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【山頂のホグワーツ】最強王家プロイセン発祥の地、ホーエンツォレルン城へ&山頂で飲むビールは美味い
こんにちは。
ドイツ・ミュンヘンに留学中の大学生、桜です。
突然ですが、ドイツが歴史上はじめて今のドイツとして統一されたのはいつの誰による出来事かご存じでしょうか。
「鉄血宰相」の呼び名で有名なビスマルクとタッグを組み、いくつもの小さな国に分かれていたドイツを“一つの民族”として統合させたのは、プロイセン王のヴィルヘルム一世でした。
その後プロイセン王がドイツ皇帝を兼ねる形で「一つのドイツ」が作り上げられていきます。
これはドイツにおいて帝政がとられた「第一帝国」神聖ローマ王国に次いで、「第二帝国」と呼ばれ、あのアドルフ・ヒトラーは自身が創り上げたナチス国家をこれらに次ぐ「第三帝国」と呼んでいます。
そんなプロイセン王国ですが、南のカトリック勢力バイエルン、オーストリアと反対に、彼らは北ドイツを中心に栄えています。
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しかしなんと、南ドイツののどかな山に、未来で北ドイツを占領するこの最強王家プロイセン家発祥の城があるのです。
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赤いピンの所こそが、今回訪れた王家発祥の地・ホーエンツォレルン城。
ミュンヘンから電車で西へ、日帰りお城の旅のスタートです。
真っ暗な早朝に出発
私は帰ってくるのが遅くなるなら出発を早めたい派(夜の町は治安が異常に悪いから)なので、相も変わらず今日も明け方の出発です。
いや、この暗さはもはや夜出発と言えるかもしれない…
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そしていつもの日帰り旅では見慣れた光景、電車の窓から眺める夜明けです。
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この日の一番の失態は、何も持たずに飲まず食わずで家を出てきてしまったことでした。
西に向かう途中の街・ウルムでの乗り換え時間を使って糖分補給をします。
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オープンを入り口前で待ち構えて購入したのは、ホットのホワイトモカ。
といってもこの日はまだ秋なのに寒すぎて、瞬く間にアイスのホワイトモカとなってしまいましたが。
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大聖堂横のスタバに行ったので、ウルムの町はまだちゃんと観光したことがないのに絶好のプロポーションの大聖堂だけ写真に収めてしまいました。
※この大聖堂は、ケルンなどを凌ぐ世界で最も高さの高い大聖堂です。
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引き続き電車で西へ西へ。
やっとしっかり太陽を見ることができ、朝靄のかかった地面が照らされて感動。
これが車窓一杯に見れるのなら眠くても始発で行っちゃう…
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もう一つ素敵な車窓の景色に出会ったのでお裾分け。
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秋に色づき始めた木々が綺麗でした。
ドイツに来て、電車に乗れば車窓を見るっていうのが当たり前になりつつある最近です。
小さくてカラフルな街・ヘッヒンゲン
到着したのはここ、ヘッヒンゲン。
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今回の目的地・ホーエンツォレルン城へはここからバス(※夏季限定運行で、この日が夏季最後の日だったよう…)に乗っていかなければならないのですが、如何せん本数がめちゃくちゃ少ない。
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ちなみに駅前からも、山の上に立つ孤高の城が小さく確認できます。
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普段は交通機関の時間が合わなければ躊躇なく歩く派の私の足でも、流石にあそこまでたどり着くのは絶対に無理なので、空き時間で街ぶらをしてみました。
ちなみにミュンヘンでサッカーチームに所属している私のバイト先の10個上くらいの男の人は、城を眺めたくて向かいの山の頂上まで自分の足で行ったらしいです。
行けば分かるのですが、普通にバケモンです。
市庁舎広場
さて、駅から少し坂道の上り下りをしてやってきた市内中心部。
まずはこちら、市庁舎広場。
ドイツ市内観光でとりあえず押さえておくといいスポット①です。
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ドイツ西部やフランス東部、特にストラスブールやコルマールあたりが有名な木組み造り・コロンバージュのような出で立ちの家がちらほら見られ、どれもカラフルでとても可愛かったです。
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Stiftskirche
ドイツの市内観光、とりあえず押さえときゃOK②、教会。
キリスト教社会だったヨーロッパの町には必ずと言っていいほど教会があり、建築様式や絵画の特徴をつかめるようになってくればどんな小さな教会に入っても楽しいです。
市庁舎の近くにあったのはStiftskirche。
