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山茶碗の楽しさ

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山茶碗と呼ばれる碗があって、美濃(現在の岐阜県東濃地域)・瀬戸・常滑など東海地方で焼かれていた。

12世紀から15世紀、平安末から室町時代にかけて作られ、無釉で大量に重ね焼きして、焼成。

名前の由来は、山(窯跡)で、大量に廃棄されるほどあったからとか、聞いたことがある。


サッとかスッーとかいう感じで、素早く次から次へとろくろをひいていたと思う。器に動きがある。

それが楽しい。


この写真の山茶碗は確か美濃で作られたものだったが、美濃の土は細かく薄く作れる。ろくろがひきやすい。

雑というわけではないが、丁寧とはいえない。釉薬もかかっていない。

表現欲などと無縁な、作り手の呼吸なり痕跡が残る、生き生きした山茶碗は柳宗悦が言う「民芸」ではないかなと思ったりする。


山茶碗はいわゆる庶民が使っていた器といわれる。

それまでは貴族や寺社向けに高級な陶器を生産していたのが、だんだん売れなくなってきて、産地では庶民向けに作るように。

庶民の器は、それまで木の器が主だったと思うけれど、山茶碗は彼らのハレの器なのか日常使いのものだったのか。


素の良さ。

好きなやきものです。

何に使うかというと困るのだけれど。


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