「浅田家!」鑑賞記録(2021/3/20)

様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也と妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。浅田家の次男・政志は、父の影響で幼い頃から写真に興味を持ち、やがて写真専門学校に進学。卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを再現した写真で学校長賞を受賞する。卒業後しばらくはくすぶっていたものの、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催し、写真集も出版され、権威ある賞も受賞する。プロの写真家として歩み始めた政志は、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになる。しかし、2011年3月11日、東日本大震災が発生。かつて撮影した東北に住む家族のことが心配になった政志は被災地に足を運ぶが、そこで家や家族を失った人々の姿を目の当たりにする。

この作品の予告編を見たのは覚えている。なんとなく観に行きたいとは思っていたが、それほど熱量が高くなかったので、後回しにしてしまっていた。それに、ジャニーズファンでもない私が観に行くのはどこか気が引けた。主人公・浅田政志を演じた二宮和也が出演する映像作品に触れたことがなかったからである。しかし、実際に観に行ってみると、それはただの杞憂であった。彼のことをよく知らなくても、十二分に作品の世界を堪能することができた。彼には、それだけのオーラがあるということだろう。今頃になって、改めて観に行きたいと思うようになったのは、何を隠そう、黒木華が出演していることを知ったからである。映画「日日是好日」やTBSドラマ「凪のお暇」で主演を務めていて、まじめで控えめな(清楚ともいう)役どころを演じるのに長けていたことが印象的であった。ただ、今回どのような役を演じるのか、前もって情報を持ち合わせていなかった。そこで、彼女が登場したときには、他の作品とはまた違った一面が見られたことを嬉しく思った。外見的なことをいえば、「凪のお暇」のアフロヘアーともいうべき天然パーマが痛烈に印象に残ったが、今回は新鮮なショートヘアーであった。これも似合っている。役どころとしては、二宮和也演じる主人公の幼なじみ(兼恋人・のちに妻)として、彼を猛烈にアシストし、彼に猛烈にアタックする。いわゆる姉さん女房気質の力強さを帯びており、いつもの控えめな感じとは一線を画していたといって過言ではないだろう。また、浅田家のメンバーも最初から最後まで目が離せない。政志の母を演じた風吹ジュンは、いかにも関西のおばちゃんが言いそうなことを言う(舞台は三重県津市なので、関西寄りの東海地方ではあるが)。彼女はどんな役でも自由自在に演じられるのだと改めて感じた。政志の父親を演じた平田満は、主夫として家族を優しく支える。甲斐性がないといえばないのだが、こんな父親も良いなあと思った。政志の兄を演じたのは妻夫木聡である。おそらく、劇場へ足を運んでいるのは、大きく分けて、二宮和也のファンと妻夫木聡のファン、そして、物語の後半に登場する菅田将暉のファンであろう。それゆえか、客席を見渡すと、40代前後以上の女性が多い印象を受けた。それだけ、この映画には存在感のある俳優がそろっている。ストーリーについては、公式ホームページなどを読んでいただたいた方がわかりやすいのでここでは省略する(それに、できればネタバレは避けたいと思える作品であった)。後半は、東日本大震災を取り扱い、センシティブな描写もあるが、写真家・浅田政志の人生には、最後まで目が離せなかった

☆朗報!

黒木「周りがピリピリした空気のなかで、映画を見に行くようになれて、すごく私は救われて。改めて、映画のありがたみというか、大事さにすごく気付きまして、幸せを噛みしめていて。なので、素敵な作品を皆さんに届けられたら、それで少しでも救われる人がいたらいいなあと思います」


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