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ゴシックの図形的な美しさよりもロココ調の夢の中みたいな天井画があったほうがいいなあとか、
木の長椅子がお気に入りポイントだなあとか(パイプ椅子に変えられてる教会も少なくないんです)、
ステンドグラスの模様が抽象画じゃなくて人物画なの良いなあとか、
この絵画の並べられ方は聖書のあのエピソードをすっ飛ばしているなあとか、
そういうことを考えていつも教会を見ているので、ヨーロッパの教会はどこも同じに見えるという声もあったりするものの、私は正直飽きることがないです(笑)
この教会は古典主義とロココが混ざったようなシンプルさと華やかさを兼ね備えた教会でした。
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それにしても、このまち本当に人がいない。
遊具で数人の子供が遊んでいたのを見て心の底からほっとしたほど。
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また、この旧市街への入り口には、カラフルな武器庫?火薬庫?みたいな門がありました。
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過酷すぎる山登り
時間つぶしに成功したところで、バスに乗って山の中腹まで運んでもらいます。
ロケバスみたいな小さなバスに揺られていると、前方にそれらしきものが。
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それはまるで、大人気映画シリーズ「ハリーポッター」の魔法学校、ホグワーツが山の頂に佇んでいるよう。
何にもさえぎられることなく町全体を見渡せる小さな独立峰の頂上で、その存在感を遺憾なく発揮していました。
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山の中腹のバス停で降ろされ、それ以降はバスはあるものの私は登山を選択。
そこそこしっかりした山登り感が、城を“攻めに行く”ようでわくわくさせられます。
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木々の隙間から太陽の光が差し込んで、しんどいけど頑張れます。
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だんだんと見えてきました。
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下から見ていた通りの「ホグワーツ感」と、ドイツの一大王家を生んだにしては案外ミニマムだなと言う印象。
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入城。
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展望台のようになっているところから、上ってきた道と山の麓を見下ろしてみました。
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西側に見えるのは、Schwarzwald=「黒い森」と呼ばれる、ドイツ南西部に南北160キロに渡って広がるドイツで一番有名な森。
その名の通り、生えているトウヒなどの針葉樹林の影響で周囲よりも黒く見えます。
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城の門をくぐります。
レンガ造りが美しいですね。
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城壁の隙間からはさっきまでいたヘッヒンゲンの町が見えました。
それほど町が発展してしまっていなくて、当時のこの城からも似たような景色が見えたのかなと思うと興奮します。
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城の内側はこんな感じ。
要塞として機能したこの城の内部には中庭があり、塔にはプロイセンの旗がはためいていました。
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プロイセン王家の歴史を堪能
城内はQRコードを読み込んで聞ける音声ガイドと共に見学ができるようになっています。
家系樹の間
入り口を入ったところは家系樹の間となっていて、ホーエンツォレルンの家系図が木のように描かれています。
中央には、先ほど紹介したビスマルクの上司でありよき相棒、初代ドイツ帝国皇帝のヴィルヘルム一世の騎馬像。
ちなみに日本の初代総理大臣・伊藤博文はドイツに近代憲法の勉強をしに来た時にヴィルヘルム一世と会っています。
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大広間
大広間は見事な作り。
ネオゴシック様式のホーエンツォレルン城の中でも最も豪華で、金色と青のコントラストに思わず魅入ってしまいました。
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ゴシックにありがちな縦に長い窓にはステンドグラスの淵と、その美しさに負けないくらい美しいふもとの町の景色が。
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どんどん進んでいくと、皇帝ヴィルヘルム一世のお母さんルイーゼの肖像画。
夫の皇帝フリードリヒ・ヴィルヘルム三世がナポレオンとの戦争に敗れた時、無能だった夫の代わりに国を守るために講和の条件を有利にしようと働いた、政治的にも有能でありプロイセンに影響を及ぼした人物。
