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秋雨日記


少し前に文通相手から貰った本を、今日なんとなく読んでみました。

煙草を吸う時はやっぱりサンルームに出た方がいいよなぁとか、せっかく雨が降っているから楽しんじゃおうとか、本当になんてことない気持ちでコーヒーを淹れて。

散った銀杏が水溜まりに、浮かぶともなく落ちていて、雨の日の車が走る音はやっぱり海の音だなぁと思いながら眺めているうちに、読みたくなって。
読みたくなったのは多分、「今ここでこの本を読んでいる自分」に浸りたくなったからだと思うんです。

久しぶりに「自分に陶酔したいと思った自分」がいることに、嬉しくなりました。


かなり時間が経っている。
文通はまだ、私で止まっている。
彼女の優しさに、甘えている。

「20代で得た知見」という本を買いたくて、数ヶ月前からずっとずっと迷っている。
この話を彼女に手紙で伝えようかと思っているうち、私にはこれがあるじゃないか、と思い出しました。

いつもなら自分に鞭を打って、手紙を書こう!と意気込むところだけれど、まだもう少し、私は私を甘やかそうと思っていることを許してほしい。

本を贈ってくれてありがとう。日毎に埃の匂いが増していくこの本は、それでも数週間に一度、私がたいせつに読んでいます。
本を贈ってくれたから、本の話がしたくなって、電話より少しかたく、だけど文通より気を張らずにこのことを伝えようと思えた自分に、また嬉しくなっています。

伝えようと思ってまだ伝えていないことがたくさんあるということを、私たちはすぐに忘れてしまうらしい。
糸井重里さんが本の中で言っていました。

ひとまずこのへんで貴方に読んでもらおうと思います。
また思い出したら、日記のように書いていけたらなぁ。

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