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スウェーデン移住計画3 - 偽りの壁
僕とNinaの笑い声で埋め尽くされていた部屋に大使館員の凛とした声が割って入った。
名前を呼ばれ、僕は立ち上がる。
後に気づくのだが、パートナービザ[1]の面接は書類確認の待ち時間から始まっていたようだ。
いや、大使館に入ったときから面接は始まっていたのだろう。
このビザで重要なのは2人が本当のパートナーだということ。
もし偽装であれば面接官はそこを見抜こうとしてくる。
なので2人で来たのは正解
スウェーデン移住計画2 - ビザ申請
梅雨も明け陽射しが強くなり始めた頃、僕とNinaは数枚の書類を持って部屋を出た。
向かう先はスウェーデン大使館。
僕とNinaは学芸大西口商店街を手を繋ぎながら歩き、駅へ向かう。
商店街は平日の昼間ということもあり、通りをゆく人はまばらだ。
夕方とは違い、今なら道の真ん中を自分たちのペースで歩ける。
何者にも邪魔されぬ歩み、しかし心なしか足取りが重い。
不安がまとわり付き、重みがある数
スウェーデン移住計画1- プロローグ
こんな引っ越しはもう2度とないだろう。
いや、2度とあって欲しくない。
過去最悪の3日間。
緊張の途切れで頭をもたげた疲労に身を任せ、何もない部屋に寝転がり安堵と後悔に包まれながら僕はそっと目を閉じた。
どのくらいの時間そうしていたのか。
静寂の中、ふと脳裏にあの言葉が浮かんだ。
「そろそろスウェーデンにも住みたいな」
ロス、プラハ、韓国など数都市を経て東京に住み着いたNinaの口か