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当時の図書室の本棚も保存されていて、中の本は別の所に保管されているそう。
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別の部屋には、皇帝が着た衣服や使った机なども置かれていました。
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興味深い肖像画
見覚えのある名前がちらほら見えたので写真を撮ってきました。
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まず左側。
私が現在通う、ドイツで一番の大学・ミュンヘン大学を造ったバイエルン王マクシミリアン一世の娘で、プロイセンに嫁いでカトリックからプロテスタントに改宗したエリザベート・ルドヴィカ。
右側は、初代プロイセン王フリードリヒ一世。
似たような名前が多すぎてもう何が何だかわからなくなりそう。
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そしてこのぷっくり可愛らしい顔立ちは、↑のフリードリヒ一世の息子フリードリヒヴィルヘルム一世。
強硬な軍国主義を敷き、その乱暴さから「兵隊王」と呼ばれます。
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ぷっくり顔が兵隊王とそっくりなこの王は、彼の子供で「哲人王」「大王」と呼ばれたフリードリヒ二世。
彼は富国強兵を推進して領土拡大に成功、いわゆるシゴデキな王でした。
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「え~この王とこの王ってめっちゃ近い親戚!」
「こことここ繋がってるのか・・・」
となるのが好きなので、私はよく家系図を見ながら歴史を追います。
良かったらWikiとかで調べてみてください。
青の間
続いては、王妃の間。
ここは御覧のように青い家具でそろえられていて、写真よりも目で見たほうが百倍その美しさがわかりますが、別名「青の間」とも呼ばれています。
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王妃が使った旅行用のカバンも。
引き出しとハンガー付きなんて、今のキャリーケースの何倍も重そう…
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王妃が着用したドレスや扇子などの美しい品々。
結婚式では真っ白のしなやかなものではなくて、こういうゴージャスなレースだらけの中世チックなドレスを着たいなあと昔から思っている私です(笑)
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最後に、撮影禁止だったのですが一番印象的だったのは間違いなく「宝物の間」でした。
キンキラの甲冑や食器、剣などがライトアップとともに展示されていて、またヴィルヘルム一世のデスマスクもあったので驚きました。
デスマスクで死者の顔を立体的に残しておくというしきたり、
どうやら尾張の名武将・織田信長にもその作成記録はあるみたいなのですが、私は日本人のものは見たことがありません。
調べてみると、夏目漱石や川端康成のものもあるみたいですね。
こっちではデスマスクの展示が結構な頻度で見られますが、死者を一番リアルに思い出させるものとしていい文化だなと思います。
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山頂の城で飲むビール
難しいことばっかり考えて、せっかくのいい天気なのに屋内で煮詰まってしまいそう。
このいい天気を見た私、帰りの電車を一本遅らせてここで一杯やろうという英断。
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朝からスタバしか入れていない体で山登り&城見学をし心身ともに疲れた状態でこのメニューを見ると、頼むものは一択。
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ビール!!!
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しかもこれ、プロイセンの銘柄だそうで、ビールの街ミュンヘンに住む私は品定めをしてやろうと買ってしまいました。
もちろんあてにはドイツらしくポテトを。
ケチャップとかをつけてくれましたがビールには塩味が一番!(私調べ)
山頂の風に吹かれながら城と自然を見渡して飲むビールは至福そのもの。
比較的若く見られがちなアジア人女性が一人で飲んでいてちょっと浮いてましたが、誰も何も気にしてなさそうなのがドイツの大好きなところ。
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ほろ酔い気分で城をあとに。
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※ちなみにお酒も入っていたので、帰りは流石に歩かずバスで山を下りました・・・
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帰りの電車は爆睡していて何も覚えていません・・・
でも一つ言えるのは、ドイツに来て訪れた城の中で外観も中身もトップクラス。
南ドイツのホグワーツ、田舎にそびえる天空の城は、歴史と自然を私たちにこれでもかと感じさせる特別な場所でした。
これを超えてくる城があるのか、これからの城めぐりが楽しみです。
それではまた!
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