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未来と芸術展@森美術館へ行ってきた

昨日、森美術館で開催されている

未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか

に行ってきた。

この展示会のタイトル、後で知ったのだが、IBMが開発したAI(人工知能)「IBM Watson」が生成した15,000を超える候補から選ばれたタイトルらしい。

毎度のごとく、事前にあまり調べずにとりあえず行ってみたこの展示。

様々な展示を見ながら、未来について、そしてテクノロジーの発展と倫理について非常に考えさせられる展示だった。

展示会の構成は5つのセクションに分かれている。

ここからは、その5つのセクションについて、それぞれ私が感じたことを簡単に記していきたい。
(※以下は、個人的な感想なので、みなさんがどう感じるかは、是非実際に足を運んで感じてもらえたらと思う)

1)都市の新たな可能性
  
ここはものすごくワクワクするセクション。個人的に、建築や都市開発に興味があるので、未来の都市をビジュアルで見れて、一緒に想像できるのはものすごく楽しい。小さい頃、自分が大人になる頃には空飛ぶ車とか走っているだろうと思っていたけど、実際はまだそこまで普及していない。でも、私が60歳とか70歳とかになる、30-40年後には、ここに展示してあるような都市が実現しているのかもしれない!?

そう思うと、ますます我々は未来を作っていく一員であり、「どんな未来にしていきたいか?」「どんな未来都市が理想か?」と想い描くことはとても大事なんじゃないかと思う。

アブダビで構想されている持続可能な未来都市や、水の上の都市(Oceanix city)は特にワクワクする。

2)ネオ・メタボリズム建築へ
 
 「メタボリズム」という言葉については、メタボリックシンドロームしか思い浮かばなかったのだが、「メタボリズム」とは、日本独自の建築運動、および理論だそうだ。

メタボリズム:1960年代に黒川紀章、菊竹清訓、槇文彦、栄久庵憲司らが展開した日本独自の建築運動および理論。「新陳代謝」を意味する用語で、生命が成長、変化を繰り返すように、建築や都市も有機的にデザインされるべきであるという理念に基づく。

ネオ・メタボリズムとは、3Dプリンター技術や、ドローン、ロボット工学、環境に優しい新素材などを駆使した自然と共生し、持続可能で可変的、柔軟に新陳代謝する建築を示唆している言葉のようだ。

このセクションでは、上記の技術の展示を見ることができる。

個人的に気に入ったのは、トウモロコシの茎と皮を菌糸体で硬化させた煉瓦など、自然のものを生かした環境に優しい素材。こうしたものがもっと開発されて世の中に当たり前のように普及してほしい。

藻類の光合成による空気浄化作用が建築に応用できたり、アルゴリズムやテクノロジーによって、人間の気分、潜在意識を建築に反映させる展示もあったりして、今まで考えもしなかったことがたくさん学べた。自分の枠、これまでの考えとはかけ離れたところでテクノロジーはどんどん進んでいる。

3)ライフスタイルとデザインの革新

ここでは、友人と2人1組になり、VR体験をした。このVR体験は、離れたところで座っている2人だが、VRマスクをつけている人にとっては、友人の助手席に座って、友人の運転を楽しんでいるような感覚になるVR体験。私はVRマスクをつける側だったが、自分のアバターが見えて、本当に友人がすぐ隣で運転している助手席に座っているような感覚は非常に面白かった。

この場所には、3Dプリンターで作られたお洋服も展示されている。
ここでの私の問いは、もし、近い未来、1家庭に一台3Dプリンターを所有して、お洋服もすぐに作れるようになったり、今まで手仕事とされてきた織物なども3Dプリンターでできるようになってしまった場合、本当に、手仕事の価値はなくなってしまうのだろうか。。。?ということ。

テクノロジーが発展するからこそ、アナログな技術がナウくなったり、一層の希少価値は出たりしないのだろうか?


4)身体の拡張と倫理
5)変容する社会と人間

ここでは、AIやテクノロジーの発展による倫理を突きつけられる。
今、私はちょうど『これからの「正義」の話をしよう』を読んでおり、様々な角度から「正義とは何か?」ということを考えさせられているのだが、まさに、それを考えさせられるセクション。

今から25年後の2045年には、AIが人間の能力を超える「シンギュラリティー」を迎えると言われているが、その頃、ライフスタイルや社会、考え方は大きく変わっているかもしれない。ここの展示の一つに"Shared Baby"というのがあった。すでに世界では、ミトコンドリアDNAに問題がある女性の医療の一環で3人の親の遺伝子を引き継ぐ子供が生まれるということが起こっており、将来的には、4人、5人、6人など、複数の遺伝子を持つ子供が生まれるかもしれない。同時に、その遺伝子の元となった親たちは、複数で生まれた子供をシェアしたいと思うかもしれない。

また、新生児の段階でテクノロジーを使い、「疲れにくくパフォーマンスの高い人間に育てる」などといった人間にすることができる時代が来るかもしれない。

今、ようやく認知され始めているLGBTよりもずっと複雑な権利や要望が上がってくるかもしれない。

こうした時に、何が正義なのか?誰を幸せにするのか?最大幸福が最善なのか?何が善なのか?ということは問い続けなければいけないし、対話をし続けて、皆で最善な選択をしていくことが大事なのではないかと思う。

そして、最善な選択をするためには、自分自身が常に「正義」というものについて、あらゆる場面で考え、自分なりの軸を持っておくことが大事だとも感じた。

漫画や映画に出てくるような近未来的な世界は、エキサイティングでもあるし、一方で一歩間違えると恐怖にもなったりする。テクノロジーが物凄い勢いで進化する中で、私たちは、どんな未来を描くのか?テクノロジーと自然と人間が共存できる平和な社会、未来を作るにはどうしたら良いのか?を考えさせられたとても良い展示でした。





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