はあなたしかいないのにと思いながら、その気持ちすら横目で見送る。 日々声帯を振るわせることはできるのに、わたしの正しさにわたしが追い

          冬の刹那、春に向けて。

          形にしようと思えば思うほど、何かがぽろぽろとこぼれ落ちていく気がして怖かった。私がこんなに苦しんで、悲しんで、涙を流しながら、長い時間をかけてようやく身に纏ったハリボテの宝石達を、誰にも何にも傷つけれられたくなくて、形にしてしまえば、自分すらそれを手放してしまう気がして、形にするのが怖かった。 音としてただ流れていくだけの、絶対に私の心の中にしか残らない程の、他の音に飲まれてしまえば誰にも聞こえないほどの、雑音として存在している、私の大切な宝石達。 簡単に手放すものか、と意

          冬の刹那、春に向けて。

          私ではないわたしのこと

          あなたといても孤独、 神だけは見捨てないなんて嘘、 宇宙を漂う無数の星もあなたには敵わない、 でもやっぱり嫌い、 私なんてと言ってはだめなら一体なんと言えばいいの、 もう二度とこんな思いはするものか、 私たちはそうやって繰り返す 涙が出るほど苦しくて、 涙も出ないほど悲しい。 どうせなら嫌なことも全部、 繰り返したままでよかったのにと思います。 私は加害者だからそう思います。私は加害者だから。 どうか私の言葉に誰も気づきませんように、 どうか私の言葉で誰も傷つきませ

          私ではないわたしのこと

          すきということ

          すきということ。 となりに すわってほしいな、とおもうこと。 ぎゅっと てをつなぎたいな、とおもうこと。 ほっぺに ちゅーをしたいな、とおもうこと。 すきということ。 うそをつかれたら かなしいな、とおもうこと。 おたんじょうびを しりたいな、とおもうこと。 おてがみを かいてあげたいな、とおもうこと。 あなたのこと あいしてるって いいたいんだけど なんだか はずかしい。 ずっとずっと みかただよって いいたいんだけど なんだか こしょばい。 だから、となりにすわ

          すきということ

          八月の人魚姫

          水無月が終わる頃、うだるような暑さが近づいてきて、私は人魚になった。 白濁色に近い水色の、少し冷たい自分だけの池へ身を投げて思いきり頭まで沈んでみる。普段感じることのない無重力に心地良さを覚えながら、体の熱を少しずつ逃がしていく。 ここ最近、周りと違う自分の体に少し飽きている。綺麗なヒレも綺麗な鱗もないのに、体のど真ん中に真珠を抱えているのだ。 若かった頃は、自分の周り同様に人魚特有の綺麗な歌声だって持っていた。今はというと、真珠を抱えると決めたおかげで歌声を失った。

          これ、食べられる!の瞬間

          小学生かそれよりも前から、トマトが大嫌いだった。 初めて食べた時のことはさすがに忘れたけど、とにかくあのプチっとした独特の食感と味がダメだった。母親も祖母も「好き嫌いはできるだけないように」というタイプだったが、わたしはそれでも嫌なものは絶対に食べない子供だった。 そんなこんなで嫌いな食べ物はトマトに限らず、蕎麦・にんじん・メンマが嫌いだった。少し大きくなった頃に初めて食べたカツオのたたきも、いまだに食感と匂いがダメで見るだけで吐きそうになるほどだ。 この嫌いな食べ物リ

          これ、食べられる!の瞬間